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特集「美魔女」

2015年9月18日

特集「美魔女」シャロン・ストーン4ジゴロ・イン・ニューヨーク(2014年 恋愛映画)

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監督 ジョン・タトゥロ
出演 ジョン・タトゥロ/ウッディ・アレン/シャロン・ストーン/ヴァネッサ・パラディ

シャロンの貫禄

この都市でなければこの映画はなりたたなかったという近親関係があります。「甘い生活」とローマ、「ダーティ・ハリー」とサンフランシスコ、「死刑台のエレベーター」のパリ、「望郷」とカスバ、「昨日・今日・明日」とナポリ、ずばり「カサブランカ」に「モロッコ」。映画と都市の近親関係と書いたが、役者と街のそれもある。シドニー・ルメットとニューヨーク、ポール・マザースキーとブルックリン、カトリーヌ・ドヌーブとパリ、マリリン・モンローはニューヨークが好きだった。ニューヨークの地下鉄の風がモンローを不滅にしたといってもいい(「七年目の浮気」)。アンソニー・パーキンスもニューヨークを離れなかった。そしてこの人。本作に登場するウッディ・アレン。本作がタイトルに「ニューヨーク」を冠したのはアレンが出るからサマになったのである▼言いにくいのだが、主人公のフィオラヴァンテに扮するジョン・タトゥロが、シャロン・ストーンやヴァネッサ・パラディやローン・シャバノルがフラフラ我を忘れる男だろうか。顔や姿形を言うのはむろん、ない。でも彼をみていると思わずホテルに火を放つ「バートン・フィンク」とか、「トランスフォーマー」のシモンズ捜査官とかが彷彿とする。そんな彼が男娼という、いわば世界最古の地道きわまる職業に転身するなんて…それをまことしやかに「ジゴロ」に仕立ててしまうのが、ムスッとした鼻の下の長い助平顔で現れ、チョコチョコと早口でセコイ銭金の話をし、しゃあしゃあと本人をこの道にひきずりこむポン引き役のウッディ・アレンなのだ。彼マレーはニューヨークの片隅に本屋をかまえるが、ネット隆盛の昨今、本はさっぱり売れずとうとう店をたたむことにする。そんなとき彼の知り合いの女医パーカー(シャロン・ストーン)から話が持ち込まれる。「若くてリードの上手な男性を紹介してほしい」。マレーはさっそく旧知のフィオラヴァンテに「君のことを思いついたのだ」▼フィオラヴァンテは本業が花屋である。ジゴロなど自分のガラではないと断るが、マレーはピラニアのごとく食いついて離れない。「どうしてだ、イケメンじゃない? ミック・ジャガーがイケメンか。大口あけて歌っているときなど、ホラーだよ」。くたびれた中年のおじさんが、セレブ熟女のジゴロになるなんて、男の幻想もいいところであろうが、マレーのポン引き術と同じ、強引な口説きで、映画は本筋に入る。フィオラヴァンテがいよいよパーカーのマンションを訪問する初めての日。メゾネットタイプの豪邸で、壁にはセンスのいい絵画に部屋はシックなライティング。階段を降りてくるシャロンの脚、広いリビングで余裕の笑みをうかべパーカーは招じ入れる。ベランダで夜のニューヨークを俯瞰するシャロンの背中が映ります。大きく開いたドレスの後ろ姿。腕が動くたび筋肉がコリコリ、クルッと前をむいたときの初見のシャープなこと。シャロンは56歳でした。ハリウッド雀がなにをいおうと粉微塵にする美しさです。パーカーは自分が皮膚科医であること、夫のいる人妻であること、そして「買春は初めてなの」と打ち明ける▼どっちも緊張が溶けない。パーカーは男に「ジゴロは副業なの」とか「好みの曲は?」とか話しかける。女が緊張をほぐそうとして話しかけている心遣いが男にもわかる。「服を脱ぐ?」とパーカーが聞くと「いや、あとでいいよ」という。「まるで高校生ね」と女が笑う。男は黙ってレコードをかけ、女の手をとる。「ダンスは上手じゃないの」とためらうが、男のしぐさにやさしさを感じ「わたし、高校時代はヴァージンよ」と聞かれもしないことを言い、ひとつもしゃべらない男と踊りながら、パーカーの頬に涙が流れる。このシーンのシャロンがとびきり、うまいですね。貫禄の、大女優としてのキャリアをみせつけます。ニューヨークでサクセスしすべてに満ち足りていながら、夫ではない男に心の隙間を満たされる。そのさびしさが男と初めて会ったときからの片言のようなセリフ、それこそ「高校生」のようなためらいににじむ。夫の名はクロードだ。パーカーがことのあとベッドを叩き「死んじまえ、クロード。クソやろう。ふざけんな、クロード」と大声でののしるシーンは、笑うべきか傷むべきか▼パーカーにすっかり気に入られたフィオラヴァンテはつぎつぎと顧客を紹介され、マレーは多忙。「きみ、歩合の取り分を決めよう。君が6割、ぼくが4割」と抜け目なく話を詰め、いよいよ「男娼とポン引き」稼業に本腰を入れる。フィオラヴァンテはパーカーとその女ともだちと3Pに呼ばれる。プレーが始まったが男の調子がでない。「緊張ね。無理ないわ」という女ともだち。パーカーはピンときて「恋よ」。その通り、フィオラヴァンテは清楚なユダヤ人家庭の未亡人(ヴァネッサ・パラディ)に恋したのだ…残念なことにこの恋は実りません。ジゴロはどうする。フィオラヴァンテはニューヨークを去るつもりでマレーに別れを告げる。ダイナーのカウンターに座っていた女ローン(ローン・シャバノル)と言葉を交わす。女衒のごとくフィオラヴァンテを紹介したマレーは彼女に連絡先を教える。彼女が立ち去ったあと、マレーに今後の予定をきかれたフィオラヴァンテは微笑む。このほほ笑みが、獲物をみつけたドラキュラみたいで気色わるい~。

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