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コラム

2011年10月8日

ばらの花で世界平和を願う 靈山寺

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東山泰子さん
靈山寺管長夫人

「世界の女性がプレゼントされたいお花の第一位はバラなんですって。」と目を輝かして話してくださるのは、ばらの寺として有名な、奈良市富雄の古刹、大本山靈山寺(りょうせんじ)の管長夫人東山泰子さん。
天平8年、行基菩薩の開山といわれる名刹に嫁いで48年余り、お寺の執務や行事、信者さんのお世話など、多忙なお寺の裏方の仕事に徹しながら、先代の管長が残したばら園を守り、お寺の文化活動普及にも勤しんでこられた。

靈山寺のばら庭園は、第二次世界大戦で朝鮮半島に出兵した先代の管長が2年間のシベリアでの抑留生活を終え帰還した後、昭和32年に、京都大学農学部の新田伸三博士に設計を依頼して開園したもの。「お寺を訪れる人に花園を見て心の安らぎを感じ、世界平和の大切さを知ってほしい」という願いが込められている。
多くの花の中からばらを選んだのは、庭園が本堂から見てちょうど鬼門(北東)に当たるため、柊のようにトゲのある植物を植える風習に習った。「ばらというと、西洋の花と思われがちですが、実は園内にも植えてある日本のハマナスや中国の庚申ばらが原種なんです。万葉集には荊(いばら)が出てきますし、お釈迦さまが出家されるとき、しおれていくばらの花の様を見て、世の無常を感じられたという逸話もあります。なによりもばらは世界中の女性に愛されるお花のナンバーワンですよね」「ばらには、膨大な品種があって、色、形、香りともふたつと同じ花はありません。個性的に生き生きと生きる現代女性にぴったりだと思いませんか」と、ばらの話となると自然と微笑がこぼれて、熱が入る。寺には、ばら園専門の園丁がいて一年中丹精をこめて世話をしている。1200坪の園内に、200種、2000株のばらが咲き誇る春と秋には大勢の人が訪れる。

ばらに魅せられて、園内にはローズティやバラのアイスクリームや香りグッズを楽しめるティーテラス”プリエール”を開設、香りの文化講座やばら尽くしの料理(ばら夢想)なども作ってしまった。大きなハイブリッドバラがもてはやされた昭和の頃と違って、近年はより自然に近いオールドローズなどが人気だという。「お花の好みも時代によって変わってくるのですね。園内のスロープも整備して、高齢者から子供さんまでゆっくり楽しんでいただけるようになりました。お寺を訪れる方がひとりでも多く心の平和を感じていただければ嬉しいです。これからは花の時期だけではなく、四季を通じて自然なばらの姿を見てほしい。」という。「お寺のご本尊と縁を結ぶきっかけを作っていただくため」、写経会をはじめ寺内での文化講座やさまざまなコンサート、展示会など、内外を通じて多彩な文化活動にも尽力される日々、にこやかにしっとりと話されるお姿に接して、ああこの方も、またお寺に咲く香り高い大輪のばらの一輪に違いないと思ってしまった。

バラ園内喫茶は、10月8日(土)~11月13日(日)。10月22日(土)~11月13日(日)は、秘仏も公開される。自然豊かな境内の緑の中で、馥郁と香るの秋ばらに出会うのが楽しみだ。

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