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特集「美魔女」

2015年9月27日

特集「美魔女」 エヴァ・グリーン4愛を複製する女(2010年 社会派映画)

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監督 ベネデク・フリーガウフ
出演 エヴァ・グリーン/マット・スミス

エヴァの快進撃始まる

時代と舞台は、いつとは明らかにされていないけど、クローン人間が一般的になった近未来のドイツ北辺の海辺、でしょうね。9歳のレベッカは祖父の家に預けられ、近所の少年トミーと仲よくなる。レベッカは母親の仕事で東京に、大学では数学を専攻し卒業、21歳で海辺の町にもどる、仕事はソフトの設計。これがエヴァ・グリーンだ。トミー(マット・スミス)も同い年。再会したふたりは恋に落ちる。トミーは環境保護運動家となっており、「建設予定の健康センターがじつはネット売春や整形手術の施設、メンバーとともに潜入してパニックを起こす」とか「ゴキブリをリュックに詰めレストランに放す」とかを計画する「ゴキブリ飼育の男だよ」。レベッカはそんな彼に「まさに理想の男性よ」という具合に相思相愛だったが、トミーは事故で死ぬ。レベッカはトミーの両親を説得し遺伝子複製組織採取同意書にサインをもらい、妊娠し、トミーのクローンを産む。名前も同じだ▼ふたりきりの母子の関係は密接だ。いつもいっしょに行動し、お風呂もいっしょ。このあたりから息苦しくなる。町ではクローンを「コピー人間」といって差別した。母子は人を避け、海辺の一軒家で孤立して暮らす。トミーが成長し、ある日恋人を連れてきて同居したいと言った。レベッカは「素敵な彼女ね」と歓迎するが心中おだやかではない。不意にレベッカの義理の母、つまり恋人時代のトミーの母親が訪ねてきた。現在のトミーにとって、普通でいえば祖母だが、今のトミーはクローンだから祖母にして母ということになる。レベッカの驚きに不審を感じたトミーは自分がクローンであることを聞き出す。すっかりトミーは動揺し母親にもガールフレンドにも辛くあたり、彼女は出て行く。残ったのは恋人兼息子のトミーと母親兼恋人のレベッカである。トミーはレベッカにぐちゃぐちゃと嫌味を言い、おれは何者だとか、おれは誰なのだとかわめいていたが、どさくさにまぎれレベッカをセックスに至る。レベッカはトミーを受け入れ、トミーは生まれ育った海辺の家を出て行く。でていくとき、「ありがとう、レベッカ」と言い残す▼クローンって許されるべきじゃないと思うけど、映画は同意書があれば「やってもよろしい」という設定ね。作られた本人にしたらショックかもしれないけど、映画でみる限り彼らの近辺にクローン人間はいるのだから、そう異様な社会環境でもないわけでしょ。なにを今さらじたばたするのよ。「おれはあなたの恋人だった男のクローンで、でもあなたは自分の子宮=原題=で育てて産んでくれたから母親でもあるよね。急にわかったことでおれもちょっと混乱しているから、アタマと心の整理に少し時間をかけたいのだけど」ですむ話でしょうが。騒々しい男だわ。出て行くときに「お母さん」ではなく「レベッカ」とよびかけたところをみると、彼の実感としては男と女の関係における「レベッカ」のほうがいいわけね。わかった、わかった。これ以上ラチのあかないことをほじくっても仕方ない。本件はここまで▼マット・スミスが個性的というか、不気味な顔になれる俳優でしてね。絶対「ジュラシック・パーク」なんかに出るべきじゃないと思うわ。おまけにエヴァがあの通り尋常ならざる雰囲が大好きな女優でしょう。この映画には監督の方針なのか、湿っぽいじゃらじゃらした音楽がいっさい使われていないのね。ミヒャエル・ハネケみたいにBGMなし。波が砕ける音とか風のざわめきとか、それに荒れた北の海辺の孤立した一軒家という、それだけでドラマチックな構成です。エヴァのセリフは極端に少なく、おしゃべりはもっぱら息子兼恋人がひきうけ、エヴァは涙を流すとか、凝視するとか、大きく目を見開くとか、ほとんど沈黙しています。どうかすると緑にも見える灰色の目。14、15歳の時から黒く染めているから黒髪だと思われているけど、彼女本来ブロンドなのよ。人と違うことをしたかったといって黒くしてから気にいっているみたいだけど。「007カジノ・ロワイヤル」のときはもう黒髪だったものね。本作のときエヴァは30歳でした。これ以後「ダーク・シャドウ」「300〈スリーハンドレッド〉帝国の進撃」「シン・シティ復讐の女神」と、エヴァの狂気の沙汰は快進撃。現れただけで胸騒ぎをかきたてる、数少ない女優になりました。

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