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特集「B級映画に愛をこめて」

2015年10月25日

特集「B級映画に愛をこめて2」
2days トゥー・デイズ(1996年 群像劇映画)

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監督 ジョン・ハーツフェルド

出演 ジェームズ・スペイダー/ダニー・アイエロ/シャーリーズ・セロン/グレン・ヘドラー

生きてさえいりゃ丸儲け 

関係ないと思える10人の人物が、シーンを追うごとにからみあい、1本だった糸が2本、2本が3本となって太い綱に編みあがる。ジョン・ハーツフェルド監督にはシルベスタ・スタローンの「コブラ」、ロバート・デ・ニーロの「15ミニッツ」、ジョン・トラボルタの「セカンド・チャンス」などがある。犯罪とアクションに強い監督だ。本作も場面の切り替えがシャープで、群像劇によくある唐突なシーンが映画の刺激性を強くしている。いきなり現れる人物たちの相互関係がわかりやすいのは、でも出演者たちの功績が大きい。場所はロスアンゼルスの裏町、サン・フェルナンド・ヴァレー。原題は「ヴァレーの2日間」。文字通りヴァレーで起きた2日間のできごとだ▼世界は「1分間で変わる」というのが信条の殺し屋リー(ジェームズ・スペイダー)は、いつもストップウォッチを持ち歩き、殺す相手に1分間だけ最後の時間を与え息絶えるのを眺める冷血漢。ピザ・レストランに落ちぶれている元殺し屋のダズモ(ダニー・アイエロ)を手下に殺しの仕事に行く。オリンピックの万年4位のスキー選手、ベッキーの元夫ロイが標的だ。離婚した夫にベッキーは過去の怨念をぶちまける。「リレハンメルに連れてきた女はなによ。金髪で目の青いバカでかい女よ。あんたといちゃついていたわ。無視したけどまた4位よ。あんたとは終わったのよ。絶対にイヤよ。やりたいならあの金髪を呼びなさいよ!」▼「バカでかい女」がシャーリーズ・セロン扮するヘルガである。とにかく目立つ。公称は177センチになっているけど、大体180センチあたりになると178だとか177くらいでおさえるからね。ニコール・キッドマンでも公称178センチだけど、ピンヒールはいて190センチくらいだわ。本作はセロンの実質デビュー作だ。この前にホラー映画のエキストラに雇われたがもちろんクレジットはなし。17歳で渡米しバレエ・ダンサーを目指したが膝の怪我で断念、ニューヨークからロスへ、女優を志して移住したもののさっぱり芽が出ず、食うや食わずの日が続いた。オスカーを取ったあとこれといった映画がないようにも見えるが、それはどんな役でもまず断らないからだ。彼女が体に密着したスーツを来てベッキー役のテリー・ハッチャーと大立ち回りするシーンがある。ピッタリ体についた銀色のスーツで、身長のあるセロンが体をくねらせるものだから蛇がウネっているみたいな迫力だ。この時期のセロンはまだアフリカーンス語の訛りが強く、ヘルガはスエーデン人という設定になっている▼ヘルガはロイの愛人だったが、ベッキーと組んでロイの保険金目当ての殺人をたくらんだ。その裏でヘルガはリーと通じ保険金をベッキーから奪い取る計画だった。登場人物の名前を羅列してもややこしいだけだからかいつまんで言うと、ダズモは口封じのためリーに撃たれたが防弾チョッキのおかげで命拾い。彼は高級住宅街の美術商アランの庭にまぎれこみ、健気に尽くす秘書のスーザン(ケレン・ヘドリー)が、アランから侮蔑的な扱いを受けているのを垣間見る。「お前なんか整形でもしなきゃ男がふりむくか」とアランは言っていたのだ。初対面で(拳銃をつきつけながらだったが)スーザンとなぜか波長のあったダズモは、腎臓結石で痛がるアランを無視、スーザンに「整形などしなくていい。君は魅力的だ。この男の飯は床で食わせろ」と犬のように扱う▼そこへやってきたのがアランの異母姉で看護師のオードリーと、彼女が出会った母親の墓前で拳銃自殺しかけていた脚本家のテディ。殺された元夫の、死体の隣で気がついたベッキーは血まみれのままハイウェイを歩いているのを見つけたのが売春捜査課の警官ウェス。ヘルガはベッキーと争ううちに誤って撃たれ路上で死亡する。殺し屋リーもテディに射殺され、ヴァレーの2日間は終わる。リーが奪ったロイの保険金3万ドルは、ウェスが見てみぬふりをし、自分を助けてくれたダズモにくれてやる。ダズモはそれでスーザンとピザの店を持つつもりだ。スーザンはカツラを気にしているダズモに「ないほうが素敵」だと耳打ちするヅラネタは笑わせる。アランはしっかり者の姉が病院に連れていくだろうが、結石はともかく性格の悪さは一生治るまい。ベッキーは逮捕こそ免れたがメダリストになる見込みはない。ウェスは東洋人嫌いの上司が解雇され、念願の殺人課へ配転されるかもしれない。生きてさえいりゃどうにかなるわい。犯罪都市ロスの裏町、そんなヴァレーの朝が来た。

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