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特集「ベストコレクション」

2015年9月6日

特集「秋の夜長のベストコレクション」⑥フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(2015年 社会派映画)

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監督 サム・テイラー=ジョンソン
出演 ダコタ・ジョンソン/ジェイミー・ドーナン

ぼくを愛してはいけない

なにかと話題の多い映画です。主演のダコタ・ジョンソンはメラニー・グリフィスの娘にしてティッピ・ヘドレンの孫、義父はアントニオ・バンデラス。E.L.ジェイムズの原作は主婦が書いた女性向けエロティックな小説として「マミー・ポルノ」とよばれベストセラーに。映画は大ヒットし、はやくも続編「フィフティ・シェイズ・ダーカー」と「フィフティ・シェイズ・フリード」の制作が決まった。主演二人は続投らしいが監督と脚本は降板する、というのも原作者の旦那が制作に口をはさみすぎるからだそう。サム・テイラー=ジョンソンは、言わずと知れた「ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ」の女性監督、彼女の夫は「キック・アス」や「アンナ・カレーニナ」の水もしたたるイケメンにして美丈夫、アーロン・テイラー=ジョンソンです▼まだまだあります。本作が無類のSM映画という触れ込み。27歳の巨大企業のCEOが、学生新聞の取材にきた女子大生に一目惚れ、彼女が専攻する英文学の、好きな作家がハーディだとわかったとたん、間髪をいれず「テス」初版本が家に届く。デートのお迎えはヘリコプター、彼が投宿するホテルのお部屋はもちろん最上階のスイート。自宅? 聞くもおろか、広大にして贅を尽くしただけが能ではない、その居住各室、キッチン、各フロアの洗練したセンスのよさ、彼は物静かにピアノまで弾くではないか。ただひとつ不思議なのは、お城のような邸宅に執事もメイドも現れない。そう、彼は自分ひとりで女をこの家に迎えたいのだ。その秘密はプレイ・ルームにある。手短に言うと、主人公クリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)がサド役、女子大生アナ(ダコタ・ジョンソン)がマゾ役。グレイは初対面のアナに「ぼくの趣味は普通とちがう。女性と食事や映画に行くのは趣味じゃない。ぼくは他人とは寝ない。愛を交わさない。激しくファックする。ぼくがドミナント(支配者)で女はサブミッシブ(従属者)だ。ぼくに身を委ねてほしい。従属すれば褒美をやるし、従わなければ罰を与える。他の関係には興味ない。それがぼくだ」へ~。ごめんこうむりたい。でも好奇心なのか、グレイに魅力を感じたのか、ギフト攻めに圧倒されたのか、アナは怖いもの見たさでグレイの世界に入っていく▼契約、契約とわずらわしく劇中繰り返される契約の内容とは「支配者を定めた呼称で呼ぶ。サーを付ける」「従属者の体をしばる、サルグツワをかませる」「従属者は支配者に敬意を払う」「従属者は許可なく支配者の体に触れることはできない」「飲酒・薬物を控える」「避妊をする」「プレイ中イエローは限界を知らせる言葉、レッドは中止」「プレイ・ルームに入ったらこの姿になれ」(裸になって髪を編む)。プレイは手首に革ベルトをはめ天井から吊るす、脱がした女のパンティの匂いを吸い込む、乗馬用ムチでお尻を打つ(痛そう)、打ちながら「君のすべてはぼくのものだ」女はこんな変態男に「なぜあなたに触れられないの? なぜいっしょに眠れないの?」と迫るのは、男に触りたい、となりで眠りたいということか。ああおぞましい。男は「契約がまだだ」と突っぱね、女は「契約が何よ!」とはね返す。エロティックを通り越して物好きというべき▼きけば男は不幸な子供時代を過ごし「産みの母は薬物中毒の売春婦で4歳のときに死んだ」。アナは男にずいぶん同情したみたい。「わたしをどうしたいのかやってみて。どこまで痛いのか教えて」「いいのか」「イエス」アナは覚悟を決めてとことん男と向きあおうって感じ。男は「ムチで6度打つ。君もいっしょに数えるのだ」と手加減なくビシャッ、ビシャッとやる。アナは耐えるのですけど、耐えるのになにか意味あるのかしら。さんざん痛い目にあい精も根も尽きた。男はいうのですよ「君こそぼくの望む女だ。だめだ、ボクを愛してはいけない」だれが愛するのだ、バカらしい。ここにきて女は言っちゃう「わたしにさわらないで。これが快楽なの? やめて、近寄らないで」(泣く)。そして服をまとめて部屋を出て行く▼どこまで胃もたれする映画だろう。アナのルームメイトがケイトです。アナの親友で、いつも男と寝るのに熱心だけど、世間知らずのアナを心配している。超セレブの独身イケメン男のやることなんて、どうも臭い。アナは卒業したらケイトといっしょにシドニーに引っ越していっしょに暮らすのだと言っているが、その前に「彼に振り回されたらダメよ」と釘をさす健全な感覚である。アメリカで映画が大ヒットしたわりに日本ではふるわなかった。日本人の感覚としてはケイト派が多いのだ。男の勝手な言い分をもっともらしく、あの手この手で正当化するセリフのアホらしさ。女が被虐の快感に身を投げ出すなんて、男が創りだした支配欲の幻想よ。しばりあげてムチでビシャビシャやりたい女のほうが多いのに。

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