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特集「ベストコレクション」

2015年6月2日

特集「水無月6月/ベストコレクション」インターステラー(上)(2014年 ヒューマン映画)

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監督 クリストファー・ノーラン
出演 マシュー・マコノヒー/アン・ハサウェイ/ジェシカ・チャステイン/マット・デイモン/マイケル・ケイン

父と娘

クリストファー・ノーランの腕っ節の強さをつくづく実感します。彼はどんなに大仕掛けでもコスチューム(歴史・時代劇)ものや恋愛ものにはまったく食指が動かず、モロ「空間」のイマジネーションが好きなのね。「インセプション」は脳内の移動空間だったし、今回はずばりスペース。その「イン」のなかでこまやかな父娘の情愛、先端の天体物理学、ロボットのユーモア、天才と呼ばれた科学者のエゴ、物理的次元で計測できる愛と重力のミステリー、人類の未来を賭けた「新しい星」への旅「インターステラー」が語られる。あたかもノーランの「オデッセイ」を見る思いです。180分の長尺がじっくり絵解きされていきます。オープニングの農夫クーパー(マシュー・マコノヒー)と娘マーフ(少女時代、マッケンジー・フォイ)がいいですね。マーフは宇宙船のパイロットだったパパが大好きである。そのパパは学校から呼び出された。マーフは問題児なのだ。アポロ11号月面着陸の古い教科書を同級生に見せていた。パパが使っていた本でマーフのお気に入り。いまの改訂版は「アポロ計画は捏造でソ連を破産させるのが目的だった。ソ連は負けまいとロケットやガラクタに力を注いで破綻、20世紀のぜいたくと浪費を繰り返さないために事実を教えています」と先生。帰途娘はパパに言う「未知を認めるのが科学よね」パパは笑い「科学の話がしたいのか。事実を記録して分析し、現象を探り、結論を導くのだよ」▼家のコンバインが動かなくなった。原因がわからない。パパの書斎に入ると棚から本が落ちている。マーフは「同じ本が落ちている。隙間を調べたの。幽霊のメッセージかもしれない」とパパに教える。砂嵐が吹き込んだ部屋に奇妙な砂の跡がついていた。バイナリ(コンピュータの二進法処理)だとパパは気付き、バイナリが示す座標の位置に向かう。このあたりの数分がラストで示される、すべての解読につながる重要なシーンです。相対性理論やワームホール、事象の地平線、ブラックホールの特異点などが、カリフォルニア工科大学のキップ・ソーン、ショーン・キャロルら物理学の権威、あるいはNASAエイムズ研究センターのナタリー・バターリヤ各氏が参画し、劇中のそれぞれの役柄に扮したジェシカ・チャステイン、アン・ハサウェイ、マイケル・ケインらによって平易に述べられます。律儀というか精緻というか、こんな作り込みも本作の骨格を堅牢に、スケールを大きくしています▼粗筋を手短に言えば時代は近未来の地球。地球は枯渇しかけており、世界規模の異常気象により人類の存続は少なくともよく保ってマーフの世代まで、あとは飢饉による餓死が待っていた。NASAは大昔に閉鎖されていたが、クーパーの恩師ブランド教授(マイケル・ケイン)やその娘アメリア(アン・ハサウェイ)ら、少数の学者によって秘密裏に活動が続けられ、土星近傍のワームホール(時空のトンネル)を通りぬけ、別の銀河に人類の移住先を求める「ラザロ(再生)計画」が進んでいた。バイナリの座標によって秘密研究所を訪問した父娘にブランド教授はパイロットとしてクーパーに参加してほしいと頼む。ラザロ計画はすでに3名の先発隊が入植可能と考えられる惑星から信号を発信していた。それらは隊長の名前をとり「ローラの星」「エドモンドの星」「マン博士の星」と仮称されていた。無事に帰還できるかどうかもわからない、できたとしてもいつになるかわからないミッションをパパは「飛ぶ」と決める。泣きじゃくるマーフに「聞きなさい。親は子供の記憶のなかで生きるのだ。宇宙船では冬眠カプセルに入る。宇宙船はほぼ光速だ。ブラックホールもある。宇宙でも時間は過ぎるが地球より遅い。地球に帰ってきたらお前と同い年かもしれん」「いつ還るかわかんないの? うそつき!」▼このあと地球上ではなんと23年の時間が流れます。音信は途中で途絶え、マーフ(ジェシカ・チャステイン)は、33歳の少壮物理学者としてブランド教授を補佐しています。宇宙船ではたどりついた星はすべて生存できない星だった。乗組員もひとり、ふたりと事故死する。燃料が少なくなり、残る星「エドモンド」と「マン」か、どっちかひとつの探索にしなければならなくなる。アメリアはエドモンドを主張したが、クーパーはエドモンドが彼女の恋人であり、彼に会いたいがためにエドモンド星を優先するのは私情であるとして「マン」に決める。このときアメリアはいうのだ。「愛は人間が発明したものじゃない。観察可能な力よ。なにか意味があるの」。クーパーは皮肉っぽく「社会の安定に子孫繁栄か」アメリアは意に介せず、「愛には意味があるわ。わたしたちが理解できないだけよ。わたしたちに感知できない高次元につながるなにかがあるの。10年も会っていない人(エドモンド)に、銀河を越えて引き寄せられているなんて。おそらくはもう死んでいる人にね。愛はわたしたちにも感知できる、時間も空間も超えることができる。愛が未知の力でも信じていいと思う」。アメリアの指摘にクーパーは黙るのですが、決定は変えずマン星に来た。そこで見たものは天才科学者マン博士(マット・デイモン)の狂気の果てだった。なんでこんな役、ひきうけたのだろ。

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