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特集「ディーバ(大女優)」

2015年10月15日

特集「ディーバ14」ティルダ・スウィントン
コンスタンティン(2005年 ファンタジー映画)

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監督 フランシス・ローレンス

出演 キアヌ・リーブス/ティルダ・スウィントン/レイチェル・ワイズ

最高のティルダ

ティルダ・スウィントン特集のトリは本作「コンスタンティン」。大好きな映画です。主人公はタイトル・ロールのジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)よ。黒のジャケットと白のワイシャツ、結び目のゆがんだ黒いネクタイがバチッと決まってカッコよかったわ。おめでとう、キアヌ「脱マトリックス」できて。そこで本題にはいるけど、この映画の本命はどうみてもガブリエル(ティルダ・スウィントン)なのよね。エクソシスト(悪魔退治)の専門家であるジョンは、最近世間の様子がどうもおかしいと感じている。友達は殺され、世間には悪魔が跋扈し、かれらはしかも、事故や自殺にみせかけて人間を殺し、建物を破壊し、惨事と殺戮をくりかえし、だんだん所業が悪辣になっていく。この世は3つの世界にわかれている。天国・地獄・人間界だ。そこに住むのは天使・悪魔・人間。ただし天使と人間、悪魔と人間の中間的(中性的というか)存在のハーフブリードが人間と同じ姿で人間界に住んでいる。ガブリエルはこのハーフブリードであり、扮する女優がティルダときているのです▼ティルダの登場は水際立っています。広い、クラシックかつ荘重な教会の、暖かく燃える暖炉のそばで、神父がだれかと話している。みかけたところ、背の高い男性のようだ。人間社会にまじっているハーフブリードを、見分ける力を備えたジョンには、背中の大きな翼が見える。彼はこわい顔をしてズカズカと近づく。静かにふりむいたティルダは、彼女のトレードマークでもある金髪のショートヘア。アルマーニのダークなパンツスーツにブルーのシャツ、太い縞柄のネクタイを締め、一部の隙もない物静かな微笑をうかべながら「ジョン。まだ天国へいくつもり?」ときく。ジョンは一度自殺をはかっており、キリスト教では天国へはいけない運命なのだ。ジョンは「お前こそ、ここでうろうろせず地獄へ行け」とののしる。ティルダ、いやガブリエルは微笑を絶やさず「あなたがその若さで死ぬと決っているのは、15歳のときから1日30本吸い続けたタバコのせいです」自業自得だから仕方ない。ガブリエルに救済を拒否され、腹をたてたジョンは挨拶もせず教会をあとにします▼ガブリエルはここからラストまで出番はありません。にもかかわらず、本作の中核で描かれる地上の惨事と大騒動の、すべての仕掛け人がガブリエルなのです。双子の妹が殺されたアンジェラ(レイチェル・ワイズ)とか、ジョンの助手でエクソシストになりたい熱血少年チャズ(シャイア・ラブーフ)とか、エピソードはいくつかありますが、キアヌの呪文によって正体を暴かれたガブリエルは、今や臆することなく背中につけた大きな翼のまま舞い降り、キアヌを、いやジョンを踏んづけ、グリグリと素足を顔におしつけながら、しゃあしゃあと自説を開陳する、ここがキモです。「裏切り、殺害、それがわたしのせいですって? わたしは人間の思い通りさせているだけです。人間はこのうえなく恵まれています。殺人者も暴行犯も、悔い改めさえしたら神の胸に抱かれる。神がそれほど人間を愛するなら、人間はそれに見合う存在でなければなりません。わたしはずっと人間を見てきましたが、人間の気高さは恐怖に対面しないと現れない。だから彼らに恐怖を与え、悪魔の支配に耐えぬいた者だけが神に愛される資格があるとするべきです。そのため、わたしはサタンの子を人間界に解き放つのです」ジョンは叫ぶ「お前はいかれている!」そう、完全にいかれているのがガブリエルです(笑)▼ガブリエルは敬虔なクリスチャンで、自分の行為は人類のためと信じているのですね。人間を神に愛させるには悪魔の試練と支配を乗り越えねばならない、だから自分が悪魔の子(マモン)を作って人間世界に送り込み、しっかり苦しみを与えてあげようというつもり。大きなお世話ですが、ガブリエルにすれば人間に対する愛と誠実の証である。ガブリエルの「微笑む狂人」ともいえるイカレぶりが、サイコーにマッチしているティルダなのであります。ガブリエルは神をはばからぬ、出すぎたことをした罰として神から見放され、翼を焼かれ、こげた天使の白い衣服のままプールにドボン、ずぶ濡れのまま負け惜しみを言うシーンは、ティルダが自分で思いついたというから、どこまで天然イカレキャラが好きなのでしょ(笑)。本作のことをいたるところでマンガだとかおバカ映画だとか、さんざん悪口を言ってきましたが、でもどっか好きですよ。なんで好きなのか考えてみれば、やっぱりガブリエルにいきつくのです。いかれているがあくまで確固とした信念に基づく。こういう怖いイカレぶりってざらにあるものではない。だからガブは、天使と悪魔の中性なのです。どんな女優も追随しようのない、ティルダの中性的持ち味に、じつによく適っています。

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