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特集「美魔女」

2015年9月21日

特集「美魔女」 ラクエル・ウェルチ2女ガンマン 皆殺しのメロディ(1971年 西部劇映画)

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監督 バート・ケネディ
出演 ラクエル・ウェルチ/ロバート・カルプ/アーネスト・ボーグナイン/クリストファー・リー

「キル・ビル」のモデル

ラクエル・ウェルチの代表作であるのに「女ガンマン皆殺しのメロディ」などという、おぞましいタイトルのために損をしている。原題は「ハニー・コーディナー」というヒロインの名前。ハニーがもちろんウェルチです。みるからに悪人ヅラの3人の銀行強盗が、メキシコの田舎の銀行を襲う。3人は逃走中、砂漠の中の牧場に立ちより、牧場主を射殺する。家の中に踏み込むとそこにいたのがハニーだ。群鶏の一鶴というか、ゴロツキのなかに迷い込んだ天使のような、カット割が間違ったような存在である。強盗のひとりがアーネスト・ボーグナイン。ハニーを輪姦しベルトを締め直しながら小屋から出てきた男たちは火を放ち、馬を駆って去る。炎を背に、よろめき出てきたウェルチは全裸で、死んだ夫のポンチョだけまとう▼ハニーはトマス(ロバート・カルプ)という賞金稼ぎに出会い、銃の撃ち方を教えてほしいと頼む。彼は撃ち殺したおたずねものを馬に乗せ、町の保安官のところへ運ぶ途中だ。道すがら夫は殺された、というハニーの思いつめた様子に、事情を察したトマスは「ズボンをはけ、動物じゃないのだ」と死体から脱がしたズボンをはかせる。町へ着く。賞金を受け取ったトマスは、新しいズボンと長靴を買えと、ハニーに現金をわたし自分は酒場に行く。洋品店(のような店)の主人は「ちょっと大きいが、はいたまま水につかって乾くとちょうどよくなる」と妙なアドバイスをする。水を張ったバスタブからたちあがるウェルチの、上半身裸の後ろ姿が映り、Gパンをはいた下半身が現れるシーンは、エロチックというより水遊びした子供みたいであどけない。彼女はすごいグラマーかもしれないが、男の視線の、恣意的な誇張があることに辟易する。トマスはハニーを伝説の銃職人(クリストファー・リー)のもとに連れて行く▼リーの演じる寡黙かつ一流の職人が渋い。彼はハニーのために「死は醜いものだから道具までぶざまではいかん。美しく、女が使いやすい軽いものがいい」と特注の銃にとりかかる。鉄を溶かし型に入れる工程に始まり、唯一無二の美しい銃のできあがる工程が精緻だ。トマスの訓練がこれまたリアルだ。棒に紐で垂らした石を、両手をまっすぐ伸ばしたまま巻き上げる。石をだんだん重くして手首の力を鍛える。射撃練習に入ると、トマスは体を斜めにして撃てと教える。なぜなら「相手もこっちを狙っている。片足を一歩前に出し、体を斜めにしろ」相手にみせる面積は少しでも小さいほうがいいというわけだ。「ホルスターから銃を抜け。まずはゆっくりだ。速くより確実に。まっすぐ両目を開けろ。距離の見極めは大事だ。夕方は影が長いから遠くに見える。真昼はその逆で近くに見える。近すぎると気が散る。少し離れ細部にとらわれず全体を見ろ。狙うのは胸の真ん中。撃ったらすぐ移動しろ。見ていると殺される」▼ハニーは腕をあげ百発百中となる。海辺で子供たちの面倒をみるハニーを遠くからトマスがみている。トマスの胸中を察したように、クリストファー・リーが「いい女だな」とつぶやく。そこへ。十数人の群盗の騎馬の一団が岸辺を、水しぶきをあげながら近づいてくる。「面倒だな」とトマス。銃撃戦となりハニーは初めての実戦に加わる。弾丸は命中したが致死ではない。「とどめを撃て。射殺しろ」とトマスは叫び、ためらうハニーに代わって撃ち殺す。この3人対集団の銃撃シーンはとてもスピーディでスリリングです。凡庸な出来ではないと思います。カメラもきれいだ。ロバート・カルプもクリストファー・リーも長身の細面、カルプなんか金縁のメガネをかけ、ふたりとも大学の教授とか、学者みたいな風貌です。何度も引き合いにだして悪いけど、暑苦しく脂ぎったボーグナイン3人組とは、桁はずれにカッコよくスマートなのだ▼練習が念入りだったため、肝心のハニーの復讐に充分時間をとれなかったうらみがあります(笑)。残念なことにトマスはボーグナインのナイフの傷がもとで息を引き取ります。最後に「君は死ぬなよ」というのが、いかにもガンマンらしい別れ。ウェルチはひとり、復讐に立ち上がる。彼女が指定した場所は、メキシコの風さわぐ元刑務所の廃墟。まず一人を葬り、残るふたりが彼の遺体を埋葬しているとき、同じ墓地で穴をほっている墓掘り人がいる。ボーグナインが「なにをしている」ときくと「穴をふたつ掘っているンで」「どうしてふたつだ」「あとふたりぶん要るからと、女に頼まれた」(笑)。これマカロニ・ウェスタン女子版みたいだけど、イギリスの映画であり「キル・ビル」のモデルであり、日本非公開だった作品だったけど、いまやカルトとなっています。

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