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シネマ365日

2011年6月15日

「バウンド」 (1996年)

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監督ウォシャフスキー兄弟 偏愛のたまもの

大作でもヒット作でもなかったが、妙に忘れられない、という映画がある。「バウンド」がちょうどそれだ。主人公は5年の服役から娑婆に出たばかり、ただいま配管工事の作業員という女泥棒のコーキー(ジーナ・ガーション)と、マフィアの愛人ヴァイオレット(ジェニファー・ティリー)。
コーキーは「セックスは初対面でもできるけど、盗みはよほどの相手とでないとできない」という知的な女。ヴァイオレットは初対面で彼女に惹かれる。二人はマフィアの金200万ドルをまきあげる計画をたてる▼殴られたり縛られたり、さんざん痛い目にあいながら女二人は大金をものにする。クールなコーキーと、どこか人がよく憎めないヴァイオレットの組み合わせ、フィルムノワールとしては定石にちかい筋書きなのに「妙に忘れられないもの」はどこにあったのか。
グレーの空間に「BOUND」のフィギュアだけがサウンドとともに立ち上がる。不安と期待、胸さわぎをかきたてる映像空間に、ハタと思い当たらないだろうか。
そう「マトリックス」なのだ。緑と黒のフィギュアが縦列に流れる無機質なオープニング。いかにもこれはウォシャフスキー兄弟の初監督作品なのである。1996年「バウンド」99年「マトリックス」2003年「マトリックスリローテッド」03年「マトリックスレボリューションズ」
15年の間に4作。うち3作はマトリックスシリーズとくれば、彼らの映画づくりがいかに偏愛のたまものかわかるだろう。そう思って「バウンド」をみると「マトリックス」のワイヤーアクションにつながるシャープなアングル、仮想現実と現実との往還、人気のないモノトーンの建物、決め手になる小道具は電話。
どっちの映画にも、兄弟の好きでたまらない環境設定が、映画言語が無尽にちりばめられている。兄のラリーには女装趣味があると離婚した妻が言い、実際に女装しているラリーの写真がネット上に流れたりした
思えば「マトリックス」のトリニティことキャリー=アン・モスはビューティフル、というよりハンサムな美人だった。「ショーガール」で階段から突き落とされるベガスのダンサーを演じたギーナ・ガーションの、唇を半開きにしたセクシーな表情は「バウンド」でも見られるが、容貌はどちらかというとハンサム系であろう。
女装だろうとナンだろうと、こうでなくちゃ映画は面白くならない、そんな兄弟の熱い偏愛が、いたるところでぱちぱちショートしている映画なのだ。

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