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特集「ナンセンスは素敵だ」

2015年7月16日

特集「ナンセンスは素敵だ2」2999年異性への旅(2000年 コメディ映画)

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監督 マイク・ニコルズ
出演 ギャリー・シャンドリング/アネット・ベニング/ジョン・グッドマン

やっぱりA・ベニング

監督がマイク・ニコルズ? 社会派バリバリの監督がなんで、と思ったが案外そうでもないのかも。「卒業」もコメディの要素はあったし「ウルフ」はファンタジーといってもよかった。「卒業」と「ウルフ」のエキスをシェイクしてつくったカクテルにアネット・ベニングという真っ赤なチェリーが、いやいやベン・キングスレーという薄いけれど酸味いいレモンスライスが、よくみればギャリー・シャンドリングというオリーブまで、それにこの大きなおつまみはなんだ、ゲッ、ジョン・グッドマンが柄にもなく人の好い警官に扮して…という感じ。おふざけ映画が、ドキュメンタリーみたいな語りで大真面目にこう始まる。「宇宙の彼方に男たちの星がある。高度な技術は人間社会を超越している。クローンによる増殖で個体を増やし、生殖器は退化して消滅。彼らはいっさい感情を持たず、野心と征服欲のみが世代を追うごとに増大した。全宇宙を支配するためいま新たな計画が実行される」すなわち地球の女性に子供を産ませ赤ん坊を母星に連れて帰るのだ▼彼らがかつて見たことも触れたこともない、女性の体と心の構造についてレクチャーが行われた。「地球の女性の生殖器官はココです。開口部分はココ。他の器官から挿入しても妊娠には至りません。受け入れ態勢を促すには、各部位を刺激します。甘い言葉も有効です。香水や靴をほめれば気を許すでしょう。肝心なのはしっかり話を聞いていることを態度で示すこと。相槌を繰り返すと効果的です。練習しましょう。アーハ、アーハ」。厳格なテストの結果、最高得点をとった男性が地球に派遣されることになった。彼がもらった名前はハロルド・アンダーソン(ギャリー・シャンドリング)だ。アンダーソンは宇宙から飛来し、飛行中の旅客機にまぎれこみ、さっそく客室乗務員を口説く。美人であるとかないとか、気があうとかあわないとかの判断の基準はまったく彼のデータにはない。アンダーソンが口にするのは「君の靴はすてきだ」「いい香水だね」「子供を作りたい」と言いより、横面を張り飛ばされる▼アンダーソンは銀行員として地球人のなかで暮らすことになった。高度な知能とハイテクの技術、あっというまにやってしまう金融市場の分析に、副頭取候補とまでいわれる。同僚に女好きのペリーがいた。ペリーは女性と出会う最適な場所として「アルコール依存症を克服する会」に顔を出していた。そこでスピーチをしながら涙を浮かべる女性に狙いをつける。彼女らはたいてい家族に見放され、孤独で心細く、だれかと友達になりたくてたまらないからだという。アンダーソンはそこで依存症を克服した女性スーザン(アネット・ベニング)と出会う。スーザンは自分が男運の悪い女だと思っている。アンダーソンは早速目的達成のための行動に出る。「人生の目標は」とスーザンに聞かれたアンダーソンは「子供を作ること」。疑問の余地のない回答にスーザンは感動する。こんなにハッキリ、自分とつきあう目的を言った男はいなかった。「わたしも子供がほしいわ」とスーザンは答え、たちまちふたりは接近し結婚する。牧師の前でアンダーソンは宣誓「君をものにするため結婚したが、これからもものにし続けたい」▼そのときはいっぷう変わった宣誓くらいにしか思わなかったが、アンダーソンはたちまち地球人離れした能力を発揮する。新婚旅行から帰ったアンダーソンにペリーがたずねたところ「1週間に126回」と答える。アンダーソンを出し抜こうとするペリーは「彼は怠け者です」と頭取に告げ口するが「126回が怠け者のすることか」といなされてしまう。スーザンはめでたく妊娠した。アネット・ベニングが大喜びで踊るシーンがほほえましい。そして出産であるが、なんと3ヶ月だというのにまるまるとできあがった男児を産み落とすのだ。意味など考えても仕方ない。だんだん観客は、乗車したモノレールのゆきつくところまで運ばれねば仕方ないと思えてくる。平板になりかけてきた筋書きに、変化をもたらすのが巨漢ジョン・グッドマンの航空局の警官だったはず。彼は飛行中に突如として生じた過激な揺れの原因をつきとめようと、ビデオをまきもどし、正体不明の物質が機内に潜入したと結論する。それは異星人にちがいない。乗務員に不審な人物の聞き込みをやると、覚えのなかった男性がしつこく靴やら子供やらの話をした、そこで乗客名簿を調べるとアンダーソンなる男性は搭乗していない。ところがアクの強いワル役であるべきグッドマン警官は、簡単にアンダーソンの味方になってしまうのだ。わりと出だしのいい映画だったのに、小ネタにおさまってしまったのがつらい。唯一はつらつと映画をひっぱっていったのはやっぱりアネット・ベニング。ギャリー・シャンドリングは、なんでこの人と126回もする気になったのだろう、と思ってしまう役回りでソンをするのだが、そこがナンセンスのナンセンスたる所以なのだから、仕方ないよね。

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