女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2015年8月8日

特集 LGBTー映画にみるゲイ139
ビッチ・スラップ危険な天使たち(2010年 ゲイ映画)

Pocket
LINEで送る

監督 リック・ジェイコブソン
出演 エリン・カミングス/アメリカ・オリヴァ/ジュリア・ヴォス

快作おバカ映画

タイトルからして露出的で悪趣味な、いやみ味のエロチック映画と思っていたところ、あんまりまともな映画だったので感動したわ。エンタメ系女優アクションのすぐれものだわ。エリン・カミングスとアメリカ・オリヴァの格闘技はハンパじゃなかった。リック・ジェイコブソンってテレビ版「ニキータ」の監督ですね。彼はガールズ・ファイトが好きなのよ。イロモノでもキワモノでもなく。武器の扱いに長け(劇中K14コルセア・レールガン、カーボンファイバー製が使われます)ハイテクの近代戦のできる強い女が好き、となると完全にジェームズ・キャメロン系ですわ。監督自身が嬉々として撮っていることがよくわかる。彼自身が自分のタイプの女たちを映画にするのだから、ここぞ、というときの決め方にためらいがない。女たちを思い切りスマートに、グロテスクに、エロチックに、クールにしています▼ストーリーはもちろんテンコ盛り。女同士の愛の扱いもいじくりまわさず堂々と正攻法。オープニングに「超自然的な悪の存在を信じる必要はない、人間だけでどんな悪事もなしうる」とコンラッドを引用するセンスなんか心憎いわ。リーダー格のヘル(エリン・カミングス)は高級娼婦、カメロ(アメリカ・オリヴァ)は麻薬の売人、トリクシー(ジュリア・ボス)はストリッパー。ヘルとカメロは刑務所で知り合い、カメロが2億ドルのダイヤの強奪をもちかけた。彼女らがあっさり出所できたのには裏があるが、そういうチマチマした内輪話はあと、あと。ヘルは恋人のトリクシーを仲間にいれ3人は砂漠にやってきた。隠し場所を吐かせるため半死半生の目にあわせた男ゲイジを車のトランクに押しこめて。ゲイジは腐ってもギャングのはしくれ。女たちを挑発するばかりでいっこうゲロしないばかりか、隙をみてトリクシーを人質にする。ドジでグズだとトリクシーをバカにしていたカメロは、面倒くさくなってゲイジを殺してしまう▼わずかなヒントをたよりに女たちは砂漠の一地点を掘り始めるが、ぴっちりしたタイトスカートやドレスにピンヒールでろくな作業ができるはずがない。嫌気のさしたトリクシーがトレーラーに休憩に、ヘルが呼び戻しに行く。ふたりはそこでエスカレート、もう少しでのぼりつめそうなときだったのに「なにやってンだ!」トレーラーの戸口にカメロが仁王立ち。「人が汗かいて穴掘っているときに、アンタらグチョグチョと」勘弁ならぬと怒りまくるカメロ。そら無理ないです(笑)。ヘルが「ごめんなさい。わたしとトリクシーの関係を隠していたのは悪かったけど、あなたを裏切るつもりはないの」と、なだめているとき第三の敵が。妙な日本語を話す女殺し屋とその相棒だ。話はさかのぼる。彼らが砂漠にやってきたのは、ギャングに追われていたカメロが尼さんに化けて修道院に隠れ、昼はサーカスのレスビアンショーに出ていたときだ。カメロを追ってきたのがゲイジの手下女殺し屋とその相棒だ▼「4時間前」「1週間前」「3ヶ月前」と時間が逆行しながら次第に女3人の出会いのプロセスが解明していきます。ヘルはCIAの女スパイ。ゲイジがCIAから盗んだ「ナノスワーム」を取り返すのが狙いだ。ナノスワームとは自己増殖するウィルスのバイオ兵器です。生物から炭素を吸い取るウィルスに吸い付かれたら、灰色のドロドロ状になりひとつ間違うと北米が全滅する。カメロとの死闘のあとナノスワームを取り返したヘルは、自分の職責をトリクシーにあかし「でもあなたへの気持ちは変わらない。CIAをやめたかったが簡単には抜けられない、一生を保障する保険と大金が必要だった。それがウィルスとダイヤだった。これであなたとミクロネシア諸島で暮らせる。永遠に愛している」と告白したとたんトリクシーが銃弾を浴びる。カメロがよれよれになりながら生きていて「傷つくだろ。惚れた女を奪われると」口いっぱい嘲笑するのだ。ヘルはもはや待ったなし。「くたばれ、サイコ女」「死ね、クソババア」そしてまたもや激突。数分続くファイトシーンはドラマチックなまでによくできている▼クライマックスはいよいよ本作の裏のフィクサー「ピンキー」の正体です。国際テロすらあやつる悪の帝王。消去法でいくとそう、ピンキーとはトリクシーでした。死んだはず? いいえ、なぜかは知らんが、弾は当たっても彼女死なないらしいですよ。「なぜわたしやカメロを」ときくヘルに「女は結局ビッチなのよ」とご都合のいい答え。「女は」じゃなくて「わたしは」だろ。でピンキーがなぜこういう手の込んだ芝居を打ったのか、というとゲイジが奪った「埋忠明寿の名刀」を取り戻したかったというからマニアックではないか。「この刀は600年のあいだ数々の戦や権力の盛衰を見てきた。この世でいちばんの宝物。ばかなケイジが盗んだ」だから女たちを利用し殺すなんて「ひどい、愛していたのに」とヘル。「あなたやカメロは迷える魂だったから救ってあげたのよ」としゃあしゃあ言う。男も女も死に、砂漠の地下にあった武器庫は炎上、ひとりトリクシーは天まで焦がす炎を背に迎えにきたリムジンに乗り込む。し・か・し。見よ、トリクシーが蹴飛ばしたはずみにナノスワームの容器は開口したのだ。きっとウィルスはくっついたぞ。灰色のドロドロだぞ、どうする監督、うわ~北米全滅だわ。ジェイコブソン監督「知るかい。きょうの紙芝居はこまでよ。ハイおつかれ~」

Pocket
LINEで送る