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特集「美魔女」

2015年9月25日

特集「美魔女」 エヴァ・グリーン2ドリーマーズ(2004年 青春映画)

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監督 ベルナルド・ベルトリッチ
出演 エヴァ・グリーン/マイケル・ビット/ルイ・ガレル

まだ脱ぐか、エヴァ

「美魔女」シリーズを続けてきて、今さらこんなこと書くのもどうかと思うのだけど、「美魔女」というのはなろうと思ってなれるものではないのですね。日本の国民的女優である吉永小百合さんや、永遠の妖精オードリー・ヘップバーンを「美魔女」…と設定したとたん、ジョークにしかならないように思える。もっともメリル・ストリープなんかは、もうなにに化けてくれても驚きません、という妖怪じみた存在ですが。逆にこの女優こそ「美魔女」にふさわしい、というひとりがエヴァ・グリーン。本作で映画デビュー、23歳でした。スクリーン以外の場所、たとえば記者のインタビューの受け答えなんかを見ると、はにかんで、どこか内気なお嬢さんという風情です。ところがカメラの前に立ったとたん、立派な魔女に変身している。容貌ではシャーロット・ランプリングにちょっと似たシャープなタレ目です。チマチマと策を弄するケチな悪女とか、小悪魔のスケールではないのだ、たとえば「300〈スリーハンドレッド〉帝国の進撃」のアルテミシア。残忍非情の女戦士にして妖艶。エヴァはこのキャラがよほど気に入ったのか、「シン・シティ 復讐の女神」でも、男を破滅させる魔性の女を演じ、それは「ふだんの自分とは全然ちがう」のだとコメントしていたけど、ホンマか(笑)▼この映画はベルトリッチには珍しく、味付けがほんのり甘い。フランスの中流家庭の双子の姉弟が、勉強もせず働きもせず、金がなくなったら親に小切手を切ってもらい、ワインを飲み、デリバリーで食べ、部屋は豚小屋のごとく散らかりゴミの山、そこへ知り合ったアメリカ人の大学生がまぎれこんで、ヒロインはロストヴァージン、弟はデモ隊に参加して行進し、「そんなことして何になる、もっとほかの方法があるはずだ」と叫ぶアメリカ人青年と別れる。時代は1968年2月、フィルム・アーカイブ(古い映画の保存活動)である、シネマテーク・フランセーズに出資しているフランス政府が、創設者であり管理責任者であるアンリ・ラングロワを更迭した。映画狂を自認する映画ファンや映画関係者がラングロワ復帰を求め、フランソワ・トリュフォーやクロード・シャブロルがデモに参加、同年4月にラングロワは復帰した。中心人物のひとり、フランソワ・トリュフォーは同年のカンヌ国際映画祭の、コンテストの必要性の有無をめぐって過激な論陣を張り、映画祭を粉砕した。5月21日、パリで労働者と学生によるゼネストが起き、いわゆる「五月革命」に発展する▼この映画の主人公たちは、イベント参加のノリでデモだ、行進だと集結しているが、ベルトリッチは、親が旅行中のアパートに閉じこもって、酒を飲み、昼も夜もわからずセックスし、好きな映画、たとえばマレーネ・ディートリッヒの「ブロンド・ヴィーナス」とかグレタ・ガルボの「クリスティナ女王」とかの、題名を当てるゲームなんかに興じる彼らを、なぜか温かくみているのである。留守中リビングにテントを張って、なかで眠りこける全裸の娘と息子とその友達を、帰宅して目にした両親は「起こさないでおきましょう」と小声でいい、父親は黙って小切手をテーブルにおいて去るのだ。どこまでアホらしい映画なのだ。姉がイザベル(エヴァ・グリーン)、弟がテオ(ルイ・ガレル)、アメリカ人の大学生がマシュー(マイケル・ビット)。姉と弟はいつも裸でひとつベッドに寝る。イザベルはテオ以外の男とセックスすることは考えられないが、さすがにそれにはためらいがあり、弟の代わりにマシューを選ぶ。マシューというのがまた行儀の悪い男で、トイレではなく洗面台に放尿するのだ。アホらしいだけでなく汚らしい映画だわ。マシューはイザベルの写真を股間にしまいこみ、それをひっぱりだしたイザベルは「大事なところにしまっておいてくれるなんて感激だわ」アホらしく汚らしいうえに変態か。ハチミツの瓶に指をつっこみ、べとべととお互いの体に塗りたくり、指を洗いもせずそのへんを触りまくるに至っては、気色悪くてゲロ吐きそう▼イザベルはマシューに「テオとの関係をご両親が知ったらどうする」と聞かれ「自殺するわ」と答えている。テーブルに置かれた小切手を見て、両親に自分たちのスッポンポンの現場を見られた、仕方ない自殺しようとガス管を引き出し開栓する。シュウシュウとガスが充満しかけたところへ、ガッシャーンと大きな音がして石が投げ込まれ、3人は飛び起きる。窓の下には学生たちのデモ。3人は我も、我も、と通りに飛び出し自殺はどこかにふっとんでしまった。エンディングに流れる曲がピアフの「水に流して」とくると、ああそう、この映画の着地点はここだったのね。したいことして「水に流して」とは、こんなヒマな映画につきあっておれん。とにもかくにも後半ほとんど脱いでばかりのエヴァちゃん、おい、おい、まだ脱ぐのかよって感じでした。

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