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特集「ナンセンスは素敵だ」

2015年7月12日

特集「ナンセンスは素敵だ2」マドリード美女連続殺人(1973年 ホラー映画)

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監督 ユージニオ・マーティン
出演 ジュディ・ギーソン/アウローラ・バティスタ/エスペランサ・ロイ

女優ふたりに敢闘賞

副題は「独身姉妹の歪んだ欲望」です。ユージニオ・マーティンは「ホラー・エキスプレス」(ゾンビ特急地獄行き)の監督ですね。同作の主演のひとり、ピーター・カッシングと本作の主演女優ジュディ・キーソンは「恐怖の若妻体験学習」で共演している。ホラー映画には、それを得意とする監督や役者が集まりがちですので、いつのまにか親戚関係図みたいなのができあがります。ハマー・フィルム・プロダクションが擁する二大俳優、ピーター・カッシングとクリストファ・リーは私生活でも親友同士でした。「恐怖の若妻」でも書きましたけど、受けだけを狙った品くだる邦題の付け方、なんとかならんのかな。特に「独身」「姉妹」「歪んだ欲望」とくると、犯罪とかサスペンス映画というより変態映画を連想させようとする、女性に対する性的に歪んだ見方がこもっているわ▼主人公は、田舎でホテルを経営する中年の姉妹マルタとベロニカだ。熟女である。ホテルの近くに美術館ができたおかげで、宿泊客が増えはやっている。マルタには婚約者に去られた経験があり、それ以来神経過敏になっている。なにに対して過敏かというと、いわゆる風紀紊乱に類するあらゆる要素をけしからんとするのである。たとえば泊客のメイがホテルの屋上で日光浴をすると「男を誘惑するいかがわしい行為」であるとし、即刻やめなさいと注意する。メイにすれば(いまどきなに言ってンの、このおばさん)で、歯牙にもかけない。マルタはますます頭に血がのぼり、激しく言い争ううちにメイは階段から足をすべらし転落。うちどころが悪かったのか死んでしまった。妹のベロニカは事故だから警察にとどけようと姉を説得するが、姉は「天罰よ」と動じない。日光浴したら天罰がくだるのか?▼メイの妹ローラ(ジュディ・ギブソン)が、このホテルで姉とまちあわせしていた。姉妹は「もう出発した、料金も払った」と言い、それ以上は「知らない、わからない」で通す。妹は伝言ひとつ残していない姉のチェックアウトに不審をぬぐえず、独自で調査開始。そうこうするうち、またもやマルタのアタマに来る「いかがわしい」客がチェックインした。ホットパンツの露出過剰で街を歩き回る若い女だ。マルタはたちまち眉をよせ険悪な表情。彼女、ホテルのお客様なのですけどマルタには通用しない。妹のベロニカは早晩ひと悶着おきることを予感する。ベロニカは姉に抑圧され、はけ口をホテルの従業員の若い男との情事に注ぎ込んでいる。マルタはマルタで、小川で泳ぐ素っ裸の男の子を見て異常に興奮する。このへんまでくると、おかしいのは姉妹よりむしろ脚本家の脳内ではないかと観客は思わないだろうか。マルタはいくら過去に男に去られた傷が深いとはいえ、小学生の男の子が、パンツを脱いで水浴びしているのをみて、いい年をした熟年女性が自分自身を血だらけになるほど自傷するか。アホらしい、だいたい女をばかにしているわ▼ホットパンツの女はやはり姿を消す。ローラはホテルに入った女たちがつぎつぎ行方不明になることに危険を感じ、姉の捜索を警察に届けるが相手にしてもらえない。第三の女がホテルに投宿した。赤ん坊をだいた若い可愛い母親だ。きちんとした身なりに(やっとまともな客が来た)とばかり、姉妹は相好を崩し歓待する。そこへ近所のおばさんが「じつは」とおしゃべりに来た。彼女は未婚の母で、不倫の結果あの子を産んだというのだ。マルタの眉がつりあがる▼ローラは美術館で知り合った男性に「手伝ってほしい」と話をもちかけた。彼に自分の夫を演じてもらい、観光客の夫婦を装い、姉妹のホテルにチェックインする。深夜ローラはホテルの地下室に降り、そこに巨大なワインの樽がいくつも並んでいるのを見た。ハシゴにあがって蓋を取り、黒い液体をかきまわした…かわいそうに「夫役」を手伝った男性も、マルタに殺されちゃうのです。災難ね。姉妹の異常性をなぜ警察が知ることになったのかというと、ホテルで開かれた食事会で、女客のひとりが腹痛を起こし、ダンナは何気なく妻の食べていた皿に目をやると、奇妙なものが混じっていた、それは人間の眼球だった。ゲゲゲーッ。鬼太郎かよ~。衝撃的なほどつまらない映画にも手を抜かず、熱演した、姉妹ふたりの女優さんをねぎらってあげたいです。

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