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シネマ365日

2015年5月4日

特集 ミーシャ・バートン ザ・ウォール(2009年 スリラー映画)

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監督 ジル・パケ=ブランネール
出演 ミーシャ・バートン/デボラ・カーラ・アンガー/キャメロン・ブライト/パスカル・グレゴリー

荒野のゴッサム 

 ミーシャ・バートンが23歳のときの映画。わりといいのです、導入部がね。荒野のゴッサム・シティ。置き忘れられ廃墟となった巨大建築。天才建築家マエストラザ(パスカル・グレゴリー)が設計し、彼の住居も8階建の最上階にあった。あったというのは15年前、忌まわしい連続殺人事件により巨大建築の住人がつぎつぎ殺され、壁に埋め込まれたのだ。マエストラザも殺された。犯人はやはりビルの住人だった元工員で、犯行後逃走したまま行方不明となり事件は迷宮入りした。コンクリートに塗り込められた遺体は16体だった。古色蒼然とした建築物の中は生活臭ゼロの虚無空間。ゴッサム・シティには4人の住人がいた。管理人のメアリ(デボラ・カーラ・アンガー)、その息子ジミー(キャメロン・ブライト)、黒人のおじさんに、おばさん。彼らの共通するのは伴侶がみなこのビルで殺されたこと。このビルが政府の方針で取り壊されることになり、ビル解体作業を代々ファミリー・ビジネスとする一家から、大学を卒業したばかりのサム(ミーシャ・バートン)が事前調査にやってきた▼キーワードだけでも刺激的です。天才建築家、連続殺人、16の遺体、内部が迷宮となった巨大建築、セメントによる生き埋め。サムを迎えた女性管理人メアリも謎めいている。ジミーはサムに関心を持ち、身辺に出没して接近したがるが、母親から厳しく近づくなと警告される。とにかくこの「荒野のゴッサム」には、過去の犯罪がいまも尾を引いている。サムが調査を始めると、設計図と現場に5メートルの誤差がある箇所あった。ジミーは母親に内緒でサムに近づき、8階のマレストラザの部屋を案内してやる。真っ暗ななかで懐中電灯が故障したり、ジミーの姿が消えたり、たちまちサムはなにものかに翻弄され、恐怖の悲鳴とともに部屋を出る。ジミーの説明によれば住人の死体はみな、マレストラザの部屋に塗り込められていたというではないか。発見された遺体こそ16体だったが、調べればもっとあるはずだとジミーは言う。壁に崩れた痕跡があり、それが遺体を掘り出したあとで「パパはここだった」とジミーは穴ボコのひとつを示す▼サムは悪夢にうなされる。ある日メアリが壁に寄り添って喋っているのを見る。「あの子はもう大人よ。想像力が豊かだわ。わたしたちを救ってくれる人がきたわ。ここから出してもらうの。わたしたちはみな安らぎを得られる」。なぜあなたはここを離れないのかとサムがたずねると「夫と離れたくないから」そして「この建物は永遠に残るとマレストラザは信じていた」と言う。サムはマレストラザの著作のなかに、建徳における古代信仰には人の命を捧げる習慣があったことにふれ、ピラミッドにもまた「人柱」が用いられたとあった。サムの応援要請で恋人のピーターがゴッサムに来た。心強くなったサムはピーターに抱かれ安堵するがどこかで見られている視線を感じる。ジミーが秘密の隙間からサムのセックスを苦々しげに覗いているのだった。ジミーの異常な振る舞いに不審を覚えたサムは、内部をさぐるうち秘密の空間があることをつきとめる。底のない深いマンホールのような竪穴が地下に続いている。覗きこんで落ちてしまったジミーを助けようとサムは降りていくが、それはジミーの罠だった。ピーターはジミーに殺されサムは地下の穴蔵に閉じ込められる。穴蔵には先住者がいた。彼こそ殺されたはずの天才マレストラザだった▼連続殺人犯は彼なのです。彼の信仰によれば建築は聖なる犠牲を必要としており、住人がその犠牲になったわけ。メアリは夫を殺された復讐として建築家を閉じ込め、死ぬまで生き埋めにするつもりだった。サムが調査を終えて変えれば計画通り爆破とともにマレストラザも死ぬはずだったけど、穴蔵がみつかり計画が狂った。やがて爆破班が来た。サムは恋人と出かけたとメアリがいうと父や兄は納得して爆薬を建物のあちこちに埋め込み始めた。建築物にはツボがあり、そこを爆破するとやたらたくさん爆発させなくてもいいそうである。穴蔵ではどうなったか。投げ込まれたピーターの死体。穴を掘って横たわったマレストラザはセメントを流し込み自ら生き埋めになるのだ。無線でサムの助けを呼ぶ声を聞いたジミーは、じつはサムがまだ中にいると爆破班に告げ、母親の制止をふりきって建物のなかに戻るが、穴に転落して死ぬ。結局救出されたのはサムだけだ。ミステリアスな雰囲気がうまくでていて、本特集で組んだ6本のミーシャの映画のなかではいちばんまともだった。なんといっても主人公はのっけからドッカーンと出現する「荒野のゴッサム」だな。CGだけど、この建築がなかったら物語は成り立たなかったです。

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