女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「美魔女」

2015年9月30日

特集「美魔女」 キム・ベイシンガー2ノー・マーシー/非情の愛(1986年 サスペンス映画)

Pocket
LINEで送る

監督 リチャード・ピアス
出演 リチャード・ギア/キム・ベイシンガー

花のオーバー60

「美魔女五人女/花のオーバー60」と勝手に名づけた女優がつぎのみなさんです。カッコ内が年齢(2015現在)。メリル・ストリープ(65)、ヘレン・ミレン(69)、イザベル・ユペール(62)、グレン・クローズ(68)、そしてキム・ベイシンガー(61)。年を取るごとに映画をより花やかに、より充実させる魔女的存在。今回取り上げたのはキムです。この人のどこが好きなのか。なにを演じても「演技してまっせ」というキャパキャパしたところがひとつもないのね。一目みてハッとさせる初見のパンチ。衆目が一致する代表作はアカデミー助演女優賞の「L.Aコンフィデンシャル」でしょうが、あれはキムが既に44歳のときでした。この人30歳の「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」でやっと認められたスロー・スターターです▼いろんな幅広い役をやっています。ロバート・アルトマン監督の「プレタ・ポルテ」では大スターたちを追いかけつぎつぎ紹介していくレポーター役。アルトマンってどんな映画でも頭か尻尾かわからなくする名人みたいな監督じゃない。ところがキムはアルトマンにのせられず、おとぼけのいい味で対抗していたのよ。「あの日欲望の大地で」もよかったわ。娘役のシャーリーズ・セロンがどうしても理解できない母親の深く濃い欲望を、哀しいまでに演じていた。最近では「リベンジ・マッチ」でシルベスタ・スタローンの別れた女房。「サード・パーソン」では再起にかける作家リーアム・ニーソンの妻。シルとかニーソンという大型俳優をしっかり受け止める安定感があります。ならば本作はどうか。相手役はリチャード・ギア。相性がいいらしく「愛という名の疑惑」で二度目の共演をしました。同作ではユマ・サーマンとキムが姉妹でたくらんだ騙しのテクニックが決まりすぎて、ギアは影が薄い。それに比べ、本作のギアはワイルドで油臭さがギラギラしていて、ラストにほんのりした甘さはあるものの、寡黙なキムの冥さが、ハーレクインになってしまう危険から映画を救っている。キムとギアは手錠をはめたままの逃避行なのだけど、え~い、こんちくしょう、とばかりギアが銃で一発、あっけなく鎖をぶち切ってしまう。あんな簡単に壊れる手錠ならもっと早くはずれていただろ▼粗筋はまず冬のシカゴから始まる。これは大事なことだ。シカゴという中西部最大の町の一画。うら寂しく荒廃した犯罪の臭いがたちこめる町。けばけばしく重苦しいネオン街。貧しい男たちが群れる安酒場。日が昇ると快楽の影絵はうそのように消え、失活した薄汚れた町が顔をだす。エディ(リチャード・ギア)は、そんなシカゴに生きる刑事だ。相棒のジョーとガソリン・スタンドの洗車係に変装し、下っ端ギャングを逮捕したものの証拠の麻薬はあがらなかった。数日後エディは町のレストランで肩にインコのタトゥのある組織の女、ミシェル(キム・ベイシンガー)を見る。エディは彼女から情報を聞き出そうとするが口が固い。彼女は組織のボス、ロサドの情婦だった。このシーンのキムはあざやかなオレンジ色のドレスを着て、右肩にチラッとタトゥが見える。ゆっくりと店の中に入っていく後ろ姿がミステリアスです。この女には(物語がある)と思わせるのです▼相棒のジョーがロサドの部下に惨殺される。怒りに燃えるエディは復讐の鬼となって、麻薬組織の本拠地ニューオリンズに飛ぶ。ニューオリンズはジャズ発祥の地だ。うめくようなサックスが響く町で、エディとミシェルは再会する。ジョー殺しの生き証人としてエディはミシェルに手錠をはめ、連行しようとするが組織が行く手を阻む。逃避行の途上でエディとミシェルはお互いの身の上を話し、心の距離を縮めていく。ワルはワルなのですがロサドというボスがじつに存在感があるのです。エディはミシェルがロサドの情婦だから男から男を渡り歩いたアバズレだと思っている。でもミシェルは母親が貧困のため13歳のミシェルをロサドに売った、それからずっと男はロサドしか知らない、ロサドもまた刑事であるエディを殺すというより、ミシェルを取り返すために追跡する、ミシェルはロサドが絶対に自分をあきらめないことを知っている、だからミシェルを逃したエディのもとに戻るのです、自分がいるところへロサドは追ってくるから、ロサドを逮捕しようとするエディのために、いうなればロサドをおびきよせる餌になるわけです。銃撃戦はまあギアにすれば頑張ったって感じ。ギアもキムもアクションやらせて絵になる役者ではないから、ボロのでないうちに終わってよかったです。

Pocket
LINEで送る