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特集「ディーバ(大女優)」

2015年10月3日

特集「ディーバ14」ティルダ・スウィントン
ザ・ビーチ(2000年 ファンタジー映画)

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監督 ダニー・ボイル

出演 レオナルド・ディカプリオ/ティルダ・スウィントン

孤立をえらぶ女 

楽園のビーチがある島の地図をたまたま手に入れた、地図を持っていた青年は自殺したけど、主人公のリチャード(レオナルド・ディカプリオ)は、カップルふたりをさそい、泳いでたどりついた、島には広大な大麻畑があった。経済的資源としてもすごい。銃を持つ農民が見まわっていて怖そうだったので3人は一目散に逃げ、崖の上にたどりついた。隠れようがない。いっしょにいたフランス人の女の子が「跳ぶのよ!」と叫んでいちばんさきに身を躍らせ、男ふたりが続いてとびこんだ。ものかげから黒人の青年が現れ「きみたち勇気がある、サルに紹介しよう」と先導して、島の奥にあるコミュニティに連れていった。若い旅人たち20人くらいが住み着いた場所で、リーダーがサル(ティルダ・スウィントン)だ▼自分探しと青い鳥をいっしょにしたようなお話でしてね。リチャードは退屈しているし、これといった仕事もしていないし、もちろん学業に打ち込むふうもない、恋人もいない、タイまでやってきて異国の文化にふれたところで、しょせん「感動不感症」である。だからダメモトで楽園のビーチに行ってみようと思い立ったのね。人間ヒマをもてあますとろくなことを考えないっていう、見本みたいな映画よ。島は自給自足。セックスはもちろん好きな相手と(いれば、の話だけど)。サルの恋人バックスは大工らしい。農民とは「これ以上島に人を連れてこない」という約束で、おたがい不干渉主義がなりたっている。だから「この島のことはだれにも言っていない?」とサルが念をおしたとき、リチャードは「もちろん」と答えるがウソ。彼はこっそり友達でもない、ただ知り合ったばかりのグループに教えていた。島の生活とは、ビーチバレーをしたり魚を捕ったり、畑の作物を耕したり(これが一応仕事らしい)、何ヶ月かに一回は本土にわたって大麻を金に換え、必需品を購入してくる。サルが行くことになり、リチャードを連れていくことになった。リチャードはいっしょにきたフランス人の女の子とできているが、サルに気に入られて一夜をともにする。サルは「バックスはパートナー。あなたはセックスの相手」という以上の関係を求めようとしない▼しかしである、いくらそれらしい仕事があり、一応の規律もあって、全員が納得したうえでビーチにいるとしても、刺激のない「楽園」なんて、抵抗と摩擦のないところには、現状を打開する発想も力も生じないし、自分を磨くものなんかないのである。彼らはサメに襲われて足に壊疽を起こした仲間が、苦しんで呻く声がうるさいといって隔離し、置き去りにする。手に負えない問題は切り捨てるのが「ビーチの思想」なのね。美しい静けさと冷酷が支配する島に耐えかね、リチャードは農民の住まいに侵入して体をさわってみたり、銃を手にしてみたり、とうとう幻を見るようになる。そこへリチャードが地図をわたした連中が泳いで島にやってきたものだから、農民は怒りかれらを撃ち殺し、サルのところへ踏み込み、これ以上人をふやさないという約束を破った、お前らいますぐ島を出て故郷へ帰れという。もっともである。足下の明るいうちにさっさと帰るべきだ▼サルだけは島に残るという。全員我先に逃げてしまったのに。彼女にとって島は理想の具現化だったし、同じ志をもつ何人かの仲間と彼女はコミュニティを創出したのね。理想なんて実現するものでもないし、深入りするものでもないわ。不完全で発展途上にあることが人と生活の本質なのよ。サルはたぶんそれを知っていたと思うけど。島を秘密にしなければ保てないと再三言っていますからね。ティルダは40歳でした。これがハリウッドデビューです。サルという女は自分の幻と心中するくらい、ある面ではロマンティック、ある面では人嫌い、ある面ではエゴイストで俗世間に迎合しない行き方を求める。いうなれば海流に流されず忽然と立つ「島」みたいな、いうなればポール・ヴァレリーの「テスト氏」みたいな、孤立を選ぶ女をティルダは演じています。似合っていたわよ。

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