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特集「更けゆく秋はスパニッシュミステリー」

2015年10月23日

特集「更けゆく秋はスパニッシュミステリー」
記憶探偵と鍵のかかった少女(2014年 サスペンス映画)

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監督 ホルヘ・ドラド

出演 タイッサ・ファーミガ/マーク・ストロング

記憶がウソをつく 

ハリウッド・ネクスト・ブレイクの呼び声高いタイッサ・ファーミガが、純情な中年男を手玉にとり、しっかり目的を遂げてバイバイ、逮捕もされないという、16歳の悪女を演じます。姉のヴェラ・ファーミガ(「マイレージ、マイライフ」)とは21歳ちがいで、映画界入りは姉の強い薦めによるもの。双子というより、母娘というくらい姉にそっくりよ。さて、どうでもいい話はこれくらいにして、映画としてはかなりよくできていると思います。記憶探偵というのは1970年代、CIAは超能力者による諜報員を求め極秘実験に着手、人の記憶に入り、その体験を観察できるエスパーたちを発見した、記憶探偵の証言は証拠能力でDNAには劣るものの、ポリグラフ(ウソ発見機)より信憑性は上とされ、多くの未解決事件を解明してきた、と解説にある。主人公ジョン(マーク・ストロング)がその記憶探偵です▼記憶調査を専門にするマインドスケープ社のジョンに、16歳の拒食症の少女アナ(タイッサ・ファーミガ)の記憶を探る仕事の依頼がきた。妻の自殺のトラウマに悩むジョンは、妻と同じ名前(アナ)にためらいを感じるが、金にも困っており引き受けることにした。美少女アナはハンスト中。母親と継父が施設に入れたがっている、入ったら二度と出られない、継父は大富豪である妻の財産を狙い、相続に邪魔な自分を消したいが、殺すとあとがうるさいので、精神異常として病院に送りこみ、一生閉じ込めるつもりなのだとジョンに言う。家というのがマア大邸宅でありまして、家というより城館である。そこの一人娘にして知能の高いギフテッドだが、継父にいわせると彼女のアタマのよさは「呪われている」そう。母親はいわゆる「社会病質者」(ソシオパス)の娘がひき起こすトラブルに悩まされ断酒会に通う。穴は双極性障害でもあり、事件を引き起こしては転校を繰り返しているのだ▼アナの幼年時代の記憶に入ったジョンは、継父の不倫の現場をみて物置に閉じ込められた記憶、母親と争ってペーパーナイフで母親を傷つけた記憶などを見る。ジョンが言う「戻れ」の合図で、アナは記憶の世界から現状に戻る。「継父を人格障害で検査すべきよ」と徹底糾弾を隠そうともしない。アナが学校でイジメにあったこと、女生徒にマウスという少女がいたこと、などが記憶に入るたびわかってくる。アナに付き添う、ジュディスという聡明な看護師とジョンは心やすくなる。妻がウツになり家に閉じ込めたために自殺したこと、無理な監禁は逆効果になるから、アナの場合も精神病院送りは避けるべき方法だと思えるとか、そんなことなどを話した。そのジュディスがアナに2階から突き落とされ重傷を負ったというのだ。継父はアナが突き落としたと言い、アナは継父とメイドの不倫をジュディスは知っていたから狙われたのだと主張する。ジョンは自分につきまとう影があるのに気づいた。アナのファイルを取り寄せたジョンは、アナが自殺未遂、傷害事件、性的虐待、境界性人格障害と多くの問題を抱えていることを知る。ジョンが事件の関係者たちを訪ねると、その証言はアナの夢とかけへだたっていた。アナを誘惑したとして刑務所に入った教師は言う。「あの家の家族に深入りするな。おれに隙がなかったとは言わんが、あの女(アナ)はおれにつきまとい、ふたりきりになるよう細工した。失ったよ。仕事も婚約者も自由も。アナのせいで人生のすべてを。アナの親は金をバラまき、アナの悪事をもみけした。同い年の3人の殺人未遂ももみ消した。犯人だというマウスなんて存在しない。スーザン・メリックの家族も裁判すらできなかった」。スーザンを訪問したジョンは、彼女のノドに残る傷跡を見た▼ジョンは調査の結果「アナが性的早熟ゆえ自ら自制を求め、それがさまざまな障害の原因になった。彼女は他人との関係を築き、維持するのが困難なため、防御のための殻を作り、苦痛から身を守ろうとした。彼女なりに外界と交流している。むしろ監禁は逆効果です」。おかげでアナは病院にいかずにすんだ。ここまでなら、性的イタズラや虐待を受けた少女が記憶探偵に心を開いて過去を解き明かし、ハッピーエンドだ。ところがジョンはアナの部屋の写真に目をとめる。マウスの筆跡とアナの筆跡が同じだ。マウスとはだれだ。アルバムを繰ると、マウスの写真はまったく別の女生徒だった。マウスとは架空人物の名前だったのだ。警察にアナから「ジョンに殺される」と電話があった。ジョンは逮捕。面会にきた同僚の記憶探偵は、アナの事件でジョンがかかわった記憶をすべて訪ねた。「君は悪くない。アナは異常な集中力で君の手法を学び取り、君に与える記憶を自分であやつれるようになった。君に殺されたと思わせたのは、逃げても親に連れ戻されるからだ。殺されたのならだれも追跡しないだろう。判事に報告する。アナが生きていると照明できればいいのだが」。ある日ジョンのもとに朝刊に乗ったアナの写真とバラが送られてきた。自分が生きていることをアナが知らせてきたおかげでジョンは釈放された。はじめから終わりまで、みごとにジョンのやられっぱなし。ジョンは悪夢を忘れようとし、回復したジュディスの家を訪ねた。アナはどうなる。どこかで美貌と天才的捏造の才能で自由を謳歌し、間違いなく犯罪者となって生きていく。記憶とは時間とともに変質する部分がありますが、それを大胆に、自らの意思で変えられるもの、しかもそれを犯罪に利用できるものと設定したところが斬新でした。

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