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特集「更けゆく秋はスパニッシュミステリー」

2015年10月20日

特集「更けゆく秋はスパニッシュミステリー」
REC/レック(2008年 ホラー映画)

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監督 ジャウマ・バラゲラ/パコ・プラサ

出演 マヌエラ・ベラスコ

昼間のお化け屋敷 

この映画が大ヒットし、シリーズ化され、しかも「4」まで作られたとは、作品の出来がどうあれ、人は「怖いもの見たさ」に抗しきれないことを示しているのでしょう。一作みたら、明るい照明の下の「幽霊屋敷」といっしょで、二度と行かなくなるのと同じだと思うが、それにしてもよく「4」まで引っ張ったよね。感覚としてはけっこう、いけているところ、ありますよ。くだくだ退屈な説明なく、怪奇きわまる性別不明の人体が、血だらけのスリップらしきもの一枚で現れるなんて、ホラーというより、なつかしいお化け屋敷だわ。忘れていた、この映画には前段がありました。アパートで老女の叫び声を聞いたという通報があったのです。ちょうど、消防士を密着取材する番組のクルーが、消防署で取材の最中でした。女性レポーターがアンヘラ(マヌエラ・ベラスコ)だ。彼女は知られざる消防士の世界をレポートしようと、食事や休憩時間の過ごし方や(そんなこと、べつに知りたいとだれも思わないだろうが)丁寧に追っていく▼丁寧すぎてまあ、退屈で、退屈で。本題に入るまでにウンザリするのです。やっと物語がスタートした。と思ったら叫び声が聞こえた部屋のドアがあくまでひとくさり。住人は1階に集まってガヤガヤ言っている。ドアを破って出現した老婆が、前述の通りスリップ一枚のうえ、顔の見分けがつかないくらい血まみれで、わめきちらかすのよね。なにゆえこういうばかばかしいシーンに女を出してくるのよ。男でもよかったでしょうが。そうか、女はモノノケにとりつかれやすく、狂いやすいっていいたいのね。まあいいか、黙ってさきを見よう。女性はおさえようとした警備員にかぶりつき、ノドを破る。ドラキュラものに発展するのか…でもないのだ。アパートの上階に異常者が潜んでいるとみた消防署員と警官はじわじわ階段を上がっていく▼階下にはイヌをだいた奥さん、老夫婦、医師の研修生らが事実確認できない不安のまま、上を見上げている。そこへドッカーン、大音響とともに首をちぎられた消防署員の死体が落ちてくるのだ。キャーッ。建物の外ではサイレンがけたたましく鳴り響き、アパートは閉鎖され住人と関係者は外へ出られない。保安当局が安全確保のため封鎖したというばかりで詳しい説明はない。中にいる警官の指示に従ってくれと無線の指示がある。パニックに陥った住民たちはどうなっているのだと、運悪く現場に居合わせた警官につめよるが、彼だって知っているはずがない。だれもなにも知らない、わからない、教えられない、研修医だけが頼りで、ありあわせの手当でその場しのぎをするが、保つはずがない。出口を探して脱出するのだと、地下室やら隣接する工場との仕切りやらを探すが、もちろんだめ。そのうち閉じ込められた住人や、消防署員の数人に怪しげな症状が出始めた。けが人が突如うごめき、手近な人間にかみついた。恐怖にドン底に突き落とされた住人らは、防護服に身を固めて入ってきた男に「知っていることを話せ」と詰め寄る▼防護服によれば、きのう獣医から電話があり、未知の病気にかかったイヌが運び込まれたという。従順だった性格が凶暴になり病院の動物を襲った。得体のしれない病原菌は唾液から感染し、子供が母親にかみつく事態が生じた。そのイヌは飼い主にひきとられていったが、その飼い主とはこのアパートのイヌをだいた奥さんだったのだ。事実を知ってキャーッと新たな悲鳴が発生。狂気と病気が同時に蔓延するのだ。それに加え、アンヘラというレポーターのやかましいこと。「すべてを録画するのよ、すべてを」と助手にあれこれ指示し、血まみれの死体だろうが感染者だろうが、撮影して回る。白々しい。少なくとも命の危険があるときは、助けるためになんでもいいから役にたつことをやれ、が鉄則でしょう。消防隊は全滅し、警官も感染して射殺され、最後にのこったのはアンヘラと助手だけ。かれらは管理人の部屋から鍵を探し出し、地下の下水道から脱出しようとするが、ゾンビ化した感染者たちがさまよい、逃げられない。逃げ込んだ部屋には気色の悪い写真資料がペタペタ。取り憑かれた少女の記録…え、原因はイヌじゃなかったの? もうどっちでもよくなり、早くレポーターが脱出して映画は終わりにならんかな、と思った。アンヘラはやっと逃げ口に入り込むのですが、腰を半分いれたところでズルズル暗闇に引きこまれていく。「最後まで撮るのよ、最後まで」という言葉を残して。治療法、安全対策、防御措置、医学上の見解、発症源の特定、なにひとつケツの締まらないまま「キャー、キャー」やかましい叫び声と血糊のボディで本作は終わるのだ。こんな映画、知らない。

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