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特集「美魔女」

2015年9月28日

特集「美魔女」 エヴァ・グリーン5サブリミナル(2008年 ファンタジー映画)

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監督 ジェラルド・マクモロー
出演 エヴァ・グリーン/サム・ライリー

人生はつらすぎる

潜在意識、もっとはっきり言うなら妄想や空想に依存することにより、現実とのバランスを保っている、そういう人たちがいます。彼らは繊細で想像力が豊かであるばかりに、傷つきやすくてもろい部分があり、どこか自分が避難できる場所を求め、意識するにせよ、しないにせよ、その「場所」を作り上げることがある。この映画でいえば「ミーンワイル・シティ」(もうひとつ別の街)であったり、自己確認のために繰り返す自殺未遂であったり、初恋の幼い女友達だったりします。また、精神病院に収容されていた息子をケンブリッジから迎えにきた父親は、息子が施設のスタッフに暴行して脱走したことを知り、見知らぬロンドンの町を探しまわる。登場人物はみな、深い悩みと不安をかかえています▼映画は最初からこの世にあるはずのない非現実の街、ミーンワイル・シティから始まります。白い覆面男は、少女(妹)を殺した犯人の所在を情報屋から聞き出そうとする。彼はジョン(ライアン・フィリップ)。彼を探す父親がピーター。場面は現実のロンドンに変わり、あるところでは婚約破棄された青年マイロ(サム・ライリー)が嘆いている。あるところでは、自殺するところをビデオに納め、救急車に通報する自殺願望の女子大生エミリア(エヴァ・グリーン)がいます。四者四様の状況が無関係に語られていき、それが「フランクリン」(これが原題)という場所で結合する。よく練られたシナリオと映像(ハリウッドも顔負けのCG技術)です。ともすれば、個々人のおしつけがましい屁理屈になってしまう、心の暗部という「島」を丁寧に表出していきます。地味な内容ですがひとつも退屈させませんでした。さて、エヴァちゃんですが、生まれながらの問題児を演じます。彼女は難しい性格の役をやらせるとうまい。そういう女によほど共鳴するのでしょう。健康ハツラツ、幸福そのものというヒロインは食指が動かないのか、あまり演じていなかったと思います。容貌そのものが「わけありの美人」で、これほど「美魔女」にふさわしい人はいません(笑)▼エミリアは母親が離婚してから、父親に棄てられたという意識が抜けず、母親につらく当たり、母親は自分を愛していないと信じている。母親も扱いにくいエミリアと接点を見つけられない。エミリアは自分の下宿でひっそりとまるで世捨て人のように息を潜め、月に一回自殺未遂を試み、そのプロセスをビデオに撮って大学の課題に提出する。教授はもちろん「なにをする、ばか、やめろ」ですが、エミリアは馬耳東風である。まだ人生の荒波を知らず、せいぜい威張るのは母親だけという、偏屈で強情で、そのくせ愛を手探りするのに疲れてきた若い女を好演しています。マロイはある日子供のとき別れた初恋の幼なじみ、サリー(エヴァ二役)に再会します。彼女は小学校の先生になり、やさしく子供たちの面倒をみている。マイロは母親に「サリーに会った」と言います。母親は美しく成長したサリーが息子の妄想であることを知っている。「6歳のときサリーが現れあなたを幸せにした。あなたが必要なときに彼女は現れるの」と。マイロは母親のいうことを信じず、サリーと約束したレストランに行きます。サリーはそこでマイロに「多くの人に見えない姿で救いの手は送られてくる。彼女が何者であってもその声を聞いて。人生は、空想することなしには困難すぎる。それをあなたに伝えたくて。あなたはロマンティックな人よ。あなたに似合う相手が必ず現れるわ」そう言って消える。レストランの人たちは、青年が身振り手振りで、さかんに自問自答を繰り返している光景を不思議そうにみています▼ピーターは息子がイランの戦場でいっしょだった男をたずね、息子ジョンが潜んでいるという住所を教えてもらう。ジョンは妹を殺したと思い込んでいる犯人を狙撃するため、ある部屋に押し入る。そこの住人がエミリアだった。その部屋の向かいにあるレストランにマイロがいた。こうして関係者全員が「フランクリン」に集合します。結末は、ジョンは部屋でガスを爆発させ自殺、爆破の直前脱出したエミリアはアパートの外でマイロと出会う。どっちもどこかで会ったことのある気がする。父親は息子の最期を見届けた。粗筋らしい粗筋はありません。ただ「人生は空想なしには困難すぎるわ」というサリーの言葉がやさしく響きました。

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