女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「美魔女」

2015年9月17日

特集「美魔女」シャロン・ストーン3トータル・リコール(1990年 SF映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ポール・ヴァーホーヘン
出演 アーノルド・シュワルツネッガー/シャロン・ストーン/マイケル・アイアンサイド

シャロン現わる

本作のときシャロン・ストーンは32歳だった。彼女は22歳でデビューし、10年間しょぼい女優で暮らしていたのである。ああみえて忍耐強いのだ。IQの高さや、本なしではおれない読書アディクトであることを思うと、この10年間の「肥やし」が、ポール・ヴァーホーヘンに出会ってとうとう花開いたという感がある。「氷の微笑」のパンティ騒動では「監督が無断で撮った」とかなんとか、シャロンが激怒したと伝わっているけど、付け足しの後出しジャンケンだろう。シャロンはポール・ヴァーホーヘンに心から感謝するべきだ(しているにちがいないが)。本作のワル役をシャロンにやらせ、素質を見ぬいたヴァーホーヘンが、次作「氷の微笑」でヒロインに抜擢したのである。この映画がなかったらシャロンの女優人生はちがったものになっていた。本作でシャロンは大型のシュワちゃんと、豪腕ヴァーホーヘンの演出に、ちっともひけをとらない「大型」と「エロチック」の片鱗をみせている▼豪腕と書いたが、ヴァンホーヘンが好む戯画的誇張は、この映画の隠れたエンジンだ。エスカレーターの銃撃戦で、主人公がためらうことなく一般市民を巻き込み、狙撃者から身を守るため、盾にした遺体に銃弾を浴びさせるとか、平気で踏んでいくとか、かなりグロテスクである。安普請の火星ドームの放射能漏れによるミュータント(変異体)の形象が、乳房の3つある女性、小人症、顔の半面が肥大、腹部に顔があるなど、鬼面人を驚かせる。広大な火星のセットは赤い荒野だ。空港に到着した巨大な女性の、顔面割れマスクの下からシュワちゃんが顔を出すシーンは、何度みてもデヴィッド・クローネンバーグの「スキャナーズ」に並ぶ特撮の傑作だと思う。酸素の欠乏によって眼球が飛び出し、皮膚がふくれあがり、筋肉が弾け、じつにグロテスクに変容するシーンを、じっくり映すヴァーホーヘンの凝りようは、スピーディな筋運びとは対照的に、パーツ・フェチ的でさえある。鼻の上部に装着された追跡用発信機を取り出すときに、シュワちゃんの鼻が、ニワトリの卵ほどの団子鼻にふくれあがるのには笑った。シャロンのアクションは、動きはいいものの、いざというときの決め技が股間キックだけというのは、まだまだ甘かった(笑)▼近未来の地球では火星移住が可能になっていた。ダグ・クエイド(アーノルド・シュワルツネッガー)は行ったこともない火星の夢に毎晩のようにうなされる。妻ローリーとは結婚8年。火星旅行に行きたいというダグの希望に、なぜかローリーは賛成しない。ダグは地下鉄の広告でみかけたリコール社の模擬記憶体験の旅を火星プログラムで申し込む。しかし睡眠状態にあったダグが、激しい拒否反応を起こして旅行は中止。リコール社での記憶は全部削除されたダグは自宅に送り返されるが、待っていたのは暗殺者と化したダグの友人と妻ローリーだった▼火星では酸素の供給を独占することによって支配者となったコーヘイゲンが、反乱軍に手を焼いている。ダグは元コーヘイゲンの幹部だったが、コーヘイゲンの独裁に反対したため、記憶を消され地球に送り返され、ローリーは妻という名目の彼の監視役だった。謎の男から渡されたモニターによって自分が火星の諜報情報部員だったことを知ったダグは、再び火星に向かい、反乱軍とともに独裁体制を倒そうとする。コーヘイゲンはじつは火星の先住民であったエイリアンが、100万年も前に巨大な大気製造炉をつくっており、それを稼働させれば火星の酸素供給は充分になされることを知っていながら、自分の権力保持のために酸素供給権を独占しているのだった。火星にはダグの元恋人がいて、記憶を失ったダグとともに共闘する。反乱軍のトップはミュータントだった。彼はダグに巨大炉の秘密を教え、それを稼働させれば火星は酸素で満たされると教え、銃撃戦で死ぬ▼火星のドームが硝子板一枚でできているとか、ミュータントたちの町が西部劇の酒場そっくりだとか、おかしなところはいっぱいあるのだが、シュワちゃんの異様な上腕筋の盛り上がりとか、長身のシャロンのシャイプアップした姿態の美しさとかでうまくごまかされてしまう(笑)。あとひとり、地味ながらこの人がいます。デヴィッド・クローネンバーグの「スキャナーズ」や、今やカルト的作品となったジャン=クロード・ロードの「面会時間」のサイコ殺人鬼を演じたマイケル・アイアンサイドが、コーヘイゲンの忠臣に扮します。この場合の彼の従順は狂気の裏返しです。

Pocket
LINEで送る