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シネマ365日

2014年11月16日

特集 ビークル・ムービー アビス (1993年 SF映画)

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監督 ジェームズ・キャメロン
出演 エド・ハリス/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/マイケル・ビーン

深淵はあなたを見返す 

 ジェームズ・キャメロンの映画づくりの基本である作劇3要素が本作にもあります。壮大なセット・強い女・愛。愛はその辺のラブロマンスではない。人類愛、地球愛、未来愛ともいうスケールで発信するメッセージだ。とにかくこの人、つくるものが大きいのである。巨大なプールに超豪華客船を浮かべた「タイタニック」。爆発炎上させたタンクローリー(「ターミネーター2」)、人類の存亡を賭けて手を握る戦う地球戦士と異星人(「アバター」)の大パノラマはどうだ。「エイリアン2」ではシガニー・ウィーバーが「かかってらっしゃい、化けもの」と受けて立ったときの怪力ロボットは、シガニーの操縦するままに、クレーンのような鉄の腕を振りまわし、エイリアンをブン殴るのだ。これらの映画にあった破壊力を思うと、本作はだいぶおとなしいですな▼潜水艦それも原潜という、静かに潜っておらねばやばいビークル(乗り物)のせいかもしれないと思ったけど、でもちがう。原潜はオープニング早々事故にあい海の底に沈む。そこで救出に向かった海底油田開発基地の面々。彼らは本来石油掘りが仕事なのに、原潜沈没現場であるケイマン海溝(キューバとジャマイカの間にある7684メートルの海溝)に一番近いところにいるという理由で、急遽任務を命じられアタマにくるバッド主任(エド・ハリス)とその部下たち。油田チーム応援のため乗り込んできた海兵隊のコフィ大尉(マイケル・ビーン)と基地設計技師のリンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)。彼らが入れ替わり立ち替わり操縦する小回りのきく潜航艇と、探索とともに姿を現す海深5000メートルの海溝(アビス)が主役だ。しかし、である。約3時間(170分)という気絶しそうな長尺を延々と見続けさせるために、キャメロンは例によって入念な、あるいは微細な脚本で、一体いくつヤマがあるのか先の読めない盛り上げ方をします。ヤマまたヤマの連続がかえって平板な印象を与え、映画をおとなしくさせてしまったと受け取られても、仕方ない気がしますね▼バッドとリンジーは離婚を前提とした別居中の夫婦。コフィ大尉は始めから「指揮官はおれだ」と高圧的。バッドのアドバイスを無視して油田チームをバカにしている。リンジーとバッドは一触即発でどっちも喧嘩腰。コフィ大尉は沈んだ原潜から核爆弾を基地にもって帰り、ロシアにむけて「報復手段をとる」ですってよ! みなあわてふためき、必死でとめにかかるが狂信的な大尉は反対する部下さえ撃ち殺す。油田基地の内部分裂で事故多発。リンジーは修復中の船艇で溺死寸前、バッドの救命措置で息を吹き返す。バッドはリンジーに未練ありあり、基地の中でもあっちこっち後をおいかけまわし、リンジーにいやがられながらもヨリを戻そうとしていた。そんな、こんなの大騒動の最中、暗黒の船外にふわふわとクラゲのような未知の発光体が出現した。170分の長尺につきあっておれないから、以後を簡単に書きますね▼大尉が持ちだした核爆弾が海溝の底に沈んだ。だれかが雷管をはずさなければならない(らしい)。もちろん大尉はバッドとの決闘で殺されちゃいましてね。バッドは自分が行くといって前人未到、5000メートルの海溝に降りていきます。ギシギシと体がきしみ、意識が薄れ、基地との通信は腕にはめたキイボードを打つだけ。海溝って真っ暗な海の断崖なのですね。このあたりが大セット・メカフェチなキャメロンの大好きなシーンでして、なにもそこまで、と思うくらいじわじわ、ドキュメントふうに撮っていきます。薄れゆく意識と闘いながらバッドはついに着地。核爆弾の爆発装置を解除します。でももう帰りの酸素がない。彼はリンジーあてに最後の発信をします「片道キップはわかっていた。でもやらねばならなかった。君を愛している、奥さん」。基地のスタッフは絶望の涙、そこへ、そこへだ。出たぞ、キャメロン伝家の宝刀「地球愛」が。漆黒の海溝から光が浮かんでくる、やわらなか触手がバッドをつかみどこやらに引き上げていく▼光の正体は深海に棲む宇宙からの移住者だった。彼らは戦争と破壊をやめない人類に警告として原潜を沈め、世界中の大都市に津波を起こさせた。彼らの超能力は水を自由にあやつるのだ。でも海の壁のように海岸に迫ってきた津波は、陸を目前に鎮静した。その様子を映像でみていたバッドは「なぜだ」と聞く。文字盤に出た理由は自分がリジーにあてた最後の通信だった。結論「愛が地球を救った」のね~。冒頭にニーチェの言葉が引用されています。「深淵(アビス)をのぞくと深淵はあなたを見返す」いいけど、ア~長かった。

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