女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2015年1月30日

ランナウェイ/逃亡者 (2013年 事実に基づく映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ロバート・レッドフォード
出演 ロバート・レッドフォード/シャイア・ラブーフ/スーザン・サランドン/ニック・ノルティ/ジュリー・クリスティ/クリス・クーパー/ブリット・マーリング

レッドフォードさま敬礼 

 まあそうそうたる出演陣ですね。ロバート・レッドフォード監督となるとこうもみなさん、まるで草木がなびくように出演をOKなさるのでしょうか。若手ではシャイア・ラブーフとブリット・マーリング。マーリングは出演本数こそ多くないけど「 アナザープラネット 」で主演、「 キング・オブ・マンハッタン 」ではリチャード・ギアとスーザン・サランドンの娘役に扮します。緒方貞子さんやビル・クリントンが卒業した名門ジョージタウン大学出身。ドキュメンタリー映画の監督のほか「 アナザープラネット 」では脚本・制作・出演を担当しました。今後が楽しみな31歳の俊英です。理知的な美人だしね。本作ではレッドフォード監督が最後まで、隠し球に温存しておいたキーパーソンを演じます▼で物語は…っと。本作を「事実に基づく」としたのは、ベトナム戦争反対を訴える過激派グループ「ウェザーマン」が実在していたからです。レッドフォードはいかにも彼らしい、悠揚せまらぬテンポで事実経過を叙事していく。それでいて「レッドフォードくん、キミなにか隠してるやろ。さあ白状しろ」と観客をジレジレさせる手練手管は衰えませんなあ。それにこの贅沢な女優の使い方。スーザン・サランドンなんか初めのうちチョロっとでてきて、2、3分もっともらしい台詞を述べそれっきり退場。監督、サランドン姐さんにせめてもうちょっと、ドスの効いた台詞しゃべらせたってくれや、と言いたい。おおそれにジュリー・クリスティだわ。最近ご活躍が目立つわね。ヨットで登場するシーンは遠目とはいえ相変わらずスラっとしておきれい。レッドフォードとのからみは普通だとあくびがでるありきたりのシーンなのですが、このふたりがやると、映画界の生き字引がしゃべっているみたいな「さあ、今日は演技の典型的パターンのひとつを勉強するぞ」ってレッドフォード先生が言っているみたいな錯覚に陥りました▼それにニック・ノルティの旦那。男気みせてくれるじゃありませんか。みんなもと過激派の闘士ロバート・レッドフォードから電話がかかってくると疫病神が生き返ったみたいに避けまくるのに、彼だけは「親友だろ」と温かく迎え、逃亡に必要な足のつかない車を調達したりして協力する。年取った闘牛の面影を残す骨っぽい役者です。彼をみていると(やっぱり男っていいなあ)という気にさえ、させてくれる。クリスティとは「アフターグロウ」で共演済み。気持ちの離れた心に傷を持つ夫婦が再び絆を取り戻す映画。ニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞受賞。クリスティ復活のきっかけをつくったのはニックとの共演だったともいえた▼ところでシャイア・ラブーフ君です。彼も27愛。さすがにちょっと男っぽくなっています。でもなんでこう彼は「気の弱い男の役」が回ってくるのだろう。持ち味だから? このたびは上司に抵抗しても特ダネを追う地方新聞社の記者。ローカル紙であるゆえ取材で社名を言っても「三流新聞の記者」とバカにされる。そこで怒りもスネもせず仕事するのがラブーフ君のいいところで、レッドフォード御大を執拗に追い続け証拠をつかみ(よしやったぞ)ついにものにした一世一代のスクープなのに〈送信〉を前にクリックをためらう。こういうときの彼の繊細な表情は天下一品ですね。歯がゆいくらいの気弱な男性の役が多かったですが、このたびは一皮むけた感じ。そらなあ周りにいる役者をみたらボサッとしちゃおれんわな。若手に刺激を与えるこういうところ、やっぱりサンダンス映画祭を率いて映画に新鋭を送り込んできた、レッドフォード監督ならでは、の育成感覚でしょうか▼最後にレッドフォードさま登場。監督に進出した俳優としてはクリント・イーストウッドがいます。彼の場合「許されざる者」が分水嶺となって大きく作風を変えましたが、こちらの方はあくまでロマンティックかつ叙情的なレッドフォード流をかえません。それが物足りないこともあるのですが、まあなにしろご立派だわ。クリントあなたも頑張って。じゃ。粗筋? 本作は粗筋などで見る映画ではございません。そんなもの、知っていてもいなくても大勢に影響ない。77歳のレッドフォードさまが逃走シーンの山道を、スタントも使わず、メタボのお腹で走るのですよ。最敬礼。

Pocket
LINEで送る