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特集「ナンセンスは素敵だ」

2015年1月15日

特集 ナンセンスは素敵だ メイクアップ (1979年 事実に基づく映画)

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監督 ピーター・トレイナー
出演 ソンドラ・ロック/コリーン・キャンプ/シーモア・カッセル

狂ったソンドラがいい 

 ソンドラ・ロックっていい女優だったと思わない? クリント・イーストウッドの愛人としてしか覚えられていないだろうけど、この「メイクアップ」をみて、彼女はクリントと出会って果たしてよかったかどうか考えてしまったわ。それくらい本作のソンドラって狂気にはまっているわ。クリントとは12年ほど公私とものパートナーだったけど、どれもみなクリントの引き立て役にしてどうでもいい役ばかりだった、唯一彼女の異常性が際立ったのが「 ダーティーハリー4 」の復讐鬼だった。クリントとの泥沼裁判はどうでもよかったけど、本来の女優業であの狂的な持ち味をだしてほしかったわ。冷たい美貌といえばどこからみても文句なし、というのがカトリーヌ・ドヌーブとかティルダ・スウィントンだろうけど、彼女らはとても明るくてユーモラスで、真面目くさって三枚目やるのが大好きな女優たちよ。だいたい曇天と悪天候が多いイギリス(それもティルダはスコットランド)とか、懐疑がお国柄のフランスにいると、本人はそうでなくとも、厭世的な雰囲気が身についてしまうのよ。本作のソンドラを見ているとアメリカ生まれのアメリカ育ちなのに、得難い持ち味だったと思うわ。それなのに莫大な慰謝料とひきかえに、一生の仕事を棄てたようなものじゃない。残念ね▼ナンセンスといえばこれほどアホくさい映画も少ないです。ソンドラが30歳のときですね。ちょうど「ガントレット」でクリントと共演して、以後「ダーティファイター」「 ブロンコ・ビリー 」と続く。1970年後半から80年にかけ、彼女が出演した映画を比べてみても「メイクアップ」が完全に異質だったことがよくわかる。DVDのパッケージによれば、女性に潜む暴力性、野性を描いたものだそうです。こんなマンガみたいな描き方をせんと女の暴力性ってわからんものなのでしょうか(笑)。サンフランシスコで実際にあった事件をもとにした映画らしいわ。最後まで耐えぬいた本作の男性をどう称えればいいのでしょう。でもねえ、いわせてもらえば、いくら気違いじみた女たちだったとしても、たかが小娘ふたりでしょう。筋肉では負けないはずの男が、下心があったばかりにこんな「災いなるかな/隣人に悪をもって報いる者たち」(エノク書)に、つけこまれたのね。気の毒。スジらしいスジなんてないの。ただ行きがかりに立ち寄った女ふたりが家中を破壊し3Pをやり、裁判ごっこをやり、精も根もつきはてた男をしばりつけいたぶって、満足して「あばよ」。意気揚々と道路を跳んでハネながら歩いているところへ、トラックが突っ込んで来て正面から衝突し(たぶん)即死。救いようのない映画といえばそれまでです。それを救っているのがソンドラ・ロックのみごとなサドぶりだといえばほめすぎか▼さて男性主人公は40歳の誕生日を迎えたジョージ(シーモア・カッセル)。妻のカレンとふたりだけの夜をすごすはずが、妻の実家から遊びに行っていた息子が盲腸になったという電話。妻は急行し幸い息子の様子はよくなったと一報が入った。ジョージがほっとしたところへ玄関のチャイムが鳴る。開けてみればずぶ濡れの少女ふたり。友人のパーティに行く途中道に迷った、タクシーも通りかからない、電話をかしてほしいと頼む。ジョージは快く家に上げ電話を使わせる。ジャクソン(ソンドラ・ブロック)とドナ(コリーン・キャンプ)は電話をかけ迎えにきてほしいとジョージの家の住所を告げる。ジョージは風呂に入れとか、乾いた衣類を乾かせとか親切にすすめ、女たちに否やはない。あまり長い間風呂に入っているので、覗いてみると、可憐な少女はどこへ、いやらしい誘惑の目でジョージをジ~。まるで蛇ににらまれた蛙同然、ジョージは一晩3Pに現(うつつ)を抜かす▼翌朝女たちはしゃあしゃあと朝飯のテーブルにいる。彼女らの食事の行儀の悪いこと。冷蔵庫からだしたハムをサラに放りなげ、手づかみでちぎって口に入れ、ジャムのついた指を舐めながらガツガツ食べ、食べながら牛乳をガブ飲み。口の端からこぼれ、したたり落ちる白い液を手の甲でぬぐい、ハムを食いちぎる。やっと彼女たちの正体がわかった。そのへんをうろつきながらさまよっていたホームレスだったのである。なんと「この家が気にいったわ、わたしはここにずっといたいわ」と言う。ジョージが「とっとと服を着替えて出て行け」と怒鳴ったら「わたしたちは未成年者よ。ドナは15歳、わたしは17歳。身分証明証もあるわ。あなたのことを変質者だと警察にいえば、奥さんは50年間差し入れすることになるわ。慰謝料にこの家をちょうだい」「望みはなんだ」とジョージ。そんなこと、どだい聞くのがまちがいよ▼ふたりはジョージをしばりあげ、クローゼットから衣類を取り出し、ソンドラはタキシードに、ドナはドレスに、目を隈取り異様なメイクアップでジョージをもてあそぶ。そこへきた宅配の青年までだましてひきずりこみ殺してしまう。こうなると悪さではすまない。あと3時間、この砂時計の砂が落ちてしまうときにあなたを殺すと彼女らは言い、朝の6時。斧をふりあげジョージの首すれすれに振り下ろし、嬌声をあげ「冗談よ、ホント楽しかったわね、一生忘れないわ、ずっといっしょにいたいけどお別れね、さよなら」機嫌よくルンルンで家をあとにし、トラックに轢かれるのである。死んだのは女たちの勝手だが、大の男がこれでいいのだろうか。いいもヘチマも事実がこうだったのだから仕方ないよね。こわ。人はときに「断固決然」って大事よね。

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