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特集「ナンセンスは素敵だ」

2015年7月20日

特集「ナンセンスは素敵だ2」アホリックス リローデッド(2007年 コメディ映画)

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監督 ブラッド・マーティン
出演 デヴィッド・リーチ

爆笑パロディ

男性ストリップクラブに出演していたフランク(デヴィッド・リーチ)はアクションスターにスカウトされ、ジョン・フー監督のもとで「ジンポー」を撮ることになったがとにかく動きが鈍い。監督は「主演でこれだけセリフが少ないのはアーノルドくらいだった」。共演の女優はくそみそ。「あの人は俳優じゃなくダンサーよ。アカデミー賞なんてありえない。わたしならわかるけど」。アクションはダンスと同じだという親友ダンサーのアドバイスで開眼、格闘技師はブルース・レー。映画は大ヒットする…ここまでで本物の名前をあげると、監督はジョン・ウー、映画のタイトルは「ランボー」、セリフの少ない「アーノルド」とはもちろんシュワちゃんのこと。格闘技のコーチは伝説のブルース・リーです。キャリー=アン・モスは本人です▼フランクは映画の空前のヒットに気をよくしてお定まりの転落人生を歩む。アルコール依存症、薬物依存症、肥満。零落。子供のころ通っていたダンス学校の先生からきた手紙があった。「あなたの成功を喜んでいる。あなたは特別な子だった。ダンススクールは閉鎖しました。あなたの援助なしにはやっていけない。今はガレージで教えています。でもここじゃ狭すぎる」なんとなく最後は怨みっぽいけど、フランクは「恩師や友達を失望させた。もう二度と同じ過ちは繰り返さない」と決意。アルコール依存症の治療サークルに出席する。仕事の話がきた。監督は新進気鋭の若手。ギャラは最低だがフランクは復活を賭けた。タイトルは「混雑時間」(「ラッシュアワー」)。人生は甘くない。ブランクが祟ってアクションのカンがもどらない。共演の女優ケリー・フー(本人)は匙を投げる。「ひどい動きだ、なぜこんなやつが主演なのだ」と共演者らはブーイング。フランクは降板する。ナレーターは「問題は低迷期でも本人が努力を続けられたかどうかだ」とばっさり。再びアルコール依存症の再生会に参加。ある日苦境を乗り越える男の独白劇をやる。「欲しいものが必要とは限らない。そう思うと、しばらくの間周囲の雑音が気にならなくなる。辛いのは君だけじゃない。みな同じように悩み絶望を感じている。まず自分を愛したい、他人を助けるのではなく自分を救うのだ」かくしてフランクはトレーニングを再開▼海岸をコーチとふたりで走り、抱き合って喜び、こぶしをつきあげるのは「ロッキー」のパロ。ダンスのレッスンではフラッシュ・ダンス」の跳躍シーン。ラストの締め10分くらいがやっと「マトリックス」だ。ヒューゴ・ウィーヴィングが取材に答え「フランクのダンスはすごい。まれにみるアクションスターだ。もっと評価されてしかるべきだ」。アンジェリーナ・ジョリーは「フランクの功績でいまや映画にダンスはつきものとなったわ。わたしもダンスを習わなくちゃ。嫌いだけど」。このドキュメンタリー自体がすべて偽物です(笑)▼模倣、模写、模型、模擬、つまり偽物のクリエイトっておもしろいよね。子供がおもちゃに夢中になるのは本物じゃないからだ。人形やフィギュア。帆船・鉄道模型、レプリカ。タッソー夫人の蝋人形。あの七面倒くさいことばかり書いているアリストテレスでさえ、ミメーシス(模倣)こそ人間本来の心であり、アートの様式だと断言しているじゃないですか。それくらい「模倣あるいは限りなく本物に近い偽物」って魅力ある。絵画の模写マーケットで、模写だとわかったうえで最高の価格がつくのは、本物が欲しいからではない、卓抜した偽物に魅了されるからよ。映画だって小説だって絵画だって、おしなべて偽物の世界じゃないですか。なかにはコンマ以下のパロディもあるけど本作は面白かった。アッケラカンと復活したフランクの援助で、ダンススクールが再開されるという後味もよかったからね(笑)。毒々しい中傷ひとつもないから、アンジーや、ヒューゴや、デビー・アレンといった一流が出演を承知したのだと思う。まあアンジーは劇中「ビッチ」なんていわれているけど、「ビッチ」には「わたしの女」という意味もあるから。気にするほどのことじゃないしね。

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