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シネマ365日

2014年11月11日

特集 ビークル・ムービー 暴走特急 (1995年 アクション映画)

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監督 ジョフ・マーフィー
出演 スティーヴン・セガール/キャサリン・ヘイグル

爆走列車という魅力 

 「沈黙の艦隊」の続編が本作なのだけど、ビークル・ムービーとしては戦艦よりやっぱり豪華特急列車だよね。スティーヴン・セガール扮するはケイシー・ライバック。元海兵隊の凄腕隊員、対テロ専門家。合気道の達人にして爆薬物、格闘技、ハイテク、どこにも死角のない不死身のヒーローである。本作で走る列車はデンヴァー発ロスアンゼルス行き大陸横断特急だ。「大陸」である。「横断」である。「特急」である。そこでつまり「大陸横断特急」となると、走る列車に待ち受けている、意味深長な予感を感じさせないだろうか▼ちょっと寄り道になるが大陸横断とはもちろん大陸の端から端までをつなぐ鉄道が一般的だが、狭義の意味ではアメリカ合衆国の中西部と西海岸を結ぶ鉄道をさすことが多い。1865年5月最初の大陸横断鉄道の開通によって、西部開拓史は始まった。世界的に有名な大陸横断鉄道では世界最長の9289キロ、ユーラシア大陸を横断するシベリア鉄道。ポートーオーガスターからシドニーを経てパースに至るオーストラリア横断鉄道、アフリカ大陸を東西に走るベンゲラ鉄道は、アンゴラをからザンビア、ザンビアからインド洋のいくつかの港に通じるが、アンゴラの内戦によって多くの区間が不通となり、修復の努力がなされている。横断ではなく縦断はどうか。ヨーロッパ大陸を縦断するオリエント急行の歴史と伝統はそれ自体がドラマとなって、鉄道ファンの夢と憧れをかきたててきた▼本筋にもどろう。特急列車をのっとってそこから衛星をコントロールし全世界を攻撃するという、やたらスケールの大きなテロ集団にライバックが単身挑む。テロ頭目の敵キャラがなかなかよくできていて、特急に乗り合わせたCIAの男女局員を拷問するのに、焼き針を眼球に突っ込んで刺し通し脳まで破壊するぞというシーンはかなりの迫力。こんなことされるなら誰だって「言うよ、言うよ」となるのは無理ないぞ。それにひきかえスティーヴン・セガールは姪っ子を人質にとられるわ、崖から宙吊りになるわ、もろ爆発を受けるわ、でもなぜかそのつどスックと立ち上がり、スーツの襟をシュッと直しておもむろに敵と向かい合う。強いの、強くないのって彼がどんなピンチに陥っても、観客はだれも心配しないのが玉に瑕だ。ラストでひとつも解を与えてくれない映画、どうとも解釈できる胃もたれする消化不良の映画、「一体どうなってンだよ」といいたいところ、見栄張ってわかったような顔をしたばかりにストレスになった映画、そういう映画を一撃で粉砕するのだ「暴走特急」は。前半ちょっとばかりもたつくトロイ部分を後半は充分に取り返してくれる。爆走する列車ってなんでこう刺激的なのだろう▼セガールは43歳だった。まだ充分に細身の体型が残っていて、頬も削げ加減、武術シーンのスタイリッシュなこと。合気道7段ですってよ。悪人どもは多勢に無勢をカサにきてライバックを血祭りにあげようとするのだけど、彼は爆走列車の屋根を走ったり、車両から車両をすいすい移動したり、射撃されて血が流れても「貫通したから大丈夫」とほほ笑みさえたたえている。列車から振り落とされたのに車を駆って追跡、車は猛スピードで崖からジャンプ、空中に舞い上がったとみるや、彼の肉体はしっかり列車の屋根に着地しているのだ。うそ~なんてだれにも思わせないセガールに、彼を敵にまわした悪人たちが気の毒にさえなってくる▼クライマックスは60万ガロンの石油をつんだ貨物列車と横断特急の正面衝突である。ライバックは獅子奮迅、姪も乗っている客車両を切り離し200人の人質救出に成功するが、彼の乗った車両は貨物車に直進したまま激突、列車は炎上し高架鉄橋の下へ崩れ落ちる。ライバックは後部車両へ避難しようと走るが列車の転落のほうが早い、そのとき相棒がヘリから垂らした命綱が目の前に。でもこれで終わりじゃない、ライバックの足元にテロ集団のリーダーがしがみついているではないか。蹴ってもけっても彼は手を放さない、ヘリによじのぼったライバックに続いてこのオッサンまで上がってくる。ライバックはどうしたか。蹴落とす、そんな面倒なことしません、ガシャーンと強引にヘリのドアを締めてしまう、床には指だけが残って…けっこう残酷なのよ。本作は6000万ドルの制作費に世界で1億400万ドルの興行収益。セガールのアクションもののなかで最高のヒットになりました。

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