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特集「ザ・クラシックス」

2015年7月29日

特集「ザ・クラシックス2」バーレスク(2010年 ミュージカル映画)

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監督 スティーヴ・アンティン
出演 クリスティーナ・アギレラ/シェール/スタンリー・トゥッチ/アラン・カミング/クリスティン・ニッキ

バーレスクが目覚める

映画は書くものではなく見るものだという、フテ腐れた言い方でもするしかない映画がたまにあるものですが、本作なんかそうですね。アメリカのシンガー・ソングライター、クリスティーナ・アギレラの映画デビュー作。主役のひとりにシュールがいます。劇中の彼女のステージに目を見張ります。長い脚に網タイツをバシッと決めちゃいましてね。64歳にして、ですよ。彼女どことなく今は亡き越路吹雪さんの雰囲気に似ているのです。ムードのある歌のうまさ、もちろんそれもあるけど、あの長い顔ね。ハリウッドで一、二を争う長い顔といえばシェールとジェニファー・ビールスです。どっちも美人ですが、暗闇からシェールがヌッと現れたら厩舎と間違えそうだわ▼アイオワの田舎から歌手になることを夢見てロスに出てきたアリ(クリスティーナ・アギレラ)が足を棒にして職探しをしている。日が暮れかけたロスの街にネオンがついた。目の前に「バーレスク」と灯ったクラブにアリは吸い込まれる。ショーが始まっていた。ステージ中央にたつテス(シェール)はこの店の経営者。テスの歌と踊りに感激したアリは誰の許可も得ず、ウェイトレスとしてお盆を持ってテーブルを回る。目に止めたテスが「あれだれ?」彼女の長年の相棒であるマネージャーのショーン(スタンリー・トゥッチ)が押しかけ女房であると教える。間借りした部屋に泥棒に入られ一文無しになったアリは、親切なバーテン、ジャックの部屋に居候する。ジャックには婚約者がいるが彼女はニューヨーク。5000キロ離れた遠距離恋愛だ。ショーンは「アリはいい子だぞ。ぼやぼやせずアタックしろ」とジャックの尻を叩くがどっちもなかなか「おともだち」の線を越えそうにない▼歌手になりたいという田舎娘の直訴に、耳を貸さなかったテスだが、オーディションの日、強引にステージに上がって歌わせてくれというアリにしぶしぶ歌わせる。アリの声量は衝撃的だった。テスは遅刻と酒でトラブルばかり起こしているニッキ(クリスティン・ベル)の代役にアリを抜擢した。怒ったニッキは公演中、BGMの音源コードを抜いてステージのダンサーとアリを立ち往生させる。客席はざわつく。ショーンは「幕をおろせ」と指示。重い幕がもう少しでアリの顔をかくそうとしたとき、彼女が赤っペラで歌い始める。その声を聞いたテスは「ストップ」幕をとめた。静まり返った客席にアリの歌が響き渡った▼とにかくベタなンですけどそれがまたいいのだ。気取らない居酒屋の、肌に馴染んだ空気みたいなよさがあるのだ。あれよアレよという間にアリのステージには開店前から行列が、開店したら立ち見ができる。でもバーレスクには多額の借金があった。共同経営者のテスの元夫は店を売ろうというが、バーレスクとともに生きてきたテスは、店を売るのは半身をもがれるに等しい。ロス中の銀行をまわるがどこも相手にしない。バーレスクの立地に目をつけた不動産屋はアリに近づき、こんな店に君がいるのはもったいないとささやき、自分が資産を築いてきた不動産業のうんちくを語る。その中に「空中権」というアリの耳慣れぬ単語があった…アリとテスの起死回生のアイデアとは▼脇をかためる役者たちがみな渋いのです。バーレスクの呼び込みをやるアレクシスにアラン・カミング。主役食いだといってもいい。「Lの世界」で影のあるゲイのマネージャーを演じ、彼が登場すると華やかな女優陣がかすむほどの存在感があった。ショーンのスタンリー・トゥッチ。坊主頭にメガネをかけ、背は低いしシェールと並ぶと見上げなければいけない。彼はいいやつなのだ。繊細な感性を気の強い言動で隠しているテスの性格を知り抜き、センチな慰めかたなどしない。しないがだれよりも心が温かいことがテスには伝わる。敵役のニッキのクリスティン・ベル。テスにクビを言い渡され「新婚のときのアンタの夫と寝たわ」と捨てセリフを吐いて車を出す。それを聞いたテスは車の通り過ぎざま鉄棒でフロントガラスを打ち破る。やることがすごい。ニッキはタンカをきってやめたものの寂しくて仕方なく、バーレスクが恋しい。ある日店にきていっしょにやらせてくれと頼む。ニッキとアリ。最強のディーバを揃えたバーレスクに敵はない。借金? 50万ドル耳をそろえてテスは返済します。アリとジャックはやっと「おともだち」を卒業。バーレスクに今夜も元気な灯がともるロスの夕暮れでありました。めでたし。

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