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特集「ベストコレクション」

2015年3月2日

特集 弥生3月/ベスト・コレクション アンダー・ザ・スキン 種の捕食 (2014年 サスペンス映画)

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監督 ジョナサン・グレイザー
出演 スカーレット・ヨハンソン

エイリアン女子

 スカーレット・ヨハンソンは他の星から地球に派遣されたエイリアンの、われわれの業界でいえば外回りの営業なのね。捕食というのは男を食べるからよ。女は食べませんでしたね。女に変身した場合は男を、男に変身した場合は女を食べるきまりになっているのでしょうか。お腹がすいたから食べるのか、情報収集のために食べるのか、どっちかよくわからない。でもヨハンソンに女性の体を与えた、というか(この皮膚を着ろ)と指示した別のエイリアン(これは男性になっている)がいるところをみると、彼はヨハンソンの上司なのでしょうね。ヨハンソンに女の肉体を与えたのは単なる偶然ですか? それともエイリアンに地球の男女の性別による文化的・社会的属性について、基礎知識はあったのでしょうか。あったとみるべきでしょうね。どこの星からきたのか知らないけどけっこう勉強家だわ。若くて美人だったら男はすぐ寄ってきて、自分らの情報収拾にことかかないと考え、女をコキ使っているわ▼ヨハンソンのエイリアンはとても静的なのです。現れた場所はスコットランドのド田舎。灰色の雲が重く低くたれこめ、海は荒れ三角の波頭が鋭く岩を噛む北の海岸。人ひとりお散歩なんてしていない。無常な風景をみつめるエイリアン女子・ヨハンソンは喋らず、食べず、飲まず、セックスしたら途中でとびあがり、自分の性器にスタンドをあて観察する。さびれたダイナーに入ってケーキを注文し、白い生クリームの乗ったうまそうなケーキだったが、地球のスイーツの食べ方は国のマニュアルになかったみたいで首をかしげる。フォークを取り見様見真似で小片を区分けし、口にいれたら「ペッ、ペッ、ペッ」男しか食べたことがないから、これは食用であるとインプットされていなかったのでしょうね。いったん捕食すると黒い液体に男の肉体は溶けこんでいく。液体の下にはそれまで捕食した男たちがサンプルみたいに浮遊する。目的はさっぱりわからない。地球破壊なのか乗っ取りなのか、人類の偵察なのか、破壊だとしたら人間よりカモメが多い海の僻地を狙うだろうか▼ヨハンソンはバンを運転しながらネオンのついた町を流す。何人目かに声をかけたのは皮膚に疾患があり、顔貌が歪んだ男性で、でもヨハンソンは容貌が人間にどんな意味をもつかわかっていない。ごく普通に話しかける。若くてきれいな女性と親しく話したことのない男性は緊張でしゃべれない。「無口なのね。どこに行くの」「買い物」「夜に?」「昼間だとからかわれる」「恋人はいるの? 何歳?」男はとまどいながらもきちんと返事する。「女性と最後につきあったのは?」「一度もない」「さびしくない?」ヨハンソンが低いやさしい声でささやく。とても心地よい響きである。しかも「素敵な手ね」男はびっくりする。「わたしを見て」(男はうつむいたきりだったのだ)。「さっきわたしを見たでしょ。うれしかったわ。女性に最後にさわったのはいつ?」ヨハンソンが手をとって自分の頬にふれさせる。「どう?」「よかった」「首もさわれるわ。さあ」ヨハンソンは彼を殺さず逃がすのだ。バイクに乗ってヨハンソンを監視している上司のエイリアンが(ちゃんと業務を遂行しろ。しょうがないな)といわんばかりに、せっかく彼女が命を助けてやった男をおいかけ捕食してしまう。エイリアン女子・ヨハンソンに人間の感情が芽生えたという設定かもしれないが、女はエイリアンになってまでやさしさをまとわねばならんのか。あほらしい▼そういや「ぼくは君の夫だ」といいだす10歳の男の子にふりまわされる成熟女性の映画は同じ監督の「記憶の棘」だったわね。ニコール・キッドマンが天然以外のなにものでもない女を演じて真に迫っていたわ。耐えて待って補助して、心やさしいばかりに虚妄の世界に迷う、たよりないといって悪ければ、はかない立場は女ばっかりか(笑)。ヨハンソンが豊かなフルヌードを鏡に映します。ちょっとポッチャリした豊満な肉体です。ところがヨハンソンの視線が、宇宙から来た観察者のそれだというシーンですからエロチシズムは皆無。陰気なカビ臭い部屋でジロジロ自分の裸をみまわす変態チックな気色悪さ。あげくこのエイリアン女子はレイプ男に森のなかを追いまわされ、人間の皮膚で黒い正体を隠している怪物だとわかり、ガソリンで焼き殺される。ヨハンソンをつけ回して監視していたはずの上司は、肝心なときに助けてやらない。エイリアンになってまで女は哀れな役回りをやらなくちゃいけないかよ。そうそう、これぞヨハンソンという半開きにした唇元が見られなかったわ。彼女は胸こそ豊かだが、シャーリーズ・セロンやニコール・キッドマンみたいな長身ではなく小柄だし(160センチ)…そうか、今回は宇宙女子だからね、キミの半開きの唇元が地球ではセクシーだと、だれも教えてやらなかったのだな。

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