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特集「ベストコレクション」

2015年6月9日

特集「水無月6月/ベストコレクション」ローズマリーの赤ちゃん(1968年 サスペンス映画)

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監督 ロマン・ポランスキー
出演 ミア・ファーロー/ジョン・カセヴェテス/ルース・ゴードン

悪魔のベイビー

ハリウッドの第2期黄金時代を代表する1本です。ロマン・ポランスキーが35歳、ミア・ファーローが23歳。カルトの評価を得ている「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」のモードを演じたルース・ゴードンが72歳で出演。映画史にインディペンデントのジャンルを創出したジョン・カセヴェテスが、ミア・ファーローの夫役を演じました。監督も役者も製作陣も、映画そのものが沸々としています。この前年「俺たちに明日はない」の公開は、アメリカン・ニュー・シネマの幕開けを告げていました。ファーストシーンのロケ地はマンハッタンで最も入居審査が厳しいといわれるダコタ・ハウス。この中の5室がジョン・レノンとオノ・ヨーコの住まいでした。映画では新婚のふたり、売れない俳優のガイ(ジョン・カサヴェテス)と妻ローズマリーが新居をさがしてアパートにやってくる。管理人は部屋に案内しながら、いわくつきの物件であることを言ってきかせる。ローズマリーは前居住者の婦人が残したメモにふと目がとまった。「これ以上もう彼らの仲間には…」とあったがそのうち忘れた▼19世紀このアパートは悪評高かった。住人のトレンチ姉妹は子供を食べるのが趣味だった、霊媒師のマカートは悪魔を呼び寄せる噂がたち半殺しにあった、1920年代は空き家同然、1959年には新聞紙でくるんだ赤子の死体が地下室でみつかった…しかしローズマリーはすっかり典雅な部屋のたたずまいが気に入り契約した。地下の洗濯室でテリーという若い女性と知り合い、彼女はカスタベット夫妻の部屋に居候しているという、ジャンキーで倒れていた彼女を「拾ってくれた」恩人だと言う。ところがテリーが窓から飛び降りて死んでしまった。警察は自殺だと判断した。ローズマリーにはわけがわからない。カスタベット夫妻と行き来するようになったが、困惑するほど親切で世話やきで、ローズマリーは付き合いたくないが、ガイはまるで息子みたいにとりこまれてしまった▼ガイが狙っていた主役はライバルのボームガードにとられた。ところがボームガードが事故で失明しガイに役が回ってきた。ガイは突然売れっ子になり妻にかまわなくなった。隣のカスタベット夫人が友達を連れてきては、我が物顔に図々しく長居していくのもローズマリーには憂鬱のタネだ。不味いデザートやら薬草茶やらを体にいいから無理に食べるように言う。疲れとストレスで妙な夢を見た。海に浮かんだベッドに自分は横たわり全裸の男女がベッドを取り巻き、まじないを唱えている。腹部に血が塗られベッドにおさえつけられ、醜怪な異形の怪物が自分を犯した。ローズマリーは妊娠した。同時に友達やよき理解者が急病や自殺を遂げる。カスタベット夫人はますますつきまとう。古い友人だったハッチが死んだ。ローズマリーは目に見えない危険が迫っているのを感じる。ハッチが死ぬ直前に送ってくれた本は「悪魔のしもべたち」だった。内容がすべてアパートの住人たちの挙動に当てはまる。このアパートは悪魔のしもべたちの集団居住区なのだ。彼らが霊能を使えば相手を失明させたり、死なせたりできる。ボームガードも失明したではないか▼夫も医者もグルだ。ローズマリーは赤ちゃんを守ろうと臨月のお腹をかかえて友人、元の産婦人科医を訪ねまわるが、行く手を遮られアパートに戻ったところで産気づき失神する。気が付くと子供は男の子で死産だったと夫が告げる。放心状態で横たわるローズマリーの耳に、どこかからかすかに赤ん坊の鳴き声が聞こえる。ローズマリーは大振りの包丁を逆手に声のする部屋に入っていった。アパートの住人と、見たこともない何人もの人たちが集まり、夫も加わり談笑している。ローズマリーの包丁を持った姿にもさほど驚く様子はない。部屋の一隅にゆりかごが置かれ、鳴き声はそこから聞こえる。激しい泣き方にローズマリーが言う。「揺らしすぎるから泣くのよ」そばにより覗きこんで叫ぶ。「この子の目に何をしたの!」そこへまたカスタベット夫人が顔をつきだし「子供の父親は悪魔よ。世界中の女からあなたは悪魔の世継ぎの母に選ばれ、無限の力をこの子に伝えたのよ。男子の名はエドリアン」▼観客は暗黒世界の存在を現実と受け止め、悪魔がみごもらせたと思うか、またはローズマリーが妊娠に伴い体と神経の不調を伴い妄想にとりつかれたと思うか、映画はどっちともとれるようになっています。でもローズマリーが我が子をみて浮かべた微笑で、この映画は悪魔の存在を「ある」としている、そうみるのが普通ではないかと思われます。たぶん見たこともないフリークな子供だったけど、ローズマリーには「可愛い」と思えたのです。悪魔の赤ん坊は母親の愛を注がれ、まわりにいる「しもべたち」にイクメンされ、すくすくと育ち、そのうちどこかの人間社会にまぎれこみ悪をまきちらすのだわ。やれやれ。主要登場人物はローズマリーとその夫、カスタベット夫妻のほぼ4人、あと産婦人科医がからむくらい。進行はアパートの中です。ポランスキー監督は特撮も使わず怪物怪獣のたぐいも出さず、大げさな演出もなく悪魔的な映画を指揮しました。ミア・ファーローについてはベタ褒めでした。役者にとって大事なふたつのことは「集中できることとリラックスできること」と監督は言っていましたが、たぶんそれに適ったのでしょう。劇中ローズマリーの電話に答えるボームガードの声はトニー・カーティス。パーティのシーンにポランスキー夫人シャロン・テートが顔を出しています。

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