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シネマ365日

2015年11月12日

特集「もてるにもホドがある70代」カトリーヌ・ドヌーヴ
アステリックスの冒険(2014年 ファンタジー映画)

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監督 ローラン・ティラール

出演 ギョーム・ガリエンヌ/カトリーヌ・ドヌーヴ/シャルロット・ルボン/ジェラール・ドパルデュー

シネマ365日 No.1567

ドヌーヴの顔芸

特集「もてるにもホドがある70代」カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴは60代で11本、声だけの出演をいれれば12本の映画に出ています。メリル・ストリープは現在(2015)66歳で10本。西のメリルに東のカトリーヌ。彼女らの仕事好きはとどまるところがない。本作は原作が人気絶好調のコミックの実写で、フランスで大ヒットしましたが日本では未公開で、2014年、DVDで発売されました。ドヌーヴは70代に入って新作を撮っていまして、本作は60代最後の作品です。「逢いたくて」が59歳、どうかした表情に青春の面影を残していました。それから10年。こまかいところをほじくりかえせば、トド化も巨顔化もプラスチック・サージャリー(美容整形)もあるでしょうが、ミイラになってもドヌーヴだとわかる、そんな美女オーラはやはりドヌーヴのものです▼共演陣もたかがマンガの映画化とあなどるなかれ。カエサルの侵略を受け、亡国の危機にあるブリテンの女王(カトリーヌ・ドヌーヴ)に、起死回生の「秘薬」(飲めば力が百人力になる薬)の存在を教え、海を越え単身、敵国ガリア(今のフランス)に探しにいく忠臣ジョリトリックスにギョーム・ガリエンヌ。「不機嫌なママにメルシイ」で、監督・脚本・主演、女装に二役という才人ぶりを発揮した人。おとぼけは天下一品で、ブリテンの男は紳士でなければならぬ、品下る振る舞いはもってのほか、という祖国の教え通り、恋人にキスひとつ、甘い言葉ひとつささやかない。アステリックスらに「それじゃ通じない、裸の言葉を言え」とけしかけられ、スッポンポンになって白昼、恋人の前に現れる。卒倒しかける恋人がシャルロット・ルボン(「マダム・マロリーと魔法のスパイス」)だ。ジェラール・ドパルデューについては割愛。彼こそ、フランスでサクセスした、最も腹ただしいセレブ男として、アラン・ドロンとともにトップを飾った人。芸域広しといえる役者は数あれど、彼に比肩できる俳優をさがすのは難しい▼古代ローマ時代、カエサル率いるローマ帝国対ブリテンの戦い。ブリテン国は垣根で囲った牧草地みたいな可愛らしい領地に、ちょこんと女王の宮殿がある。ドヌーヴがたふたふしたドレープの紫衣をまとい、大きなお尻を玉座につけると「ドカーン」岩石が天井を突き破って落ちてくる。ローマ軍の攻撃である。一刻も早く「秘薬」を手に入れねば…フランス映画のファンタジーって、どう転んでもディズニーみたいにはならないのね。出演者がみなおとなしくて、くそまじめで、だから物足りないかというとそうじゃない。たとえば、カエサルは支配欲にとりつかれた暴君として登場するが、彼が指揮するローマ軍団の戦闘隊形なんか、CGとはいえとても正確によくできていたと思うし、凶悪なノルマンディー人を味方につけるなんて、なんでも手なずける名人だった、カエサルの一面をよくとらえていて面白かったわ▼カエサルを演じたのがファブリス・ルキーニ。日本であまり有名ではないかもしれないけど、セザール賞に6回ノミネートの演技派にして多読家。女好きを広言しているわりに、スキャンダルになる尻尾をつかまれない。大島渚監督の「マックス・モン・アムール」やフランソワ・オゾン監督の「危険なプロット」が面白かったし、フィリップ・ル・ゲイ監督の「屋根裏のマリアたち」など「独特のコメディ」という味を持っている。こんな、一癖も二癖もある芸達者たちにまじって、ドヌーヴさまも、ひけをとっておりません。彼女の顔芸をひとつ。任務を果たした忠臣ジョリトリックスが、女王の前で成果報告する。自分が結果を出せたのはひとえにある女性のおかげだ、彼女を思えばどんな困難なときも勇気がでた、この仕事の賞賛を彼女に捧げたい、とベタホメ。女王はてっきり自分のことだと思い(当然)という顔で受けている。でも彼がまっしぐらに走っていったのは恋人のもと。傍目もかまわぬ熱い抱擁に女王は目のやり場がない。こんなときお定まりの(ウォホン)と咳をするのは大根のやること。ドヌーヴさまはチラッと視線を宙に泳がせた…のが、からぶりを食らった「女王さま」でした(笑)。

 

 

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