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映画監督特集

2014年11月30日

特集「タランティーノが惚れた女」 フォクシー・ブラウン (1974年 アクション映画)

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監督 ジャック・ヒル
出演 パム・グリア

男の純情 

 「 コフィー 」大ヒットのあとを受け、ジャック&パムが再び組んだ快作。どこが型破りだったかというと、「 コフィー 」でもちょっとふれましたけど、悪くて強い女を男が認めていることです。悪い女も強い女もそれまでいっぱい社会にはいたのですが、みなアイデンティティが認められなかった。女と認められるのは家事労働に従事し男を支える賢い女であって、男を手玉に取ってガンガン銃を撃つような女は女からはみ出した女アウトロー、アバズレ以外の何者でもなかった。アタマがよくて才能があり、健康で独創的で世界を変える能力がある女でも、家事という束縛にはネをあげた。その痕跡を現代でも女はしっぽの跡のように尾骨に残している。結婚しようと主婦になろうと、本音をいえば家事は嫌いという女はいくらでもいる▼70年代アメリカで女性の解放運動が動き出すと、公民権運動にもはずみがつき、マイノリティの発言力が強くなっていった。人間ってもともと自由な生き物だ。自分が自由であるためには人の自由だって認めるのが当たり前だ、という考え方や感じ方が広がっていくのは自然なことだったのだ。そうなるとしっかりした強い女が好きな男たちが、今までのヒロインに飽き足りず「おれはこんな女が好きなのだ」と自分で脚本を書き、大好きな女をせっせとスクリーンから世間に送り込み始めた。コーエンもジャック・ヒルも、タランティーノも、リドリー・スコットもジェームズ・キャメロンも、彼ら一流の男のつくった一流の映画のヒロインは、どいつもこいつもあきれるほど厳しくわがままでストイックで、破滅すれすれの危機にあってさえ、やりたいことの我を通す▼本作に登場する人物たちがだれもかれも札付きである。ヒロイン、フォクシーの兄はヒモである。よくこんな俳優を見つけてきたと思うほど貧相で貧乏じみていて、女をおだてて汁を吸っている。体だけはいいので相手に不自由しない。彼は言う「おれは黒人だが歌も歌えないしダンスも踊れねえ。説教も知らないしアメフトやるには背が足りん。市長にもなれない。テレビででかい家に住んでいい車にのる連中をみるたび野心が燃え上がる」そういう兄貴が潜入捜査するフォクシーの恋人の素性を敵に売り、恋人は殺された。パムの怒りと悲しみは憤怒となる▼悪の親玉も本作では女である。警察と女ボス・キャサリンが牛耳る麻薬組織は癒着関係にある。キャサリンは超高級コールガールをとりまとめ犯罪をもみけす。フォクシーはキャサリンの面接を受けコールガールの一員として仕事に出る。客の社会的立場は判事、国会議員、陪審員、コールガールたちはかれらをたぶらかして警察に捕まった配下の麻薬売人らの量刑を軽くさせるのが役目だ。しかしフォクシーは初仕事の判事を「いい気持ち」にどころかコケにして上客は激怒。示しがつかなくなったボスはフォクシーの正体をつきとめ「牧場」と呼ぶ性的リンチの場所に監禁するが、フォクシーは逆に小屋を爆破し脱出。そのへんにあるポリ容器や針金みたいな小道具で、コチョコチョなにかしたかと思うと爆弾ができあがるのは、手際がよすぎるが目をつぶろう▼ろくでなしの兄貴だったがその兄も殺された。フォクシーの復讐はもはやノンストップ。ボスの恋人を捕まえ、彼の男性自身をきりとりびん詰にしてキャサリンにおくりつける。もろにスクリーンに出しはしないが、それとわかる薄ピンク色の局所が現れキャサリンは絶叫。キャサリンというのがね。どこまでもえげつないワルかといえば、恋人だけが彼女の弱みというアキレス腱がある。若いきれいなコールガールたちに色目を使う恋人に内心おだやかでない。彼は仕事の上の腹心でもある。キャサリンのギャップがけっこう面白かったですよ。アクションシーンでいえば、ゲイバーに入ったフォクシーが空手黒帯の女に「歯のあるうちに帰りな」と言われ、返事もせず椅子で殴りつけ「わたしはケンカ黒帯よ」なんてね。後年アクションで一時代を画す、ユマ・サーマンやミラ・ジョボビッチ、リンダ・ハミルトン、あるいはアンジーのような、本格的な格闘技ではありませんが、撮影技術やトレーニング方法に限界があった当時としては、格段に刺激的でした。ともあれこのときのパムの勇姿にタランティーノは(ぽ~)となった(笑)。タランティーノは胸をときめかしたパムをとうとう23年後「 ジャッキー・ブラウン 」でスクリーンにカムバックさせます。もちろんパムは魅力的な女性ですが、思いを遂げたタランティーノの「男の純情」って、いい奴だなと思いません? 

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