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特集「男前」

2015年2月25日

特集「男前2」 イザベル・アジャーニ ザ・フォース(2011年 犯罪映画)

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監督 フランク・アンリ
出演 イザベル・アジャーニ/エリック・カントナ/アンヌ・コンシニ

このヒロインだけはパス

 「神も仏もあるものかといいたくなる映画ベスト10」を選ぶとすれば、かなり上位にランク入りよね。傑作だけど二度とみたくない映画を数本あげると「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「わたしを離さないで」「モンスター」「ボーイズ・ドント・クライ」「 主婦マリーがしたこと 」「ファニーゲーム」「肉屋」「 ピアニスト 」「マルホランド・ドライブ」「マリー・アントワネットに別れを告げて」。これで10本か。11本にすれば本作が入ります。ゲイ映画が3本、ミヒャエル・ハネケが2本、クロード・シャブロルが2本、デヴィッド・リンチが1本。われながらだいぶ偏っているかな(笑)▼イザベル・アジャーニは「ハイランダー症候群」(年をとらない奇病)ではないかとまことしやかに言われたことがありました。幸か不幸かその都市伝説は打ち破られた写真がネット上に現れましたが、本作までは確かに「ハイランダー」も当たりだといえる。デビュー以来変わらぬ体型、美貌、肌、表情のきらめきにしなやかな手足(ほめすぎですが)。「殺意の夏」が27歳、本作が56歳。30年の歳月をケミしながら時間はイザベルを避けて通ったのか。健在なのは肉体だけではない。その精神。まったく後味のよくない映画なのですが、ある意味(やっぱりイザベルの映画)というか(こんなヒロインはイザベル以外該当者なし)という説得力があるのです。イザベルは女刑事ダミコになります。パリを荒らしまわっている覆面武装盗賊団「オール・ブラックス」がなかなかつかまらない。ダミコ刑事は着任した女性検事総長カネッティ(アンヌ・コンシニ)の指示にしたがい早急に犯人をあげるよう言い渡される。カネッティは捜査の全権を委任された切れ者である。アンヌ・コンシニがちょっとイケズそうな官僚トップの冷タ~イ雰囲気をよくだしています▼「やっぱりイザベル」と前述したのはダミコの性格設定です。捜査は膠着状態。なんとしてでも打開し、タカビー検事総長の鼻をあかしてやらねばならぬ。彼女は二重三重の苦境にたっています。息子は出来が悪く少年刑務所入り「刑事の君にとっては痛手だろう」という同僚のなぐさめにも(息子と仕事は関係ない)とダミコは木で鼻をくくった対応。仕事にかまけ息子の世話をみてやれなかったため、息子はグレタという母親の後悔はダミコに限って無縁である。でもそこはそれ、やっぱり母親ですから息子を人並みの社会人として立ち直らせたいと思っている。そこでダミコのとった方法とは。カネッティ検事総長の指示でもあるのですが、とにかく身勝手を絵に描いたような計画です▼刑務所にはマカロフ(エリック・カントナ)という大物犯罪者が服役していた。愛する家族のもとに帰り今度こそ真人間として人生を歩みなおそう。マカロフはそう決心した模範囚である。ダミコはマカロフを警察の手先として「オール・ブラックス」に潜入捜査させようというのだ。冗談じゃない、オレはもう少しで保釈になるのだ、いまさら警察のイヌになってチャンスを棒に振るのはごめんだとマカロフはきっぱりはねつけます。当然です。それでひっこむダミコ刑事ではない。協力しなければ保釈は無期延期だとか、自分だけが知っているあのこと、このことをばらしたら死ぬまでここを出られないとか、その変わり力を貸してくれたら就職は確実、収入も破格、社会的立場も保証する、とテンコ盛りの甘い約束でマカロフにウンといわせる。捜査とは別に、個人的にダミコは自分の息子を更生させるため薬物の売人との交渉をマカロフに頼むが、取引の現場で打ち合いとなって息子は重傷を負う。ダミコ刑事はマカロフと簡単に寝ます。なにかこのふたり同じ犯罪者の匂いがします▼その筋の大物だったマカロフはなんなく組織に潜入。一団に入ったものの警察と連絡をとっているところを仲間に目撃され、その男を殺す。このたびの「オール・ブラックス」の目的は宝石強盗だ。マカロフをまじえた3人のメンバーは計画通り、宝石を積んだ飛行機をハイジャックする。ところが待ち構えていた警察に襲撃され、仲間は撃たれ、残ったマカロフはダミコを人質に飛行機にたてこもる。メディアをよびつけたマカロフは自分が警察と検察にはめられ、脱獄犯に仕立てあげられ、やむなく強盗団の潜入捜査に協力したことをばらす。ダミコを証人とする。一部始終を機内から報道陣に放送したマカロフは投降する。ところが重傷だった息子が病院で死んだことを知った父親(ダミコの元夫)は制止を無視して現場に押し入り、マカロフを射殺する。息子の死を知ったダミコは泣き崩れる。かなりどんくさい捕物シーンのせいか、いちばんかわいそうな目にあったはずのマカロフに(これじゃしょうがないわね)って感じで同情しにくい。ダミコがかかわったばかりに人生計画すべてが狂い、命まで落としたのに。ダミコは目的のためには手段を選ばず。自分の息子のためにマカロフを使い、息子もマカロフも死なせることになるがこういう人ってそれでなにかを後悔するかというと、全然しないのよね。すべて自分以外の人間が悪い、バカだ、愚かだで解決する。「殺意の夏」ではまだショックのあまり精神に異常をきたす弱さをイザベルは演じましたが、それから30年、ダミコ刑事は花も嵐も踏み越えてジコチュー全開。ある種の壮観を呈しています。絶対になりたくないヒロイン・ベスト10入り確実。

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