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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2015年8月10日

特集 LGBTー映画にみるゲイ141
オール・アバウト・アンナ(2005年 ゲイ映画)

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監督 ジェシカ・ニールセン
出演 グリ・バイ

女性のためのポルノ

エロチック・ポルノという範疇らしいけど、エロチックもヘチマもないわね。ポルノに筋書きらしいものがくっついているというだけで。こういう映画がなんでもっともらしく評価されるのかよくわからなかったのだけど、やっぱり製作が「ツェントローパ」ということでしょうか。ラース・フォン・トリアー監督が設立した映画製作会社で当時の彼の最新作「ヨーロッパ」にちなんでつけられた社名です。同社は主流の映画製作を行うと同時にハードコアポルノを製作するというユニークな会社でして、女性観客を対象にしたアダルト作品が何本か撮られています。本作はその1本。ジェシカ・ニールセン監督はスエーデンの女性監督です。女性による女性のためのポルノというのが売りでした▼「女性のための」という趣旨をそのまま受け入れることにしてみていきます。ヒロイン、アンナはコペンハーゲンに住む衣装デザイナー。恋人ヨハンと愛しあい睦まじく過ごしている…ですがヨハンの職業って何なの。冒険家なのかしら。それにしては装備やトレーニング機器や探検地域調査にお金をかけているふうでもないし。映画が始まってまもなく彼は「北極に行く」といって出航します。出航と書いたけどボロ船一艘で出港よ。アンナは港、というより桟橋で別れを惜しむのだけど、いくらデンマークが北極に近いといったって、ボートに毛が生えたような小舟で行けるのか。海釣り用の船じゃないの。でも男はでかけた。ヨハンはたとえ居眠りしていてもパッと目が覚めるようなみごとな筋肉マンです。胸の厚さ、胸板の盛り上がり、つやつやと流れる流麗な背筋、腹筋はいうまでもない見事なブロック割。腕? ボディビルダーもはだしで逃げるわ。筋肉フェチがみたら感動のあまり卒倒しそうな男です。彼が北極に行った。予定は3ヶ月だという。北極で3ヶ月も何をするのと、何度目かになるが、首をひねる▼アンナはせっせと手紙を書く。2ヶ月で返事はこなくなった。すぐ思い当たるのは遭難だろうけど、アンナが存外落ち着いているところをみると遭難はむしろ想定外らしい。すれば何が起こったのか。いきなり「5年たってあきらめた」とモノローグが出るのだ。5年間思い続け恋人の帰りを待っていたのだ。事故だ、遭難だ、遺体発見だという情報がなにもないところをみたら、男が自分を棄てて蒸発した、ほかの女に走ったってところが常道でしょう。アンナにも別の恋人ができた。当然ね。彼フランクは気のいい男でヨハンの「ヨ」も蒸し返さず…あんな小舟しかない港の一画にほそぼそと繋留しているのだもの、同業者とはいつも顔をあわせていたのだし、アンナとヨハンがラブラブの恋人同士だったくらい、町では知れ渡っていたでしょうにフランクはヨハンを無視。いい男じゃない。アンナはやっとヨハンをあきらめフランクといっしょに暮らすと決め、新居に引っ越す。引越し業者が家具を運び込んできた。二人の男のうちひとりがヨハンだった。北極の冒険家が引っ越し会社の見習いかい。ヨハンがアンナとしゃべりたがるものだから、先輩に「おい、手を休めるな」と叱られている。どこまでもずれたヒトなのである▼驚くにはまだ早い。アンナはヨハンとよりをもどし、フランクとの新生活を中止するのだ。2ヶ月で手紙の一行も書かなくなった男に、どんな将来構想があったのかアンナは確かめもしないのだ。かくも大雑把な映画なのにラブシーンだけは念入りである。アンナにしてもヨハンにしてもフランクにしても、こんなにも机が好きな人たちはめずらしい。ほかに場所はないのかよ。少しはセットの組み換えくらい、撮影も努力しろよな。アンナのルームシェアする同居人というのが騒々しい女性だが気はいい。アンナは舞台衣装のデザインを気にいった役者のすすめでパリに行く。すりよってくる役者を振って、女優のゾフィと知り合う。彼女はアンナの才能を認めほめちぎる。たちまち二人は深い関係になる。忌憚なくいわせてもらえば、この映画のセックスシーンはハードで念入りだけど、きれいか美しいか、となるとやはり首をひねる。ひねりすぎでこの映画は首がだるくなる▼ゾフィともわかれアンナは帰国。するとヨハンはルームシェアする女性と抱き合っていた。ヨハンをあきらめきれず愛しているアンナということになっていますが、こういうバカらしい設定で「女性のための女性向き」映画を作ろうと本気で考えていたのでしょうか。女はいつもいそいそとすべてを許し不満を感じず、あっても不問に付し、男のもとに戻っていかんと映画にならんのか(笑)。ひとつだけ。セックスシーン以外は棒立ちに等しい女優・男優のなかで、ゾフィだけが存在感を放っていました。彼女だけ本物のポルノ女優です。

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