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シネマ365日

2015年5月2日

特集 ミーシャ・バートン 処刑教室(2008年 コメディ映画)

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監督 ブレット・サイモン
出演 ミーシャ・バートン/リース・トンプソン/ブルース・ウィリス

「しょせん高校よ」 

 けっこうあれこれひきずっていく、芸の細かいところがあって(つまらなさそうな学園モノ)という先入観で見始めたわりには、おもしろくなりそうだな、と思いかけたのよ。でもなー。肝心の主人公がイマイチ共感できるキャラじゃないのよね。彼ボビー(リース・トンプソン)は新聞部の新入り部員。在学する高校の校長室から全米共通試験(SAT)の答案が盗まれた。校長(ブルース・ウィリス)は、犯行は不良どもの仕業だと決めつけ、不良グループを呼びつける。いつもガムをかんでいるボビーも呼ばれる。校長は「答案はどこだ。今ここで自白しなくていい、じわじわと追い詰めてやる。文明発祥のチグリス川の2キロ東まで、ラクダにひかれ、弾薬班を追跡したように!」そう、校長は元軍人で砂漠の戦地で270日耐えた男なのだ。校長はボビーに犯人をあげろと指示する。ボビーは全校生の憧れであるフランチェスカ(ミーシャ・バートン)からも同じことを頼まれる。フランチェスカは生徒会長ポールの恋人らしい。事件当夜のアリバイを調べたボビーは不良グループの連中が「留置場に入っていた」「駐車場でカーセックスをしていた」など、それぞれアリバイのあることから犯人ではないと断定、生徒会長がアイビー・リーグに入るにはちょっと成績が足りなく、彼の性格からすればどんなことでもするという聞き込み情報から犯人は生徒会長と確信、学校新聞にデカデカと報道する。生徒会長こそたまったものではない▼軽率な記事のおかげでポールは会長を解任、ボビーを待ち受け殴りつけ(当然ね)「おれはコーネル大学の内定を受けていた、これをみろ」と内定通知を投げつけ「お前に真実を暴くのは無理だ」と吐き捨てて去る。事件は白紙に。ボビーにやれパーティだ、デートだとなぜかフランチェスカが接近する。いっぽうで監督はアメリカの高校生の会話を活写する。「量子物理学なんかクソよ。ブラックホールすら解明されていないわ。吸い込むばかりで何もでてこない」「ローラのあそこみたいに」。フランチェスカの口説きはこうだった。「わたしって嫌な女? 正直に言って。気にしないから」。こんな調子でグダグダしたシーンがいくつかあり、ポールがバスケットの試合で八百長していたことがわかる。なぜか。ポールは女のために金が必要だった、その女バレリーは借金があり、返済の金欲しさにポールは八百長を呑んだ、「それで二度もポールは試合を棄てたのか」と聞くボビーに「彼はわたしのためなら全試合だって棄てるわ」とバレリー。俄然ポールのほうが魅力的に思えてくるが、新生徒会会長に就任したマーロンの全校生徒への所信表明の式場で、ポールはペイントガンでマーロン、校長、フランチェスカを狙撃し、逮捕、施設に収容される▼ポールの復讐は失敗したかに見えたが、ボビーはなにかポールが伝えたかったように感じる。なお聞き込みを続けると、生徒会そのものが悪の温床(というのもおおげさだが)、彼らは調剤室からドラッグを盗み売人をやっていたが思うように儲からないので、答案を改ざんし、プレッシャーに弱い生徒にドラッグを売りつけようとした、それを知った会長のポールが阻止しようとした、邪魔者を失脚させるために彼に罪をなすりつけ、バスケ試合の八百長で負い目のあった彼は公にできず、放校の憂き目になったわけ。しからばその筋書きを考えたのはだれか。ひとりはマーロン、もうひとりは彼の恋人、ここでミーシャ・バートンがバスに入っているフルヌードが映される。よよよ、彼女とマーロンがグルだったのだ▼(ケッくだらない)と言いたくなるのは、はめられたポールの救いのなさ、高校生にしては陰険そのもののマーロンとフランチェスカの小悪党ぶりと、ボビーの無責任さが後味悪かったからだ。特別出演とはいえブルース・ウィリスは説教垂れるばかりで迫力ないし、登場人物たちにこの年齢独特の若さもない。邦題の「処刑」というタイトルは詐欺に等しい。最後にボビーに言う新聞部の部長クララのセリフがいちばん効いている。「しょせん高校よ。忘れなさい」

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