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特集「ベストコレクション」

2015年6月5日

特集「水無月6月/ベストコレクション」マダム・マロリーと魔法のスパイス(2014年 ヒューマン映画)

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監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ヘレン・ミレン/マニッシュ・ダヤル/シャルロッテ・ルボン

三つ目の星はここで

この映画に悪人はでてきません。おいしい料理と悪はミスマッチなのだ。考えうる限りの悪でも、おいしい料理の前では力を失うことをラッセ・ハルストレム監督は知っています。アバウトだけどこの監督ならまず当たり外れはない、という選び方をすることってあるでしょ。ハルストレム監督もわたしにとってはそのひとり。「ギルバート・ブレイク」「ショコラ」「ショッピング・ニュース」それに「HACHI約束の犬」「親愛なるきみへ」。本作に悪人はでてきませんがケンカはあります。ヒロインのマダム・マロリー(ヘレン・ミレン)と、故郷インドを追われ南仏にきたレストラン一家のパパが壮大にやらかしてくれる。ふたりとも日本でいえば「包丁一本」に命を賭けたプロ同士。やられたらやりかえす復讐戦に「児戯愛すべし」というべき隠し味をちゃんとかもす、そんなところがこの監督のセンスですね▼パパの息子ハッサン(マニッシュ・ダヤル)は料理名人だった亡き母親から料理の魂を教えられた。「おきき、ハッサン。料理は生き物の命を奪って作るもの。食材にはすべて魂がある。料理とはその魂をよみがえらせるもの」。一家はまずロンドンに来たがパパは気にいらない。「英国の野菜には魂がない。大陸はちがうかもしれん。フランスへ行く」長男が言う「フランス人はインド料理を食わない。世界に名高いフランス料理があるから」パパは「ふん、インド料理を知らんからだ」いいぞ、パパ、その意気だ。一家は田舎の道沿いの廃屋をみつけ、ここを買収するという。所有者から管理を一任されていたのがマロリーだ。「失礼ですが、あなたは民宿の宿泊料も値切られたそうですが」パパは傲然と「マダム。わたしは貧乏人ではない。節約家であるだけです」賑々しいインド料理店が道ひとつ、わずか30メートルをへだて開店した。マロリーの店は30年間ミシェランの星ひとつを守ってきた、町が誇る伝統のレストラン。その夜も予約の客がきて言う「今日は向かいの店の開店だね」マロリー(ニコリともせず)「今日はこの町の礼節と洗練が死んだ日です」まさに火花が散っている▼パパは娘たちにインドのコスチュームを着せ派手な音楽をボリュームいっぱいにあげる。マロリーは町長に騒音罪を訴える。すかさずパパはコックを買収し、当日メニューの食材を市場で買い占める。親とボスのケンカにもかかわらず、ハッサンとマロリーの店の副シェフ、マルグリット(シャルロッテ・ルボン)はお互いに惹かれ合っていた。マルグリットはマロリーの採用の仕方を教える。面接はしない、オムレツを作らせ一口食べて採否を決める。ある日ハッサンはマロニーにオムレツを作らせてくれと頼む。マロリーは一口でハッサンが天才的な腕をもっていることを見抜く。ハッサンの店が出火したのは自分の店にいる、インド人を差別する料理人だとマロリーは知った。全員を厨房に呼び「料理に人種は関係ない。あなた、自分の包丁を持って今すぐこの店から消えて」そして彼がハッサンの店の壁にかいた「フランスはフランス人のもの」という落書きをタワシでゴシゴシ消す。雨の日だ。パパはマロリーに傘をさしかけてやる▼マロリーは店をハッサンに任せたいとパパに申し出た。パパは拒絶。マロリーはレストランにすわりこむ。おひきとりくださいと長男が頼みにいくと「ハッサンがくるまで死ぬまでここにいるわ」パパは折れ息子を譲る。ハッサンは腕をふるい、ついに待望の「星ふたつ」にした。マロリーはハッサンを片田舎に埋もれさすのは惜しいとパリに行かせる。マルグリットは寂しさを隠し切れないが健気に「行きなさい」。大胆なスパイスの使い方、ユニークな食材の数々、衝撃的な味。ハッサンの料理はたちまちパリの話題を独占する。いっぽうハッサンが第二の故郷とする南仏のレストランでは、パパとマロリーがいっしょにダンスを習い、市場にも行って「彼女は恋人に近い存在」になったとパパは息子に書く。ハッサンは悩んでいた。マルグリットと作った素晴らしい料理の味がどうしても出せないのだ。思い余って電話した。彼女は言う「セップ(ボルチーニ)よ。あのとき使ったセップはここでしか採れないの」ハッサンは帰郷した。マルグリットをパートナーとし、レストランをひきつぎ料理界の奇跡と言われる「三つめの星はあなたたちと取ります」と宣言する▼フランス料理専門のコンサルタントがつききりで撮影を指導し、美しい料理の皿がつぎつぎテーブルに並びます。見ているだけで旨いものが食いたくなる。うまいワインが飲みたくなる。ヘレン・ミレンは「女王のレストラン」オーナーを貫禄で演じますが、もうひとり、シャルロッテ・ルボンがよかったですね。「イヴ・サンローラン」で注目され「恋のベビーカー大作戦」でかの「アラン・ドロンの再来」ラファエル・ペルソナと共演、「アステリックスの冒険」ではチョコッとですがカトリーヌ・ドヌーブと。すきっとした印象のあるカナダの女優さんです。

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