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特集「ナンセンスは素敵だ」

2015年7月19日

特集「ナンセンスは素敵だ2」ほぼ300(2008年 コメディ映画)

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監督 ジェイソン・フリードバーグ/アーロン・セルツアー
出演 ショーン・マグワイア/カルメン・エレクトラ

お下品おバカ何でもこい

あまりのバカバカしさに国辱とまでいわれたこの映画、当年のラジー賞を独占するかという勢いでした。「ほぼ300」という邦題の傑作に拍手を。お下劣、お下品、おバカ、ありとあらゆる悪口をものともせず笑い倒します。まともに考えたら(いや考えなくても)ゲロ吐きそうなシーンも、映画の勢いみたいなものが踏み潰してしまいます。ジェイソン・フリードバーグとアーロン・セルツアーは「最終絶叫計画」の名コンビです。それに輪をかけたDVDのパッケージがおみごと。見た途端「オエッ」とのけぞりたくなる迫力でした。本作中これでもかと出てくるパロディは、本家の映画を見た人なら絶倒する。ゴシップネタもふんだんに盛り込んでいます「生まれた赤ん坊がベトナム人なら」のシーンでは「ブラピとアンジーの養子に」そこでソックリさんふたりが登場するという具合。粗筋なんかあってないようなものですが、基本は本家「300」に忠実です。紀元前480年、スパルタ王レオニダスの元に、ペルシャ帝国から使者が訪れ服従を要求した。王は拒否、使者を殺害し「死の穴」に放り込む。しかしデルポイの神託が告げたのは非戦、このままでは戦わずしてスパルタはペルシャの支配下になる。王は散歩と称して300人の親衛隊を率い、100万のペルシャ軍を迎撃する、これが「死闘テルモピュライの戦い」でした▼いくつかのシーンをあげていくと、まず有名なスパルタ教育。王が息子に施す教育とは幼児虐待にひとしい。赤ん坊も負けていない、ゲロっと吐き出す緑色の液は「シュレック」のパロディ。笑えないシーンもいっぱいあります。女性は180度開脚で下着なし。かろうじてボカシが入っている。王の号令で集まった勇士たちは300人のはずが13人。彼らはヒマそうにドリンクを飲み、スナック菓子をぽりぽり。メタボまでいる。忠実な隊長とイケメンの息子が現れ、意気軒昂に闘志を示す。敵が待つ「熱い門」まで、兵士はみんな手をつなぎスキップして行軍、途中現れるエフィアルテスはなぜかパリス・ヒルトンである。スパルタ王レオニダスを演じるショーン・マグワイア。本家の戦士たちの、美々しい腹筋はCGではないかと疑われたくらい美丈夫揃いでした。マグワイアのそれはどうでしょう。腹筋メイクありありで盛り上がりを強調しています。王妃マルゴは「最終絶叫計画」「おバカは地球を救う」でおなじみのカーメン・エレクトラ。本家で演じたレナ・ヘディとの「ギャップありすぎ」をなんと言おう▼でも最高のギャップは、ペルシャ王クセルクセのケン・ダヴィティアンと本家のロドリゴ・サントロだろう。サントロはリオデジャネイロ出身、「チャーリーズ・エンジェルフルスロットル」でハリウッドデビューした「世界で最も美しい50人」(ピープル誌、2004)のうちひとり。本作のペルシャ王はケン・ダヴィティアンの怪異さに思わず引いてしまう。パロディのイチオシはどれだろう。「007カジノ・ロワイヤル」。ダニエル・クレイグが椅子にしばりつけられタマタマを拷問されるあのシーン。本作ではレオニダスが同様に、でも肝心な箇所はペースト状ドッグフードを塗られ、大喜びで走ってきたワンちゃんが夢中でペロペロ、王は悶絶する。王が荒野をさまよう修業中、突如現れた怪獣は、え、よくみるとペンギンだ。馬鹿でかいペンギンが宙を飛び大きな足でキック、キック、と思うと軽やかなステップを踏み出す。もちろん「ハッピー・フィート」のギャグです。ペルシャ軍100万人の大軍団はどこだ? 「これを見ろ」とペルシャ王が指し示した軍隊は、するすると青い布を張ったスクリーンに出現したCG。低予算だからこれでいいのだって。全員パンツにムキムキのマッチョスタイル。「死の穴」にトム・クルーズまで放り込まれ「詐欺師がつくった映画にして西洋文明の衰退、まさに国辱」とまで評された本作。当たっている気もするけど「最高にくだらんな」と思いながら最後まで見てしまいました。パロディとはもともと不条理の世界です。理屈がなりたたないことを前提にした産物なのだから、ま、いいでしょ。

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