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特集「美魔女」

2015年9月16日

特集「美魔女」シャロン・ストーン2ラストダンス(1996年 社会派映画)

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監督 ブルース・ベレスフォード
出演 シャロン・ストーン/ロブ・モロウ

タージ・マハール

むりに泣かせようとしない演出がいいです。ブルース・ベレスフォード監督は「ドライビングMissデイジー」で、アカデミー作品賞を受賞しながら監督賞にノミネートされなかった史上4作品(「つばさ」、「グランドホテル」、「アルゴ」、本作)のひとつを監督した人。この映画のときシャロン・ストーンは38歳。インタビューで答えたところによれば「40歳を前に、年を取るのが怖くて泣き明かした」時期でしょうか。女優さんがひとしく襲われる加齢恐怖症とでもいうのかな。でも最近作の「ジゴロ・イン・ニューヨーク」は57歳でとてもきれいだったけどな。「ダンサーのような体型を保ちながら年を取る」決意と努力のたまものでしょうか。シャロンはそのためにダンスやストレッチを欠かさず、ジムに通い、大好きなワインを断ち、タンパク質を多く摂るハイプロテイン・ダイエットを実施したと明かしていた▼本作は生への執着をいっさい捨てた死刑囚。19歳のときの殺人の罪で12年間刑務所にいる。これまで3度控訴したが今回はしない。よって30日後に死刑が実施される女囚シンディが彼女である。ダブダブの囚人服を着てスッピン。となりの房にいる女囚レッジは字が書けないので、大声で「そのつぎは何て?」とか聞きながら、手紙を代筆してやったりする。死刑執行命令がシンディに届いた日、レッジは「あたしがついているよ」と檻から手を延ばして精一杯言う。シンディは手を止め、この時も「手紙の続きは?」と聞いただけだ。恩赦課に勤務することになったリチャード(ロブ・モロウ)は兄がやり手の知事補佐官。弁護士ではあるが本気で働く気がまったくない。シンディを担当することになり犯罪歴を見る。共犯者の証言により残虐で計画的な犯行であり、情状酌量の余地なしとして死刑を宣告された。面会に来たリチャードに、シンディは「死ぬときくらい好きに死ぬ。わたしの自由はそれだけ」と突き放す。リチャードは事件の再調査を始め、シンディの両親はすでになく、母の愛人に麻薬を打たれてレイプされ、酒とドラッグに溺れ、強盗などを繰り返していたことがわかる。事件当日シンディは麻薬漬けで意識はなかった。調べるうちシンディの裁判は「汚い弁護士と被害者の父親の圧力による、被告への不公平な扱いがまかり通っている」とリチャードはつきとめ、「彼女の殺人は、懲役には値しても死刑は重すぎる」と結論する。派手などんでん返しはありませんが、捜査書類の読み直しや関係者への聞き込みなど、地道な事実の再構成で解釈を立て直すプロセスは、説得力があります▼「どうしたら生きる気になる? なにを証明したいの?」とシンディは聞く。リチャードはあらゆる手段を講じ、奔走して、休日で別荘に釣りに行った判事をヘリで追いかけ、ぎりぎりの日に参考資料一式を渡す。執行48時間前、シンディは男子監房に移され執行を待つのみとなった。女囚たちはカンや檻や、手元にある器物を、スプーンで叩いて音を鳴らし、シンディの姿が消えるまで見送る。リチャードの計らいで、シンディは少年院に収容中の弟に面会を許された。たったひとりの家族である腹違いの弟だ。「わたしたちは永遠に姉と弟よ。どんなことがあっても。あんたはわたしの宝よ。少年院をでたあとどうするか、いまのうちにしっかり考えるのよ。いいわね。あんたを見ているわよ!」。リチャードと弟はシンディと同じ部屋で最後の一日を過ごす。リチャードが買ってきてくれたドレスを着て。死刑は致死量の薬物を静脈から注入し死に至らしめる。ベッドに横たわったシンディはリチャードと弟を見ていた。注入器のスイッチが押されようとしたとき、執行中止のランプが点灯した。判事が執行中止を指示したのだ▼ここで映画が終わったら、さぞすがすがしかったであろうが、ベレスフォード監督はそれをしない。知事は中止を取り消し刑は執行された。知事の支持者の75%は死刑賛成派なのだ。ぬかよろこびさせて殺すか。シンディはリチャードに言う。「わたしを見ていて」息をひきとるシンディをリチャードは見ていた。シンディは服役中、通信教育で絵を描いていた。リチャードに写真を買ってきてくれと頼んだことがある。遺品の数点のデッサンの中にタージ・マハールはあった。36歳で没した愛妃マハールのために、21年を費やした総大理石の墓廟にリチャードはやってきた。シンディといっしょに見ている、そんなラストだった。

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