女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「アニマルフェスティバル」

2015年1月9日

特集「それいけ、アニマル・フェスティバル3」 レミーのおいしいレストラン (2007年 ファンタジー映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ブラッド・バード
出演(声) パットン・オズワルド/ピーター・オトゥール

天才ネズミ頑張る 

 この映画の趣旨とすれば「だれにでも料理はできる」はずなのに、主人公の見習いシェフ、リングイニは最後まで料理はできず「才能は皆無」のうえ、天才ネズミのレミーに頼りきり。このダメキャラをまっとうさせる監督のなんたる豪腕。そういえば本作の4年後ブラッド・バード監督は「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を撮っているのね。ミッキー・マウスの生まれる国だからネズミに抵抗がないのね。可愛い、可愛いって感じなのでしょうか。日本じゃどんなイメージがあるか。ドブネズミ、ノネズミ。あんまり美しいたとえではないな。大山鳴動ネズミ一匹。大騒動したわりに出てきたのはネズミ一匹。うれしいときや喜ぶときに使う言葉ではない。袋のネズミとは追い込まれて逃げ場がない…いやだ、いやだ、ストレス喚起剤みたいな言葉。ひとりきりでいるさびしげな様子は「ネズミに引かれそう」ふうん。ボッチっていうネズミの一種がいたのかしら? 日本語のことわざにもネズミは多いけど「鼠口ついに象牙なし」なんて、つまらない人間が立派なことを言えるはずがないですって。犬口や猫口や虎口ではなく、どうして鼠口なのよ▼こういう精神的背景があるせいか、料理の天才ネズミという設定に、あまり「その気」になれないのよね。ファーストシーンから汚い、狭い穴蔵にひしめくネズミ集団が出てきて、レミーが一族に別れを告げネズミの巣をでていくのにヤレヤレ。ここで料理なんか作られたらどうしようかと思った。でもさすがブラッド・バード。てきぱきとめまぐるしく切り替わるシーンの連続。けたたましいとまではいわないけど、どうしてこんなに忙しい映画なのよ、いっそ料理でなく天才ネズミのアクション・キャラにしたらよかったのに。ひょっとして「M:I4」のイーサン・ハントはそのノリだったりして▼レミーはともかく、人間の主人公リングイニがイライラするほどヘタレなのよ。彼はレストラン「グストー」のオーナーシェフの忘れ形見なのに、厨房でやること為すことヘマばかり。調理場で唯一の女性コック、コレットはグストーのレシピをただひとり忠実に守る。「調理台は整理整頓よ。脇を締め手は体のそば。みんな刃物や鍋を持って動き回るから、脇を締めておけば怪我ややけどを防げる。袖口はきれいに。味見せずにいいバケットを見分けるのは匂いでも見た目でもなく皮の音よ。シンフォニーのように鳴る音がいいの。最高の野菜を手にいれるには自分で作るか農家と仲良くなる。買収することもある。この調理場でフォレストは刑務所に入っていた。ラルースはレジスタンスの武器調達人。ラロは12歳で家出、サーカスのアクロバットだったわ。男社会の料理人のなかでわたしはひとりでここまでやってきたの。あんたのヘマで足を引っ張られるなんて、許さないわよ」と啖呵を切る元気女子。個性的な職場環境に錦上花を添えるのがスキナーだ。料理長である。金儲け第一主義で、グストーの死後やたらと威張り散らしグストーの名を借りた冷凍食品を売りさばこうと考えている。とても背が低くほとんどの作業にはしごを使う▼もうひとりの個性派は料理評論家のイーゴ。彼の容赦無い批評で職を失った料理人と店を閉めたレストランは数知れず。残酷非情をもって鳴る地獄の使者。グストーの店も彼の批評のために星ひとつ失い、失地回復のさなかグストーが死んで、決まりによって星をさらにひとつ減らされ現在に至る。ひょんな出会いでレミーとリングイニは友達になり、レミーはリングイニに料理を教える。コックの帽子のなかに隠れリングイニの髪の引っ張り方で方向を指示し、動きをコントロールするのだ。リングイニの作った料理はたちまち評判となり店は大繁盛。リングイニは料理長に昇進。しかし人間におごりはつきもの、リングイニは「ネズミのあやつり人形ではない」と反撥するようになり、おまけに隙を狙っていたスキナーの計略にひっかかり、今までの料理はネズミがやっていたとわかってしまう。しかもイーゴが試食にやってくるというのに店は内部分裂でめちゃくちゃ。リングイニのリーダーシップのなさにコックたちは見切りをつけて辞める。コレットも出て行く。ただひとりふみとどまったのはレミー。ネズミの男一匹さあどうするレミー。ネズミ一族のチームワークと奇跡の大逆転。そんな、そんなバカな、と思いつつも感動させられました。本作はアカデミー長編アニメーション賞を受賞。リングイニのしつこいほどのヘタレ気味はマゾ的ですらあります。もうひとつこの人だけはぜひ。イーゴの声はだれあろう、ピーター・オトゥールです。「アラビアのロレンス」から45年。本作のあと闘病生活に入り6年後に没しました。2013年12月14日81歳。インタビューを受けながら水を飲んでいる、水だと思っていたらジンだったというエピソードがあります。

Pocket
LINEで送る