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シネマ365日

2014年11月15日

特集 ビークル・ムービー スピード (1994年 アクション映画)

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監督 ヤン・デ・ボン
出演 キアヌ・リーブス/サンドラ・ブロック/デニス・ホッパー/ジェフ・ダニエル

キアヌ&サンドラ 

 この映画大好き。どこが好きなのか。何度かみながら思うのだが、いくつかある理由の中でとどのつまり落ち着くのが、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックのコンビのじつに気持ちがいいことだ。ほんとにさわやかでこうも考えるのだ。年頃の娘、息子をもつ親御さんの観客はこのふたりをみながら(うちの息子あるいは娘に、こんな相手がみつからないだろうか)と。キアヌとサンドラがともに30歳。「スピード2」も作られたが、キアヌのいない「スピード」は、相方のいない双子と同じで盛り上がらなかった。こんなに息があっていたのにどうしてこのふたりは結婚しなかったのか、そもそも「スピード2」は、彼らが別れたという後日譚から出発しているから、それも気にいらなかったのである▼キアヌが走るフォームは、ちょっと両腕を横に振りすぎね。彼は男性にしては重量感のある立派なヒップをしています。SWATの隊員というキャスティングが決まったとき、キアヌはさっそくジムで体づくりに入った。2カ月に及ぶトレーニングで頭は五分刈り、ひげの剃り跡も濃く青い若々しい警官はまことにりりしい。相棒は爆弾処理専門のハリー(ジェフ・ダニエル)。ハリーとジャック(キアヌ・リーブス)は親友同士。ビルに爆弾が仕掛けられエレベーターに13人の乗客が閉じ込められた、ロス市警に出動が下り現場に隊員が勢揃いした、犯人は屋上に潜伏したとみられる、だれがいくと隊長が聞くかきかなかいうちに「おれとハリーが行きます」とジャックが答える。テキパキと寸秒の緩みもありません。それとオープニングがすばらしい。エレベーターが降りていく目線に沿って、無機質の壁やワイヤーの稼働が映る。音楽のマーク・マンシーナは37歳。低く流れるようなキーボードの演奏がこれから生じる波乱をかきたてます。静かな衝撃ともいうべきサウンドは、この映画のクライマックスのひとつ、乗客を乗せたままバスが断たれた高速道路を飛び越えようと、味方の援護もなにもなく、開口した道路に向かって加速する、そのときの上空からの撮影に使われました。大ヒットする映画の常として、どこかひとつがいいというのではない、どこにもかしこにもこまかい映画技術の粋が嵌めこまれているのです▼女子大生のアニー(サンドラ・ブロック)は、発車したバスをわざわざ止めて強引に乗り込んだのが地獄の一丁目。このバスが本作のステージになります。いままでベタ褒めしてきたのでちょっと物足りなかったことを書くと、乗客のキャラが浅い。年配の婦人であるとか熟年夫婦であるとか、ロスにきた観光客であるとか、せいぜいその程度の大雑把なくくりです。万策つきたキアヌが「もうだめだ」といい、サンドラが大きなハンドルをぐるぐる回しながら「しっかりして。みんなあなたが頼りなのよ」とキアヌの尻を叩く。こういう場合だれかひとりキアヌの右腕になるやつが設定されるものですが、そこはもう監督はキアヌ・サンドラのふたり旅で押し通そうと決めたのですね、きれいさっぱり、バスの乗客はろくにせりふもありません。たとえばこれがジェームズ・キャメロンだと「もういい、わかった、わかった」というくらい、コテンコテンにひとりずつ描きこんでいくのです、「タイタニック」みたいにね▼ビークル・ムービーとしていえばもちろん乗り物はバスなのですが、もうひとつ地下鉄が登場します。ただバスのシチュエーションに比べおざなりになったのは否めない。暴走する地下鉄の屋根の決闘なんて、いくら元警官でもデニス・ホッパーの年齡を考えると無理があるし、大の男がふたりゴロゴロ転がりまくって振り落とされないのはむちゃくちゃです。それにデニス・ホッパーの、性格は異常だが専門知識と技術は最高のテロ犯が、さんざん警察を翻弄してきたわりに、彼の最期はバカみたいにあっけない。幕引きを急ぎすぎました▼ヤン・デンポンの監督第一作でした。それまで彼が撮影監督として撮った映画は「ダイ・ハード」(1988)、「ブラック・レイン」(1989)、「レッド・オクトーバーを追え」(1990)、「氷の微笑」(1992)、「リーサル・ウェポン3」などの優品ぞろいです。

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