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特集「男前」

2015年2月28日

特集「男前2」 マリアンネ・ゼーゲブレヒト バチカンで逢いましょう(2012年 家族映画)

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監督 トミー・ヴィガント
出演 マリアンネ・ゼーゲブレヒト/ジャンカルロ・ジャンニーニ

25年、巡ってきた役 

 ヒロイン、マルガレーテは夫に死に別れ、カナダの大自然に囲まれた住まいから娘の家に移住することになる。早くもここで映画は不吉な予感を感じさせる。案の定車の中で娘のマリーが切り出したのは、オマ(ドイツ語でおばあちゃん)を老人ホームにいれるという話。マルガレーテにあてがわれた部屋は暗く狭く、太ったマルガレーテがお尻をおろしただけでベッドはかしぎそう。娘はオマがいるとセックスもできないとぼやくが、最近いっこうに「したい」と思わなくなった夫婦仲につくづく倦怠期を感じている。翌朝目が覚めてみるとオマのベッドはからっぽ。メモには「ひとりでローマに行きます」いいぞ、オマ、やるじゃん!▼ローマに行く目的は法王に許しを乞うためだ。オマには秘密があった、というのが本作のキーワードのひとつだが、秘密とやらもさることながら、ローマについてからやってくれるオマの騒動ぶりがこの映画の中心軸だ。相方を務めるのはローマの老詐欺師ロレンツォに扮したジャンカルロ・ジャンニーニ。ゼーゲブレヒトの強い推薦だった。ローマに着いたオマがやってきたのは孫娘マルティナのアパート。子守をしながら大学に通っているはずの孫は、バーのロックバンドのボーカルと同棲し、自分はバーテンをやって生活費を稼いでいる。オマの話をきいた孫は「なんてママなの、老人ホームなんていかなくていいわ!」男は迷惑そうだが、オマは豚小屋みたいに散らかっている部屋をきれいに掃除する。ここは「バグダット・カフェ」のオマージュですね▼バチカンへ法王に会いに行ったオマは、単独会見などできない、謁見は団体で週一回水曜日のみと聞く。行列を作って何十人も待っているところへ目の不自由な、かなりの年配の男(ロレンツォ)が杖をひきながらやってきた。気の毒になったオマは自分の順番を男に譲ってやる。ところが帰途その男がスクーターで走り回っているのを見て頭にくる。空腹になったオマは、せめて母国ドイツのバイエルン料理を食べたいと、さんざん探しまわって入ったレストラン。注文した料理のまずさにオマの怒りは爆発、シェフを包丁でおどして調理場から追い出し、自分で作ったドイツ風カツレツ、カイザーシュマーレンをビール片手にたいらげる。食べてごらんとすすめられ、一口食したシェフはそのうまさに目が点▼レストランへ入ってきた例の詐欺師。彼はシェフの父親で、息子がいやいやながらレストランを引き継いだのは余命いくばくもない母親つまり詐欺師の妻を安心させるためだとわかる。憎めなくなったオマはレストランで働くことにする。新シェフのつくる本場ドイツ料理に店は大繁盛、評判をききつけたバチカンは、法王と来賓の接待に100人分のカイザーシュマーレンを作ってほしいと頼む。ロレンツォはロレンツォで法王に謁見できるのは結婚の祝福を受けるときであるから、自分と結婚することにして法王に会い、なにかしらんが長年秘めている許しを乞えばよいと入れ知恵する。そこへオマと孫娘を心配したママがローマへやってきた…▼オマの秘密というのは若いとき一度だけの情事でできた子供がマリーである、それを聞いたマリーはショックでローマの町を放浪し行き倒れて野宿、迎えにきた夫の愛を再確認、カナダに帰ることに。いっしょに帰国するはずだったオマとマルティナはローマに居残り宣言。マルティナは心機一転人生をやり直す、オマは妙に気の合うロレンツォとこれからの人生をいっしょに過ごすのも悪くないと思う。三者三様、けっこう重い現実をかかえているのにテンポは軽快だ。なんといってもゼーゲブレヒトとジャンニーニのつわものふたりがじっくり映画を煮詰めています。ゼーゲブレヒトは「 バグダッド・カフェ 」の成功のあとハリウッドで、シュワルツネッガーやウッディ・アレンからの、あるいは「ハリポタ」出演のオファをみな断り、自分に最適の役がめぐってくるのを待ったとインタビューで答えています。「バグダット・カフェ」から25年、彼女が本作を受けたのは脚本のジェーン・エインスコーとガブリエラ・スペーリが、ゼーゲブレヒトを念頭においてオマを造ったからでしょう。役と役者とは心身一如という言葉を思います。

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