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特集「ベストコレクション」

2015年6月11日

特集「水無月6月/ベストコレクション」荒野はつらいよ(2014年 コメディ映画)

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監督 セス・マクファーレン
出演 セス・マクファーレン/シャーリーズ・セロン/リーアム・ニーソン/アマンダ・セイフライド

悪趣味だけが刺激

時代は西部開拓時代のアリゾナ。原題は「西部の死に方は100万通りある」くらいであるから、とにかくバタバタよく人が死ぬ。殺される。意味もなく腕がちぎれたり、老人が撃ち殺されたり、弱い者が、しかもストーリーとあまり関係ないところですぐ殺される。このあたりからちょっと嫌味なコメディだなという気がしてきます。羊飼いのアルバート(セス・マクファーレン)は、こういう殺伐とした町と時代に似合わぬ、気のやさしい青年だ。決闘では撃ち合いなどやめようと必死に相手を説得する。銃の撃ち方も知らない。荒くれ男どもはバカにしてハナもひっかけない。男だけではなくアルバートの彼女、ルイース(アマンダ・セイフライド)までげんなり、もう少しなんとかならないのかと尻を叩く。たとえば「あなたは羊を管理するのが仕事でしょ」「そうだよ」「こないだ、あなたトコの羊屋根に登っていたわよ」。飼い主が飼い主なら羊も羊か(笑)▼酒場で乱闘に巻き込まれたアルバートは、ふらりと現れた正体不明の女ガンマン、アナ(シャーリーズ・セロン)に助けられる。アナは心やさしいアルバートが「乏しき時代の詩人」ともいうべき、得難き人物であることをちゃんと見抜ける哲学的な女である。おまけに射撃の名手ではないか。アナとアルバートは距離を縮めていくが、彼女にはならず者の亭主クリンチ(リーアム・ニーソン)がいる。クリンチは情け無用のギャングの頭目だ。アナを追って町にやってきたクリンチは、当然アルバートが気にいらず決闘を持ち込む。アナはアルバートを助けるため、銃の撃ち方を特訓する。アナはアルバートになぜルイーズがいいのか尋ねる。いっしょにいると楽しいとアルバートは答える。アナは端的に「彼女はかわいいけどそれほど性格がいいとは思えない。ジコチューでいじわるで、あなたに合わない。あなたは人気者よ。やさしくて頭がよくて働き者よ。あなたに必要なのは自信だわ」と教える▼とどのつまり本作は、強い女がダメ男に自信を与え救済する、男に都合のいいお定まりのケースに落ち着く。セスはしょせんテディベアで映画を作っていればいいってことか。がっかりしたわ。アナはクリンチのもとを離れるとき、蹴り上げられてお尻を丸出しにしたまま気絶したクリンチの、お知りの割れ目にヒナギクを挿してサヨナラする。リーアムのプリプリした白いお尻が目にも鮮やかにズボンをおろして出現するが、本作にはこの手のみどころしかない。ないよりましかもしれないが、下剤を飲まされたガンマンが、肝心な決闘のときにグルグル腹が鳴り、見物人のテンガロンハットを奪ってそこに脱糞する、いざやり直し、銃を構えるやまたも催し別のハットを奪って勢いよく排便、せいぜいそこまでにしておけばいいものを、ハットにしこたま排出した下痢便まで映されては、目のやりどころもない。この映画には「わかった、わかった、君の才能はよくわかったからこのへんでかんべんしてもらう」とでもいうしかない悪趣味が充満している。悪趣味と書いたが、おもしろいことにその悪趣味は出演者たちにまでまきちらかされけっこうな毒気を放っている。アマンダ・セイフライドはシャーリーズ・セロンにこういわれる。アルバートのいいところがわからないなんて「ギョロ目のわりに見えていないのね」「わたしってギョロ目?」とまあ、意地の悪い顔をさせたら天下一品のセロンにそう言わせるのだ▼アルバートとアナの間にはお互いの好意は通いあうものの性的ムードは皆目ない。たとえ学園祭の出し物でも、少しは「その気」にさせたがるだろうが、監督が出したがるのは羊のペニスと勢い良く放たれるおしっこなのだ。結局この映画はたいした映画ではないのだ。年寄りを撃ち殺し、祭りの最中にむやみに死人がでることを、監督はいやがっているようにはみえないし、女に対してなんの欲望も示さないアルバートにいたっては、生活のなかを音もなく素通りしていく影のような存在だ。アマンダの「ギョロ目」とセロンの「イケズ顔」がかろうじて色彩を放っているが、彼女らにしても本来のエネルギッシュな演技とは別人である。リーアムのお尻は二度とみたくない。

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