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特集「神も仏もない映画」

2015年7月10日

特集「神も仏もない映画」ロリータ(1962年 恋愛映画)

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監督 スタンリー・キューブリック
出演 ジェームズ・メイソン/スー・リオン/ピーター・セラーズ/シェリー・ウィンタース

壮観なまでの狂いぶり

ロリータ(スー・リオン)という美少女に出会った大学教授ハンバート(ジェームズ・メイソン)が、人生を狂わせるのね。彼の狂いっぷりが壮観なのよ。せいぜい中学生かそこらの、下世話な言い方をすれば「しょうべんくさい」女の子に大の男がなぜノックアウトされたのか、そもそも美少女とはどんな少女をいうのか。好き好きだろうけど、キンドル版で「美少女の絵画」3部作を見ました。察しはしていたけど、ここまでだとは思わなかったわ。ほとんどの作品にある「少女」は、一人前の成熟した微笑でエロチックに微笑んでいるのよ。つまり絵画が連綿と描いてきた美少女とは、男の欲望を反映させていたのね。そうじゃない少女も描かれてはいるけど、まれだわ▼ロリータだって、こんな頭の大きな足の太い、性格の悪さが顔にそのまま現れている女の子を愛欲の対象としてのめりこむのだから、素っ気ない言い方をすれば所詮「蓼食う虫」の世界なのよ。ピーター・セラーズがいやらしい、気色悪いテレビの脚本家で登場します。大学の先生みたいなお人好しではない。彼は先生がロリータにゾッコンなのを一目見ただけで見抜いちゃう。おまけにロリータは純情な先生はばかにして、ならずもの同然の脚本家に惚れ込んじゃうのだ。ロリータの母親は先生が好きで、結婚にこぎつけたのに(先生はこれでロリータといつもいっしょにおれるからその母親と結婚したのだけど)先生が愛しているのは娘だとわかり、失意のうちに車にはねられ死んじゃう。先生は心のなかはルンルン。これで一生ロリータと暮らせるとのぼせ上がるが、幸福は続かない。脚本家はロリータを強奪し、行方しれずとなるのだ。3年後ロリータから手紙がきた。脚本家に棄てられ、別の男と結婚した。もうすぐ子供が生まれる。脚本家が現れたときロリータは「彼は普通の人と違う。天才よ。素敵な東洋的哲学を持っていた。わたしは一目で惚れた」のに、彼が持ち込んだのはポルノ映画の出演で「断ったら追い出された」ひどい天才ね▼今の彼はたいした稼ぎもなく、アラスカで仕事を始めようと思っている、とロリータの話は続く。今は借金でがんじがらめだから「あなたのお力添えで資金集めができれば」。ところが先生は「人生は短い、ここからわたしの車まで25歩だ。このままわたしといっしょに行こう。旦那も家も棄て死ぬまでわたしと暮らすのだ。わたしは3年待った。必要なら一生でも待つ」「彼にはわたしが必要なの。泣かないで」。先生はでも泣くのをやめられず、400ドルの現金と2500ドルの小切手、家を売った手付金1万ドルをロリータに渡す。「まあ、こんなにたくさん。ごめんなさい。随分だましたけど物事ってそんなものよ。ねえ、また連絡して。アラスカから手紙を書くわ」。彼らが継父と娘として暮らしていたときはどうだったか。先生は、ボーイフレンドとデートし、ピアノのレッスンをさぼっているらしいロリータに言う。「なぜそんなことをする必要がある。わたしといたら楽しいだろ。欲しいものはすぐに買うし、コンサートにも映画にも行く。家事だってだれが掃除をしている、わたしだ。料理もわたしだ。ふたりでいて楽しいだろ。ちがうか?」ちがったのよね。先生はロリータの母親が死に、二人暮らしに近所の噂が立ち始めたと学校の先生から忠告を受け、どう出たか。ロリータに「国中を旅するのだ。旅は好きだといっていたろう?」「大学はどうするの?」「辞めるよ。本でも書く」「わたしの高校は?」「辞めるのだ。父親が実存主義の映画の顧問になってハリウッドにいくのでついていく、仕事が終わったら帰るといいなさい」あっさり二人は逃避行に出る。まるで白昼夢のような先生である▼有り金すっかりロリータにわたし、先生は脚本家の屋敷にやってくる。彼はおちぶれ荒れ放題の家で酒に溺れている。先生はこうなったのは脚本家がロリータを奪ったからだというが、これは先生の逆恨みである。薄情な脚本家がロリータの本性を見誤らなかっただけの話だ。腹の虫のおさまらない先生は脚本家を撃ち殺す。先生は裁判の判決が出る前に冠状血栓で死亡した。まったく神も仏もないとはこのことだ。ロリータ? 知らないけど、小切手は二度ともらえないことがわかって、毒づくのがせいぜいね。母親役のシェリー・ウィンタースがいいですよ。報われない愛に身をよじる切ない女を好演する。同じ劇団にいたマリリン・モンローと部屋を間借りしていた、そのときからマリリンが死ぬまで友情が続いた数少ない親友でした。全身から温かいムードがあふれていますが、これでびっくり「血まみれギャング・ママ」では、ロバート・デ・ニーロらの息子をあごで使うボス・ママは貫禄でした。

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