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特集「B級映画に愛をこめて」

2015年6月25日

特集「B級映画に愛を込めて」ハード・ターゲット(1993年 アクション映画)

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監督 ジョン・ウー
出演 ジャン=クロード・ヴァン・ダム/ランス・ヘンリクセン/アーノルド・ヴォスルー

ヴァン・ダムにオートバイは要らんのだ

ジャン=クロード・ヴァン・ダムがオートバイの曲乗りよ。この7年後トム・クルーズが「ミッション:インポッシブル2」で、はたまた「ブオン、ブオン」とばかでかい音をたててオートバイを乗り回します。好きね。オートバイが。本作でも主人公チャンス(ヴァン・ダム)は全然その必要がないのに、走るオートバイに立ち上がり、悪漢どもの銃弾が雨あられとふりそそぐが一発も当たらない。電磁波防弾幕でもあるのか。ジョン・ウーのハリウッド第一作がこの映画ですが、おお、やっぱり鳩は飛ぶ、二挺拳銃で撃ちまくる、ド派手な爆発はある、ウーイズムは健在です。すでに射殺した人間にガンガン銃をぶっ放すサディズムも。一人あたり何発撃ちゃ気が済むのよ▼セレブを相手にした秘密のゲーム「人間狩り」の首謀者がランス・ヘンリクセン。ご存知「エイリアン2」のビショップです。彼エミールは趣味のいいリビングで、ピアノを弾き思索にふけり、簡潔に「狩り」に出場させる獲物の選択を指示する。ヘンリクセンってどことなく知的でしょ、細面の容貌が。それでもってピアノ弾かせるところがジョン・ウーのキザなところよ。エミールの右腕になって計画を実行するピクがアーノルド・ヴォスルー。特徴のある坊主頭。鋭い目。筋肉隆々の体躯。そう。砂漠の悪夢から蘇えるミイラ、「ハムナムプトラ」のイムホテップなのだ。どんなシーンもさっぱり表情に変化がなく、同じ顔で通すヴァン・ダムより、よっぽど強烈な印象を残します。それにヴァン・ダムの叔父さんドゥビーは、ハイテクに対応するのに弓矢で応戦するとは、おじさん、ロビンフッドの子孫か。映画を盛り上げるためならあらゆる意味で、縦横無尽の配置をやっちゃうのがジョン・ウーなのだ▼消息を絶った父ダグラスを探しにニューオリンズにやってきた弁護士のナターシャは、酒場でチンピラに囲まれたところを、船乗りのチャンスが目の覚めるようなマーシャル・アーツで助ける。横暴な船長を海に放り込んでクビになった彼は目下失職中。船員に戻るには組合の許可を得なければならず、その手数料200ドルを稼ぐためナターシャの父親探しの手伝いをする。ダグラスの焼死体が発見された。死因に疑問を持ったチャンスは再調査を警察に依頼する。ダグラスと同じ元海兵隊員イライジャは、大金になる仕事があると聞き、深夜指定された場所へ行くと、そこに待ち受けていたのは武装集団だった。ボスのフーションはセレブたちの残酷な遊びとして、凄腕の元軍人を標的とする殺人ゲームに、秘密裏に参加者を募り高額の手数料を取っていた。ダグラスもゲームの犠牲者だった▼でもね、文句をつけるわけじゃないのだけど、このときヴァン・ダムは33歳。1980年~1990年代のヴァン・ダムのアクション映画への出演はまるで怒涛。横一文字水平の180度開脚、美しいフォームの後ろ飛び回し蹴り、顔面すれすれの寸止めや飛鳥のような跳躍。本作ではまだまだ老けこむには早く、肉体的にもヴァン・ダムがもっとも力があるはずのときだったのに、ちょっとキレが悪いのよね。銃撃戦やオートバイの曲乗りなんか本来ヴァン・ダムにはどうでもいいのよ。もっと肉弾戦の格闘技をやらせるべきだったわ。いっちゃナンだけど映画的な洗練からすれば、「ミッション:インポッシブル2」と比べるのは(酷だとは思うが)トム・クルーズのアクションとヴァン・ダムのそれとは、やはり違うのだ。トム・クルーズがセルフ・プロデュースの達人とすれば、この映画のヴァン・ダムは折角の彼の最大の特技である、空手黒帯の技量もキックボクシングも、絵になっていないのよ。機関銃を持たせても拳銃を持たせても車に乗らせてもヴァン・ダムはペケ。まさかジョン・ウーが出し惜しみしたとも思えない。ジョン・ウーのアクションは香港映画での70%がハリウッドでは100%だとか言うほどのジョン・ウーの信者もいるけど、ヴァン・ダムに関してだけは悪いけど、残念だったわね。

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