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特集「ナンセンスは素敵だ」

2015年7月15日

特集「ナンセンスは素敵だ2」姉のいた夏、いない夏(2000年 家族映画)

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監督 アダム・ブルックス
出演 キャメロン・ディアス/ジョーダナ・ブリュースター/ブライス・ダナー

海がきれいでした

この映画、支離滅裂じゃない? アダム・ブルックス監督は「ブリジッド・ジョーンズの日記/ きれそうなわたしの12ヶ月」や「プラティカル・マジック」「フレンチ・キス」の脚本を書き、女性ものやラブコメに強いのだけど、本作では彼のストロング・ポイントが失速しているわ。「プラティカル・マジック」も姉妹ふたりがヒロインという、本作と同じ設定なのだけど、サンドラ・ブロックとニコール・キッドマンが大暴れしてきっちり笑わせたし、「フレンチ・キス」はこのジャンルをやらせたら天下無敵、ラブコメの女王メグ・ライアンの一人舞台だった。本作だってキャメロン・ディアスとジョーダナ・ブリュースター、脇にブライス・ダナーなのですが、いかんせん、ヒロインふたりの迷走ぶりに(なんでもいいからそのへんで終わって)になってしまったのよ。ただひとつユーラシア大陸の西の端、ポルトガルから臨む海がとびきりきれいだったわ▼姉フェイス(キャメロン・ディアス)と妹フィービー(ジョーダナ・ブリュースター)は年の離れた仲のいい姉妹。高校を卒業したばかりのフィービーは、9年前恋人ウルフとヨーロッパ旅行に出発したきり、ポルトガルのエスピシェルで自殺した、姉の死の原因を知りたかった。母親のゲイル(ブライス・ダナー)は悲しみを倍加させるだけだと反対したが、妹は出奔同様にして旅立つ。書き置きがいい。「1/愛している。2/ごめんなさい。3/旅に出ます。4/気をつけて行ってきます」こういう脚本の歯切れのよさがどうしてもっと随所にでなかったのだろう。話をはしょると、フェイスは最愛の父親が白血病で死んだ、父親は絵が好きだったが大企業の部長という要職にあり、なかなか絵が描けなかった、姉は画家である父親が誇らしかった、父親が白血病になったのは、いやな仕事に我慢して従事したストレスの結果だ、つまり「父さんは会社に殺された」のだと考え、ヒッピー・ムーブメントにのめりこみ、薬を覚え世界最強といわれるドイツ赤軍のテロ活動に従事する。ウルフは途中で恐れをなしパリにひきあげるが、姉は活動をやめなかった、ある日殺した相手が小さな子どもの父親だったとわかり、自己嫌悪に陥り活動に疑問が生じる、グループから離脱し恋人のもとに帰り、ふたりで傷心をいやす旅に出るものの、精神のバランスが保てず、ポルトガルの断崖から身を投げる▼ここまででもかなり「?」だと思うのだけど。仕事なんて大なり小なり、ストレスと二人三脚でしょう。職種が向いていないからって、みな白血病になるのかよ。大企業の部長なら所得はいいし、いやなやつの一人やふたりはいるかもしれないが、明日のパン代のために耐えねばならぬってわけじゃないだろ。いい暮らしして絵が描けなかったっていうのは、アーティストの苦悩や創作の行き詰まりとは問題が違うでしょう。もっと仰天するのは、姉の恋人ウルフは妹といっしょに自殺の謎をおって出発したと思ったら妹とできちゃう。ネンネだった妹があっというまに大胆なアプローチ。ほんの数分で性に目覚めたジョーダナが、ころころした幼な顔で「わたしたちは姉の名もださず求めあった、ひとときも我慢できなかった」と告白したところで、棒読みセリフには説得力がない。それを受け男は「数時間我慢したから、そろそろどう?」「いまここでやったら? 物陰で」おいおい、パリにおいてきた恋人はどうなった、姉を探す旅はどうなったのだ、「もうこれきりにしよう」なんて口ばっかり。あの若さで一度覚えちゃうとノンストップだから始末が悪い。やっと重い腰をあげエスピシェルに到着。妹は「ここじゃないわ、姉が死んだ場所ならわかるのよ、わたしにサディッションするものが感じられないわ」と否定するが、ウルフは「ここだ。あそこから飛び降りた、ぼくは見ていたのだ」はじめから言え。妹のインスピレーションもいい加減なものね~▼謎もヘチマのありはしない、お姉さんは神経が参ってふらふらと崖に近づいて、ウルフはひきとめる間もなかった、それだけのこと。姉のエキセントリックな性格がどっぷり暗いわ。キャメロン・ディアスは一癖も二癖もある女を演じるのがけっこううまいけど、本作ではさっぱり影が薄かった、役そのものに背骨がなく、雰囲気でふわふわひっぱっていこうとしているからどだい無理なのよ。妹と元恋人がいちばんおいしいところをもっていった、ということで「めでたし」とするしかないな。

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