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特集「ベストコレクション」

2015年3月8日

特集 弥生3月/ベスト・コレクション リベンジ・マッチ(2014年 スポーツ映画)

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監督 ピーター・シーガル
出演 シルベスタ・スタローン/ロバート・デ・ニーロ/キム・ベイシンガー/アラン・アーキン

ノスタルジアの香り 

 スタローン大好き。彼の映画作りにおける「物語ることへの信頼」ってもう宗教の域だわ。簡単にいうと叙事がうまいのよ。人が感動する・笑う・しびれる・カッコいいと思う、それらのツボを絶対に外さない。単細胞といわれようがアクションバカといわれようが、かくのごとき彼の豊穣なエンタメ・スピリッツを心からリスペクトします。本作は相手役にロバート・デ・ニーロ。スタローンが陽でデ・ニーロが陰。そんな持ち味を絵に描いたように展開します。前提には30年前の遺恨あり。ライト・ヘビー級チャンピオンとして連戦連勝を続けていたボクサーふたり、レーザー・シャープ(シルベスタ・スタローン)とビリー・ザ・キッドがたった一度負けた相手がお互いとの試合だった。ともに1勝1敗のあと3戦目で真の勝者を決定させるはずだったのに、試合直前にレーザーは謎の引退。3戦目は幻となって30年たった▼ここはピッツバーグ。レーザーはボクサーになる前の仕事だった造船所で地道に暮らし、元トレーナーであり親友であるルイス(アラン・アーキン)のいる介護施設を見舞うのが日課だ。キッドはバーの店主で、車のディーラー。プロデューサーのダンテが往年の名勝負を復活させようと試合をもちかけるが、とにかくこのふたりは仲が悪い。しかし介護施設の督促状には勝てずレーザーは承諾する。昔のチャンピオンとはいえ、とっくに終わった老齢ボクサーの試合にマスコミの興味はゼロ。チケットは売れず記者会見はガラ空き。記者の質問は「あんたら正気か。階級はなんだ。後期高齢者級か」「ふたりとも過激な運動は危険な年だ。リングにあげるのは老人虐待ではないか」頭にきたダンテが「人間は60歳になればみな引退か。平均寿命が50歳だった100年前とはちがうのだ」。記者席にいた女性がひとり。彼女こそレーザー引退の原因となったサリー(キム・ベイシンガー)だった。レーザーの恋人だった彼女はあるときキッドに走ったのだ。レーザーはそれを許さず「おれのいちばん大切なものを奪ったキッドだから、おれもやつのいちばん大事なものを、ボクシングを奪ってやる」と引退、つまり試合放棄したのだ▼いたるところで口撃を浴びせ合うふたりの応酬と、言語を絶する過酷トレーニングがネットに流れ、ボクシングファンははまってしまった。チケットは飛ぶように売れ、試合の場所は一挙に大スタジアムへ。トレーニング・シーンが最高です。「ロッキー」懐かしの名場面パロディがつぎつぎ。生卵4つを飲む。食肉工場でパンチを鍛える(ルイスが止めるが)、廃車置場で巨大タイヤを押し、トラックを綱で引かせる拷問トレーニング、プール・パンチの練習とは水中でダンベルを振る。「フレイジャーは1日3時間。お前はまだ5分」。バケツに入った黄色い液体は「馬の小便だ。手の皮膚を強くする」「いやだ。臭い」「お前はデンプシーより強いか。彼は毎日つけていたのだ」▼ルイスはサリーが会いにきているのに追い返すレーザーに言う。「お前は彼女にゾッコンだった。しかし朝イチにジムに入り、帰るのは一番遅い。どれだけ家にいた。彼女はひとりだった。関係を壊したのは彼女ではなくお前が悪かったのだよ」。さてこのあたりからいよいよ映画はフルストッフル。ギアはトップ・ギアに入ります。まずここから。シルがあの低音でモゴモゴと恋人に告白する「おれは多くの間違いをした。30年前の引退がまちがい。君をかえりみようとせず、君を許そうとしなかったまちがい。後悔することばかりだ。その間にキッドはおれから大事なものを2つ奪った。ひとつはボクシング。ひとつは君。おれは逃げた。ケツまくって逃げたのだ。後悔している」「彼をコテンパにするのよ!」「君がそういうなら」。ここはエイドリアンへのオマージュですね。「ロッキー」で彼の妻エイドリアンを演じたタリア・シャイアは私生活でもシルの親友ですが、さすがに一度死んだ妻を、別作で生き返らせることはできなかったようです(笑)▼デ・ニーロだって負けていません。スパーリングを見たトレーナーからキッドはこういわれる。「ブラジャーが要るな」「?」「お前が動くたび、オッパイが揺れている」ムカ~。火を噴くようなトレーニング開始。懸垂はスイスイ。なわとびは軽快。体重を絞りこみパンチの破壊力は激烈化。ついに試合の日が来た。ファイトシーンはシルのひいきであろうと、デ・ニーロのひいきであろうと、一見の価値があります。シルもデ・ニーロも、ボクシング映画によって現在のサクセスを築きました。それがこの映画に香りのようなノスタルジアをただよわせています。

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