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特集「B級映画に愛をこめて」

2015年6月30日

特集「B級映画に愛を込めて」スパイ・バウンド(2004年 事実に基づく映画)

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監督 フレデリック・シェンデルフェール
出演 ヴァンサン・カッセル/モニカ・ベルッチ/ナイワ・ニムリ

ええッ これで終わり?

シェンデルフェールにしたら調子が低いわね。主演がヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチです。言っちゃナンだけど、電流が通じているような顔貌を持った男、特に頑張らなくても男をひきつける女って、庶民の人好きしにくいのよね。このふたりがそうだというつもりではないのだけど、あんまりイメージが具体的な役者って、彼や彼女は「語るよりずっと多くのことを考えたり、感じたりしている」とは思いにくいのだわ。本作はスパイという平凡化された世界で生きることが許されない男と女が主人公だから、目立たないように目立たないように振る舞うのが鉄則よ。そのせいか劇中何度か「目立ってはいけない」とジョルジュ(ヴァンサン・カッセル)もリザ(モニカ・ベルッチ)も自分に言い聞かせるのだけど、俺たちそれでなくても目立つのだから、目立たなくするのは苦労するよナ~と言いたがっているみたいだったわ。「少女首狩事件」の、研ぎすました刃物のようなリアリティはいずこに。シェンデルフェール監督は、どうしてもこのふたりを使うというなら、ヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチを判別不能なくらいにまで解体するべきだった。シャーリーズ・セロンの「モンスター」並みにとまではいわないにしても、そうなっていたらベルッチもオスカーのノミネーターになっていたかもね▼ヴァンサン・カッセルは「オープニングから約15分、セリフが一言もないシーンが続く」とインタビューで自作を解説し、手法の新しさを強調していたけど冗談じゃないわよ。原っぱをむやみと走り回るシーンがいつまでも続いて、スパイ映画なのかオリンピック記録映画なのか不安になってきたわよ。5分できりあげてさっさと次の展開を見せるべきだわ。ジョルジュは武器輸送船爆破チームの責任者よ。つまりトップなの。そのわりには働かないわね。この映画やたらと主人公があちこち移動しましてね。ヨーロッパを股にかけて飛び移り、現場の予備調査だといってリザとふたりでカサブランカの夕陽の海を泳ぐのよ。スタントか本人らかは知らないけど、茜色の波にイルカが泳いでいるみたいでホントきれいだった。機嫌よく泳いでくれるのは、それはそれでいいの。でもいちばん肝心な目的だけど、船の爆破となるとせっせと海に潜って仕事するのは部下ふたりで、ジョルジュとリザは車で待っているだけね。要はこのふたりバカンス気分で泳ぎまわっていただけかよ。いいのか監督、こんな楽ばかりさせて▼フランスのスパイ組織DGSE(対外治安総局)に属するジョルジュとリザのミッションは、武器輸送船爆破だったがそれはオモテの理由で、ウラの理由がほかにあるとわかる。そのための罠がリザに仕掛けられていた。リザは空港でいつのまにか自分のバッグに隠されていたヘロイン所持で逮捕、刑務所に送られる。フランスの本部はすぐ弁護士を派遣したが、彼は本部からの別の仕事をリザに伝える。あと一週間で釈放されるある女囚を出所までに殺害せよというのだ。弁護士は強力なジギタリンを一粒リザに渡す。女囚を殺害すればリザは即釈放、拒否すればそれはリザの自殺用となった。輸送船爆破を最後に、スパイの仕事から辞任を表明していたリザは、本部にとってはもはや使い捨て要員だった▼リザの逮捕に疑問をもったジョルジュは本部の上官に説明を求めるが、彼も南米勤務を通告される。カサブランカでいっしょに爆破を受け持ったジョルジュの部下も殺された。下手人の情報を得たジョルジュはマドリッドに飛び、そこでフリーランスの女スパイ、マリアに接近し部下の仇を討つ。上層部への不信と身の危険を感じたジョルジュは、釈放されるリザを迎えにいくが、本部からの暗殺者もまたふたりの車を追っていた…ここなのですけどね、カサブランカでいっしょに仕事したジョルジュのもう一人の部下が追手の車を遮断、その隙にふたりは逃走するのですが、場面はあっという間にパリの雑踏から広大な高原に。車は原っぱの一本道を突っ走っている。なんの説明もなくいきなり映画は終わるのだ。ジョルジュとリザは助かったのだ、よくみろ、よかっただろ、そう思えってこと? バカにしているわ▼でもひとつだけ。じつをいうとこの人のほうがモニカ・ベルッチより印象的でした。フリーの女殺し屋マリアに扮したナイワ・ニムリです。出演作が少なくてなじみがないかもしれません。スペインの女優で「オープン・ユア・アイズ」「靴に恋して」「アナとオットー」「ルシアとセックス」などがあります。スクリーンでチラッとみかけただけでも「おや、これはだれだろう」と思わせる女優です。

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