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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2015年8月17日

特集 LGBTー映画にみるゲイ148
愛の勝利(1938年 ゲイ映画)

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監督 エドマンド・グールディング
出演 ベティ・デイビス/ジェラルディン・フィッツジェラルド

シスターフッド

これをゲイ映画の範疇にいれると、またか、いい加減にしろと言われそうな気がするのですが、どう考えても劇中のヒロイン、ジュディス(ベティ・デイビス)と秘書アン(ジェラルディン・フィッツジェラルド)の関係が濃いのよね。ジュディスは医師のスティール(ジョージ・ブレント)に恋し、馬丁のマイケルからも愛を打ち明けられる大富豪の娘だ。彼女の自己紹介によると「23歳。一人っ子。体重は裸で37キロ。麻疹はすませた。自閉症でうまれつき体は弱い。父はお酒で命を落とし母は目下パリに。私はヨット、乗馬、狩り、運動を思う存分しパーティも」夜遅くまでやっている。しつこい頭痛と目眩(めまい)を起こすようになり、アンとかかりつけの主治医が強引に専門医のスティールの診療所に連れて行く。彼の診断により脳に極めて難しい腫瘍があり、一刻も猶予もなく手術を受けねばならなかった▼手術は成功した。ジュディスとスティールは愛を確かめ、結婚しスティールが研究所を開くバーモントに新居をかまえることになる。引っ越しのためスティールの書斎を整理していたジュディスは偶然、検査結果の通知書を読む。腫瘍の再発は避けられないとあった。ジュディスはスティールが自分への同情で結婚するのだと思い、すべてを白紙にもどし、スティールとアンを遠ざけ、パーティに明け暮れる生活に戻る。スティールは「人はだれでも死ぬ。時期がちがうだけだ。バーモントに行き、ふたりで安らぎをみつけずっといっしょにいよう、結婚しよう」「式をあげて夢に描いていた花嫁になるのね」と涙ぐむ。どこがゲイか。そう思うだろうが、この程度では安心できない。数カ月後バーモントでふたりは幸福な新婚生活を送っている。長年ジュディスに仕えてきたメイドのマーサも移り住み、アンも旧居の整理がつきしだい移ってくる。アンは知っている。再発の兆候はまず目に出る。あたりが暗くなりかすんできて意識が遠のく、おそらくは4、5時間で人事不省に陥る▼マイケルはジュディスの愛馬、チャレンジャーをレースに出場させるためジュディスに会いにくる。彼はジュディのよき友として最後まで彼女を支える。アンがやってきた。3ヶ月も会っていなかったふたりはとびついて再会を喜ぶ。庭でいっしょに球根を植えていたジェディスはアンに話しかける。「アン、雨が降りそうよ。嵐になるわ。雨具の用意をしなければ。大雨になると球根が台無しよ。雲が広がってきたわ」それを聞いたアンはこわばる。外は晴れ上がっているのにジョディには暗く見える。アンの固まった気配にジョディはすべてを察してアンを抱きしめる。死がそこまで来ている。折しも窓からスティールが首をつきだし、自分の論文がニューヨークの学会で発表される、夕方の汽車で行こうと言う。ジョディはアンに(黙って)と合図する。「わたしが見える?」とアン。「かすかに」とジョディ。彼女はこともなげにふるまい、自分は「家に残るから早く帰ってきて」とスティールに告げ「わたしたち、いろんなことをしたわね。まるで100年もいっしょに生きたよう。幸せだった。わたしはいい奥さんだった? わたしと結婚できてよかった? わたしはいつも幸せを感じていたわ。それをわかってほしいの。だれにも邪魔されず壊されることもなく、闇を乗り越えてつかんだ愛の勝利ね。怖いものはないもないわ」そういって夫を送り出す。そして独りでいたいとマーサもアンも部屋からだしベッドに横たわる。おい、どこがゲイだというのか(笑)▼ジュディとアンの関係が濃いと言ったのはやれベッドシーンだ、ラブシーンだというわけではないのです。1940年代という時代に、女ふたりの関係がおおっぴらに演じられるわけがない。この映画は典型的なシスターフッドではないかと思うのです。ゲイそれも女同士の関係は、指針となる歴史をほとんど持たないまま、独自の理念を構築しなければならぬという重荷を背負っていました。関係が表立つと魔女として火あぶりか追放にされたゲイの存在は、生き残る方法を情報化することもデータにすることもできなかったから、資料となる文献や作品などほとんど残っていません。恋人もつくり結婚もし、世間からノーマルとされる関係をまとって愛を生き延びさせました。女を愛する女たちがどのように生きてきたかを示すここ100年以前の歴史はほとんど知られていません。ただし仲のいい女同士の友情(シスターフッド)であれば、世間は許容しました。メイドや家政婦が何人もいるジュディスの屋敷にアンが秘書という「親友」として同居している。ふたりはなにかにつけ離れたことがない。愛しているとすぐに言い、もちろん言ってもいいがなんでいちいち抱きつき見つめ合い、手をつなぐのだ(笑)。まあいいか。最後に付け加えるとシスターフッドは新しい衣をまとい、ダイバーシティのひとつの在り方としてガーリー系で見直されています。たとえば「アナと雪の女王」の大ヒットはシスターフッドへの共感でした。美しく強い聡明な女性だからもてるのではない、女性が強く美しくあろうとすれば必然的に男も女も寄ってくる、そんな社会になってきています。ベティ・デイビスは31歳でした。すでに二度のオスカーに輝き出演する映画のほとんどでノミネート。小柄な細い体躯なのに堂々としていました。

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