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映画監督特集

2015年5月29日

特集 監督ロバート・ワイズアンドロメダ…(1971年 SF映画)

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監督 ロバート・ワイズ
出演 アーサー・ヒル

遙かなるアンドロメダ

好きだなあ、この映画。ロバート・ワイズという監督の技がよくわかるのよね。1971年という時代に作れる限りの技術で作りこんだというクラフトマン・シップが、古くなることを許さないって感じなのよ。日本でいえば薬師寺の東塔とか法隆寺の五重塔とか、その作品の歴史来歴をひとつも知らなくても(なんだ、これ、ひょっとしてすごいものじゃないのかい)と見とれてしまうような品格と技量をそなえているのよ。それにこの「アンドロメダ」という言葉の響き。それだけで果てなき星雲の彼方、銀河を越えて心が吸い込まれるようなスケールだわ。タイトルと、監督がロバート・ワイズだとわかっただけで映画館に走ったわ。だれひとり名前を知っている俳優はいなかった。原作者のマイケル・クラントンにも無頓着だった。今になってよけいな知識がついたばかりに、あのときの感動が薄れないかと心配だったけど、「あのときの感動」なんか薄れようと消えようとどうだっていいのよ。それに変わる新しい感動を、どんな時代にも生み出させるのがホントの傑作でありクリエイターだわ▼余計な知識かもしれないけど、無視できない人だからマイケル・クラントンについてちょっとだけ。「ジュラシック・パーク」の原作者であり「ER・緊急救命室」の原案・製作者。ハーバード大学で医学博士号をとり、近未来を舞台にした作品がたくさんあります。非常に背の高い人で、子供のころに身長の高さをからかわれ、とびぬけた秀才だったせいでイジメにあったりし疎外感が強かった。瞑想の技術を身につけ、霊の存在を信じ「病は気から」が真実だと確信していました。本作や「コーマ」など、医学や細菌学を基礎にした作品のほか、ユル・ブリンナーが殺人ロボットになった佳品「ウェストワールド」や「ジュラシック・パーク」「大列車強盗」など、サイエンス、アクション、ファンタジーなど広域の分野でヒット作を世に送り出しています。私生活を全く公表しないことでも有名でした。2008年11月4日ガンの治療中ロサンゼルスで急死、66歳でした。もうひとり特撮スタッフとして参加したのがダグラス・トランブル。「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」「スター・トレック」「ブレード・ランナー」など、SF映画の傑作をてがけました▼本作を簡単にいうと落下した衛星に付着していた地球外生物と、特別チームを組んだ4人の科学者たちの対決です。本作の地球外生物は異形のエイリアンでもなく、怪物でもない、姿なき微生物です。ロバート・ワイズらしい静かな、まるでドキュメントのような導入で映画は始まります。メキシコ国境付近の砂漠に落下した衛星を、回収に行ったスタッフからの通信が途絶え死亡と判断された。彼らが最後に送った映像には異様な現場が映っていた。町は全滅していたのだ。地球外生物研究所のストーン博士(アーサー・ヒル)は「ワイルドファイア」チームを緊急招集した。同研究所は異星物に対応する施設として博士が設立した。チームはストーン博士のほかアメリカ最高の頭脳で構成された。天才外科医ホール、微生物学の権威レービット女史とダットン博士。ヘリから現場に降りた博士とホールが見たのは、鳥に眼球をえぐり出された農夫、スーパーの出口で買い物カゴを持ったまま倒れている主婦、洗濯物が無人の砂漠にはたはたとひるがえり、バスケットコートには少年が横たわっている。床屋の椅子にすわったまま死んだ中年の客もいた。冷蔵庫のドアを開けかけ床に倒れた若い母親、全員がほぼ即死。死体の血液はパウダー状にサラサラと傷口からこぼれるのだ。生存者がふたりいた。泣き叫ぶ赤ん坊とヨレヨレになって這い出てきたアルコール依存症の老人だった▼研究所の地下の特別室で分析調査が連日続いた。鍵は生存者の共通点だったが、データはすべて共通項ゼロを示す。病原体微生物はコード名「アンドロメダ」と名付けられた。アンドロメダは生きていた。しかも急速に成長するのだ。実験によりアンドロメダは真空のなかでも分裂する生命力を持ち、排泄もない、すべてを食い尽くし何もださない、宇宙に生きる完全な生命体で、すべてをエネルギーに転換し、核爆発さえ成長を促す脅威の生物だった。アル中の爺さまは看護師をからかうほど回復した。ホール博士は「なにが起こった」と繰り返し質問するが彼の記憶はあいまいで酒をくれというだけだ。ホールは赤ん坊とアル中親父の血液のアルカリ濃度が両極端であることに気づく。アンドロメダにとって極度のアルカリ性と酸性は生存に適さないのでは、とホールは直感する。そのときダットン博士の部屋がアンドロメダに汚染した。呼吸困難に陥りかけている博士にホールは、さらに部屋の酸素を減らせと指示、必死で呼吸することによって体内のアルカリ濃度があがり、アンドロメダは生存できなくなる、それがホールの仮設だった。かわいそうに博士はアンドロメダに血液を凝固されるよりまえに酸欠で死ぬかもしれない。それより最悪なことに、研究所内に生じた細菌汚染によってコンピューターが作動、核爆発自爆装置がオンした。どうする。研究所内のスタッフは全員アンドロメダで死ぬか酸欠で死ぬか、核爆発で死ぬか、研究所は大パニック▼起爆解除装置のキイを持ったホール博士がよれよれになりながらスイッチオフにしてやっと危機は回避された。で、アンドロメダはどうなった。付着した衛星ごと大気圏外に打ち上げてサヨナラ。始めからそうすりゃよかったのに、とちらっと頭をよぎるかもしれないけど、そうそ、いまとなって聞かされてもどうでもいいことだと思うけど、アンドロメダは酸素にも弱かったのよ。でもさ、浪曲だって落語だって、名人はネタのよしあしより語りの芸で堪能させるじゃない。映画だってそれと同じよ。

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