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特集「ベストコレクション」

2015年3月6日

特集 弥生3月/ベスト・コレクション フライト・ゲーム(2014年 アクション映画)

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監督 ジャウマ・コレット=セラ
出演 リーアム・ニーソン/ジュリアン・ムーア

シニア・アクションの確立 

 「RED/レッド」の出演者ではブルース・ウィリスが59歳、ジョン・マルコヴィッチが61歳、ヘレン・ミレンが69歳、モーガン・フリーマンが77歳だ(2015)。モーガン・フリーマンがドラマティックな死をとげたので、次作「REDリターンズ」にはアンソニー・ホプキンスが加わったものの、一作目の迫力はなかった。アンソニー・ホプキンスや、イ・ビョンホや、役者の名前には事欠かなかったとしても、ホプキンスはアクションが物足りなく、イ・ビョンホは若すぎて不協和音だった。なにがいいたいかというと、高齢社会とは映画においても「シニア・アクション」というジャンルを作ったのではないかと思えるのだ。「エクスペンダブルズ」を見よ。一昔前なら隠居していても不思議ではない男優たちが、ぞろぞろと、しかも嬉々として出演を競っている▼リーアム・ニーソンは遠からずこのジャンルの花形となるであろう。彼が現れたときの、スクリーンの温度があがり、空気の密度が濃くなるような存在感。デンとあぐらをかいた鼻の安定感。ついでにふれると、リーアムに匹敵する偉大な鼻の持ち主はジェラール・ドパルデューであろう。鼻は顔の中心であるから見たくなくても目がいく。鼻の形が変わっているとそれだけで印象に残る。そういえばきこえはいいが、現実に印象に残る鼻とは、鼻梁が細く、すっきり通ったきれいな鼻より、鼻の頭が割れているドパルデューのような奇怪な鼻である。オーソン・ウィルソン(「 グランド・ブダペスト・ホテル 」)の鼻も忘れられないが、なぜか彼は鼻の話題をいやがり、そのせいかどうか「ダージリン急行」では鼻を怪我した役で、劇中ずっと鼻を隠していた。リーアムは「シンドラーのリスト」でアカデミー主演男優賞候補となってから、どちらかといえばシリアスな作品が多く、彼の重厚な持ち味はよく似合ったのである。それを一変させたのは「96時間」だった。戦う親父・ノンストップの鉄腕パパ。これこそアクション映画の、もっといえばシニア・アクションの勝利だった。同作公開は2008年、以後「RED/レッド」(2010)、「エクスペンダブルズ」(同)が続くのである▼ストーリーは密室サスペンスと謎解きとパニックを全部そなえた盛り沢山な内容だ。こまかいことを言い出せば、じつはよくわからんところもあるが、なにしろリーアムがファーストシーンに酒瓶を手に、あの大きな体でうなだれ、しょぼくれたクマみたいに姿を現すと、なぜかそれだけで(つぎ、つぎのシーンよ、つぎ)と展開を促したくなるのだ。リーアムの隣のシートにすわる謎めいた女ジェンがジュリアン・ムーア。このふたり「クロエ」で共演済みです。航空保安官ビル(リーアム・ニーソン)は、元ニューヨーク市警の優秀な警察官。9歳の娘が白血病になったときも仕事を優先させ、死を看取ることができなかった。夫婦仲はギクシャクして離婚。以後酒に溺れ市警を去り、現在の職場の評価もはかばかしくない。その日任務として一般客を装いNY発ロンドン行き便に乗り込んだ。飛行機が大西洋上に達したころビルのケータイに「指定の口座に1億5000万ドル振り込まなければ、20分ごとに乗客のだれかを殺す」メールが入った。ビルは保安官本部に連絡し対応を検討するが「イタズラだろ」。操縦席の正副操縦士も半信半疑だ。ビルの経験はただならぬ危機を感じ取る。とうとう最初の犠牲者が出る▼それはビルの同僚の航空保安官ジャックだ。彼が運び込んだカバンの中身はコカインだった。ビルは身分をあかし乗客の携行品を調べるが手がかりは得られない。保安局が調べた乗客名簿にも怪しい人物はいなかった。指定された口座はビルのものであるとわかり、自作自演のテロではないかと疑いが向けられる。つぎの犠牲者がでるまでのタイムリミットは20分。ビルのケータイにはつぎつぎ挑発のメールが入る。だれが、どこでケータイを使っているのか。ビルは機内モニターでケータイを操作した乗客をチェックするが、かえって反発をつのらせる。だれもはいれないコックピットのなかで殺人が行われた。原因不明の発作で機長が口から泡を吹いて倒れたのだ。乗客のひとりがやはり同様の症状で死ぬ。どこから犯人はなにを使って犯行に及んでいるのか。ビルはジェンと客室乗務員ナンシーの協力を得て敵を絞り込んでいく▼ビルはトイレに隠れてウィスキーを飲むような依存症です。白髪まじりの無精髭をのばし、よれよれの服でどこか世捨て人ふうである。不憫な娘を忘れられず、娘がお守りにしていたリボンを離陸時指にまきつける離陸恐怖症。最初のアクションはトイレの中の同僚保安官と。腕も脚ものばせない狭いスペースに大の男ふたりの接近戦だ。指を折る、鼻を打つ、肘を使う、四肢を手品師のように流麗に、繊細に動かすリーアム親父。その動きだけでも見とれる。正直いうと本作は「孤高のヒーロー」定番ものだし、コックピットで生き残った副操縦士が「テロリストがいる、爆弾を仕掛けている。爆破されたときの緊急措置として高度8000フィートに低下する」といっているのに、保安局も旅客機の左右に位置した空軍機も貸す耳もたない。機内ではついに犯人対ビルの決戦が。ジェンは心臓の大手術を経てつぎの発作で死ぬといわれていたのだけど、機内の格闘・爆破・不時着の大ショックにも大丈夫だったのね。最後までビルの味方だった彼女と、乗務員のナンシーが流れ弾なんかで死ななければいいな、と心配していたのよ。よかったわ。

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