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シネマ365日

2015年11月13日

特集「もてるにもホドがある70代」カトリーヌ・ドヌーヴ
フォート・サガン(1984年 恋愛映画)

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監督 アラン・コルノー

出演 ジェラール・ドパルデュー/カトリーヌ・ドヌーヴ/ソフィー・マルソー

シネマ365日 No.1568

ドヌーヴの「モテ度」 

特集「もてるにもホドがある70代」カトリーヌ・ドヌーヴ

180分に及ぶ歴史絵巻です。「風と共に去りぬ」砂漠版です。フォート・サガンとは主人公の名前。タイトル・ロールをジェラール・ドパルデューが、10キロ減量してすっきりした容姿で演じます。副題が「サハラ。そして愛」とあるように、主人公は砂漠ともいえますが、「アラビアのロレンス」のような「砂漠」ではない。ロレンスの場合「砂漠愛」みたいな精神的な連帯で砂漠と結びついていたのですが、この映画では、主人公シャルルはあくまで任務で着任し、パワハラの上官にこきつかわれ、病気にはなるわ、いやがらせは受けるわ、クソ、こんな地の果てにおれるか、と退役を申し出ると、鬼みたいな上官の大佐がコロリ軟化、「君は砂漠の英雄だ」とかおだてあげ、ちゃっかり本国のパリで、サハラにおける軍功のPR役をシャルルにあてがう▼3時間の長尺のせいかもしれないけど、中心を絞り切れないうらみがあります。シャルルが第一次世界大戦に出征して、新婚間なしというのに戦死する、ああ気の毒…と同時に、ああ、やっとこれで映画は終わってくれるのだろうな、と思ったわよ。粗筋なんか書いていると夜が明けてしまうから、映画のなかで特に印象に残った人物、あるいは(こいつ、いいやつだな〜)と思った男についてだけ、書きます。大佐に扮するのがフリップ・ノワレ。煮ても焼いても食えぬ名優です。彼は農民のサガンが、貴族階級の令嬢マドレーヌと相思相愛なのが気に食わない。サハラ砂漠をサガンの任地に指名したのはマドレーヌ(ソフィー・マルソー)と引き離すためである。砂漠に着任するやいなや、つぎつぎ無理難題を与え、休む間もなくこきつかう。砦の部下たちは、サガンが部下をかばいながら任務を遂行しているのを知っている。サハラ砂漠を支配下におく、最強の敵オマールとの決戦の日が来た。砦に勤務10年、古株のブルピは「可愛いヒバリさんの羽をむしりましょう、頭もクチバシもむしりましょう」とエッチな歌をうたいながら「48人で250人を食い止める? そうですかい。こうなりゃ、やってやるぜ」と腹をくくる。サガンの従卒は「頑張りましょう、中尉(サガンのこと)。オマールは弱気だ、おれたち全滅しても中尉の勝ちだ」と、悲しんでいいのか喜んでいいのか、わからない励まし方をする▼こんな男たちのほかに、グッとくるやつがもうひとり。砂漠を活動の根拠とする部族の長、アマジャールだ。敵味方が我が方の利益誘導に入り乱れるなか、民族の誇り高く、部族を守るためにフランス軍の手先とはならない。サガンとは一線を画するが、初めて会ったときからふたりは不思議な友情で結ばれる。フランス軍の謀略でアマジャールの部族は殺戮され、アマジャールは脚に重傷、かけつけたサガンは応急手当を施し、逃す。のちに彼はオマール軍が国境に迫っているとサガンに伝える。そのとき彼の左脚は一本の棒になっていた。いちはやく情報をつかんだサガンは、先手を打って襲撃にでたのが前述した決戦だ。数年後、大戦で戦死したサガンは、彼が生涯を捧げたサハラ砂漠で弔われた。出征のときお腹にいた子供は可愛い少年になって、母マドレーヌと参列している。砂漠の風が「サガン砦」と命名された岩とレンガの壁に砂をふきつける。砂丘に立ち遠くから見ている男の孤影があった。その脚は義足。アマジャールが別れを告げに来たのだ。かけよってきたサガンの息子を抱き、砂漠の民の最高の財産である「あのラクダと鞍をお前にやる」。彼アマジャールには、オマー・シャリフが演じた「アラビアのロレンス」のアリ隊長みたいな、男の陰影があるのです▼最後はやっぱりこの人でしょう。パリでサガンのサハラ戦線報告会に出席し、サガンのベタホメ記事を書いた「現代のジョルジュ・サンド」ルイーズ(カトリーヌ・ドヌーヴ)だ。ふたりは初対面でビビビ。彼女の記事を読んで惑乱したサガンは、その足でルイーズの自宅を訪ね、ふたりで熱いうわごとを言いながらベッドイン。ドヌーヴは41歳でした。トド化にも、ましてクジラ化にもほど遠く、白磁のようなスベスベの肌。「仕事よ。かまわないで」と突き放したかと思えばサガンの脚にすがりつき「どこにもいかないで」と、甘い生活を送っていたところへ手紙が来た。弟からだ。弟の結婚に兄は大反対だった。理由は弟の恋人が男に捨てられた女で妊娠している、そんな女を家にいれることは許さんと、兄は陸軍省に手をまわし(弟も軍人)、結婚許可を出すなと指示した、弟はそれを恋人に伝えたら、2時間後に彼女は自殺した、それをきいたルイーズは「ひどい話ね。興ざめしたわ。出て行って」…とはいいながら、大戦で出征したサガンの後を、看護師となって追いかけ「あなたの子供がほしい。そのために来たのよ」だって? どことなくこの映画、まとまりがわるいな〜と思ってしまうのはわたしだけか。サガンという男は勇敢で男らしく、確かに魅力はあるのだけど、主人公としてはどことなくシマリがよくないのよね。ジェラール・ドパルデューの、間延びした鼻のせいかもしれないわ。ドヌーヴは40代で「夜を殺した女」「ハンガー」「女たちのテーブル」と重量級を連発し、彼女の最高といえる「インドシナ」で二度目のセザール賞主演女優賞をとっています。それらに比べると本作はチョイ軽ですが、チラッとスクリーンを姿がかすめるだけで視線をさらっていく「モテ度」は、そこらの女優ではないですね。

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