女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss
  • ブックマーク

特集「B級映画に愛をこめて」

2015年10月29日

特集「B級映画に愛をこめて2」
ザ・ボディガード(2004年 恋愛映画)

Pocket
LINEで送る

監督 マーティン・バーク

出演 シルベスター・スタローン/マデリーン・ストウ/アンソニー・クイン

美魔女とシル 

タイトルは正確に書くと「シルベスター・スタローン ザ・ボディガード」です。自分の名前をアタマに冠する最悪の趣味に、シル、あなたまで染まってどうするのよ。本作はアンソニー・クインの遺作になりました。撮影の途中で彼は亡くなり、完成後彼に捧げられています。男の中の男を演じることが多かったけど、代表作には「炎の人ゴッホ」のゴーガンがあり、ドミニク・サンダが手古摺る骨っぽい商人の「沈黙の官能」もありました。そしてこれ、フェデリコ・フェリーニの「道」。ジェルソミーナを棄て、その死に慟哭した男。さらば、ザンバノ▼共演がマデリーン・ストウです。2015年4月現在56歳。本作のとき44歳でしたがあまりお変わりになっていない。まさに「ハリウッドの美魔女」にふさわしい。わたし、この女優さん、わりと好きでしてね。どこがというと、私生活で騒々しいところが全然ないのです。映画界入りは18歳と早かったのですが、鳴かず飛ばずの時期がざっと10年、29歳のとき「張り込み」で注目されたという遅咲きです。24歳で俳優のブライアン・ベンベン結婚、以後子供ふたりにめぐまれズ~といっしょ。こういう歩み方って、どこかメリル・ストリープとか、ジョディ・フォスターとか、ジェニファー・ビールスやジュリアン・ムーア、サンドラ・ブロックら、どこまでも完全マイペースの人とよく似ています。一時映画界とは距離をおいていた時期はあったものの、最近はテレビの人気シリーズにも出演。本作はシルが56歳、マデリーンが44歳。この年で青春顔負けの純愛映画というのも、ちょっとこわいものがありますけど(笑)▼ボディガードのフランキー(シルベスター・スタローン)は、マフィアのボス、アンジェロ(アンソニー・クイン)の忠実な部下だ。部下というより父親と息子のような情愛で結ばれている。アンジェロのひとり娘ジェニファーを、父親は彼女の物心がつくかつかない頃に養女に出した。マフィアのボスの娘ではいつ狙撃されるかわからないからだ。その代わり、かたときも目を離さず娘を守るようフランキーに命じた。フランキーは少年のころ月の下で見たジェニファーの美しさに虜になり、忠誠と愛を捧げ現在に至る。シルの得意のパターンです。裏切らない男、誠実な男、一途な男、でしゃばらず陰ながら女を見守る、愛にあふれた孤独な男。強くてやさしくてストイックな男。シルの男の典型は「気はやさしくて力もち」という、古今東西受け継がれてきた男の美学を貫くやつ▼単純な映画のわりにきめ細かくできているところがいい。ワンパターンだろうとできすぎだろうと、監督も脚本も主演陣も、気にしない、気にしない。映画は楽しくなければ、面白くなければ、ジーンと来こさせなければ、ユーモラスでなければ、おれたち作らない、そんな堂々とした哲学で押しまくる。ジェニファーの警護にあたるフランキーが、影の形に沿うごとくひっそりと張り付く。ジェニファーは彼氏とデートだ。そばにいるフランキーを「ボディガードなの」と紹介。相手の男は(ああ、そう)無視する対象として扱う。シルは影の役を引き受け、近づくマフィアはさっさと片付け、ジェニファーがいないうちに壁に塗り込める(けっこうえげつないことする)、子供のときジェニファーがなにをしたかきっちり覚えているのでジェニファーはフランキーと話しているとしまいに気色悪くなる。フランキーはボスであるアンジェロを、席を外した隙に襲撃され殺されたことが一生の後悔になり、そのぶんジェニファーを守りぬくと固く誓ったのだ、恋人のひとりやふたり現れたところで迷いなどなく、ひたすら使命を全うするのみ…のはずがそうはいかない。ジェニファーが好きでたまらないから、現れた男など全員殺してやりたい。ヒロインの元カレがうそをつくたび、黙って拳銃で天井を撃ちぬく▼ボーイフレンドとシチリアに旅行にきたものの、ジェニファーはなぜか楽しくない。フランキーがそばにいないとなにか忘れ物をしたみたいだ。昔オペラ好きの父親が建てたオペラハウスの遺跡にきた。そこで恋人の意外な正体がわかった。彼はアンジェロが自分の父を殺したと信じているマフィアだったのだ。死ね、仇の娘。銃口の前に立つジェニファー。あとはもうわかりきった話で危機一髪フランキーが現れます。まるで鞍馬天狗。アンソニー・クインも含めてみな、軽快に走っているライト感覚な映画です。全然もたれないところがいい。映画って、なにが何でも、感激しなければいけないものでもないでしょ。

Pocket
LINEで送る